山口県で食べられている「おばいけ」といえば何の肉?

「おばいけ」は山口県の郷土料理の1つです。名前だけでは何のお肉か全く想像つきませんが、最もおいしいとされる部分。何のお肉だと思いますか?

節分に食べると1年を元気に過ごすことができる

「おばいけ」とは、クジラのしっぽ(尾びれ)と身と尾の間の部分の肉を指します。羽のような形をしていることから、漢字では「尾羽毛(おばいけ)」と表記されます。クジラの中では最もおいしいと言われる部位で、カロリーが低い上にコラーゲンがたっぷりで、しゃわしゃわっとした食感も楽しく、古くから好んで食べられてきました。

刺身として、そのまま酢味噌などをつけて食べる事が多く、節分に大きいものを食べると、大きく年をとることができる、つまりは元気に1年を過ごすことができると言われています。

また、おばいけを塩漬にして薄く切って熱湯をかけ、冷水でさらしたものを「さらしくじら」と言い、「尾羽雪」「花くじら」とも呼ばれ、こちらも同じように酢味噌で食べられます。

おばいけのおいしい食べ方

定番の食べ方は酢味噌ですが、わさびじょうゆやわさび味噌でもよく合います。辛味噌やキムチのタレなどをかけると、お酒のアテにもなりそうですね。またサラダにしてもおいしくいただけます。りんご酢にレモン果汁・塩・コショウ・バジルなどのハーブ、オリーブオイルを加えてよく混ぜて、ドレッシングを作ります。玉ねぎ、パプリカ、にんじんを千切りして塩を振ってしんなりさせ、水にさらして絞ったものを、おばいけと混ぜます。作っておいたドレッシングをかけると、おしゃれな「サラダおばいけ」の出来上がりです。

山口とクジラの関わり

本州の最西端に位置し、三方を海に囲まれた山口県はかつて捕鯨が盛んな地域でした。日本海に面した北浦地域では、古くから捕鯨が行われ、江戸時代から明治時代までの200年ほど集団捕鯨が行われていました。

「クジラは捨てるところがない」と言われていますが、山口県でも赤身はもちろんのこと、「白手物(しろてもの)」と呼ばれる皮や尾っぽも含め、さまざまな料理方法で食べられました。捕鯨で栄えた地域だからこそ、数々のクジラ料理が誕生したと言われています。近年、捕鯨が制限されているためクジラ肉は高級なものになりつつありますが、下関では昔ながらのクジラを食べる風習が受け継がれているのです。

クジラ肉の部位いろいろ

クジラの肉には抗疲労機能をもつアミノ酸「バレニン」が大量に含まれています。筋肉耐久力アップ、抗酸化や美容にも効果があるのです。

「さえずり」はクジラの舌部位を指します。クジラの舌は脂肪分がとても多く、舌の根元と先では味、歯ごたえもかなり違ってきます。クジラのほとんどの部分が「赤身」で、刺身やステーキ、竜田揚げ、ハリハリ鍋などで食べられます。「尾の身(おのみ)」は背びれから尾までの背中の部分で、脂が霜降り状になった良質な部分をいいます。「尾羽(おば)」はクジラの尾の部分でおばいけに使われ、骨はなく脂肪、ゼラチン質が豊富に含まれています。じゃばら状になっている下あごから腹部までの部位を「畝須(うねす)」と言います。白い部分を畝(うね)、その内側の赤い部分が須の子(すのこ)で、この二つが一緒になったものが畝須で、畝須の加工品を「ベーコン」と言い、ぷるぷるとした食感が特徴です。「鹿の子(かのこ)」は、クジラのアゴ骨をおおっている部分で、脂肪の中に肉が鹿の子状に散らばっています。薄くスライスしてお鍋やすき焼きにすると絶品。クジラの体を覆う厚さ2~5cmの脂肪層を「皮(かわ)」と呼ばれます。マッコウクジラの皮を「ころ」、これを油であげて乾燥させたものを「干ころ(かんころ)」と言い、関西のおでんには欠かせないものです。

ザ・ご当地検定の問題

Q. 山口県で食べられている「おばいけ」といえば何の肉?

A. クジラ