山口県の名酒「獺祭」の名前の由来になった生き物は?

世界的に人気のある山口県の地酒「獺祭」。その名前の由来になった生き物とはなんでしょう?

「獺祭」の名前は、カワウソから

山口県といえばフグ!が有名ですが、綺麗な水に恵まれ、寒暖の差が激しいという米作りに適した土地。実はお米もおいしい県なのをご存じですか?そのおいしいお米を使った酒造りも盛んです。数々の名だたるブランド日本酒がありますが、中でも不動の人気の純米大吟醸酒「獺祭」。この「獺祭」の蔵元である旭酒造は、山口県岩国市にあります。2014年に安倍晋三元首相がバラク・オバマ元大統領にプレゼントしたことで、世界的にも人気となった日本酒です。
この「獺祭」という言葉ですが「獺」とはカワウソのことです。
カワウソは春になると自分の捕った魚を岸に並べる習性があり、まるでお供え物をして祭りをするように見えることから、その早春の時季を「獺祭魚」(だっさいぎょ)または(たつうおをまつる)と呼び、中国古代の天文学での七十二候・雨水の初候はこの季節の名前を使っていたそうです。
そこから、詩や文をつくる際に多くの参考資料等を広げ散らす事を「獺祭」とたとえる故事が生まれました。
さらに加えて、酒造元の旭酒造株式会社の所在地が「川上村に古い獺がいて子供を化かしてこの村まで追越してきた」という由来の「獺越」という地名なので、因んでこの「獺祭」という名前が付いたそうです。
繋がりはカワウソ。日本の昔話ではカワウソはお酒好きとして出てくることもあり、ぴったりな名前が付きました。

山口でカワウソが見られるところ

そんなカワウソですが、かつては全国の河川の中・下流域に生息していました。「ニホンカワウソ」という種類でイタチ科の哺乳類です。人間に化けるなどして日本の昔話に出てきたのはこの種だと言われていますが、現在では絶滅種となっています。
現在、山口県で「コツメカワウソ」のかわいい姿が見られるのは、
・山口県宇部市 ときわ動物園
・山口県周南市 徳山動物園
などがあります。
コツメカワウソの全長は60~90cm程度でカワウソの中では最も小柄です。手足のツメが小さいことからコツメカワウソと呼ばれています。
丸い顔とつぶらな瞳。にっこり微笑んだような表情に器用な手先。やんちゃで甘え上手な声もかわいらしく近年ではペットとしても人気のコツメカワウソですが、野生のコツメカワウソの数は減少しており、現在は国際自然保護連合のレッドリストに指定されています。
動物園にて「獺祭」をするかわいい姿が見られたら運がいいかもしれません。

世界でも人気の名酒「獺祭」

さて、ニューヨークやパリ、香港などの世界各国の主要都市でも販売されている日本酒「獺祭」。
製造元の旭酒造は、常識にとらわれない独自の製法を採用しブランドイメージをしっかりと確立させ、今では世界でも有数の日本酒メーカーとなりました。
季節に囚われず年間を通して日本酒の製造を行える体制の為に伝統的な杜氏を廃止、データ管理を徹底したり、精米歩合を極限まで磨いた山田錦を使用、そして「遠心分離機」で圧力をかけずに絞るなど、他にはない独特の工夫とこだわりを持って日本酒造りをしているそうです。
口当たり優しくフルーティーで飲みやすい。ふわっと華やかな香りとフレッシュさが人々を魅了する「獺祭」。
口に含んだだけで上質さや品の良い旨みが広がり、日本だけでなく海外での人気が高いのも頷けます。

山口の日本酒とフグ

山口には「獺祭」の他にも名酒が多くあります。例えば、
・山田錦など山口県産酒造好適米を100%使用している「長門峡」
・味は濃いが癖はなく、力強い旨味のパンチが効いた「雁木」
・透明感のある、すっきりした味わいでスタイリッシュな地酒「東洋美人」
など。
日本海や瀬戸内海に面する山口県の日本酒は、酒本来の旨みを残した「淡麗旨口」が多いといわれています。
山口はその土地その土地により環境が異なり、気候や地質などそれぞれの恵みを受けて育った米や、豊かな水源を用いて造られていて、上質さは工夫と研究による賜物です。
さらには下関などで獲れる「とらふぐ」をはじめとした海鮮類にも合わせやすく、「ひれ酒」も有名です。
地元ではフグを縁起よく「ふく」と呼んでいます。
そんな「ふくが福を呼ぶ」と言われる山口県で、海鮮に良く合う好みの日本酒を探してみてはいかがでしょうか。

ザ・ご当地検定の問題

Q.山口県の名酒「獺祭」の名前の由来になった生き物は?

A.カワウソ