クレープ状の皮でこし餡を包んだ、岡山土産として人気の和菓子は?

岡山県の南西部の街・倉敷には、伝統があり代表的な土産物でもある銘菓があります。「和製クレープ」とも表現されるこの和菓子をご紹介しましょう。

餡をくるんだ和製クレープのような和菓子

「むらすずめ」は、薄く丸く焼いた生地を餡でくるんだ「和製クレープ」のような和菓子です。生地(皮)は小麦粉や卵、砂糖などを混ぜ合わせて、鉄板の上に薄くのばし、丸い形にして焼き上げます。ポイントは生地に無数の小さな気泡ができるという点。この小さな無数の穴が、むらすずめの特徴である口に入れるとふわっとした食感になるのです。焼き上がった丸い生地の真ん中に餡をのせ、生地を半分に折りたたんで餡をくるみます。この生地と餡が溶け合うハーモニーが「むらすずめ」の味わいと言えるかもしれません。

「むらすずめ」の由来

美観地区で有名な倉敷ですが、「倉敷」という名前の由来をご存知でしょうか? 倉敷は江戸時代、江戸幕府の直轄地である天領でした。そのため備中米の集散地であり、米倉(こめぐら)が多く軒を連ねていたことから、「倉屋敷」……「倉敷」という地名が付いたのです。米の収穫の具合が庶民の生活を左右する一大事であったため、倉敷の人々はお盆の時期になるとイグサで編んだ笠をかぶり、豊作を祈願する「豊年踊り」を行いました。踊る人々がかぶっている編み笠がまるで稲に群がる雀のように見えたので、その姿を通称「群雀(むらすずめ)」と呼ぶようになったのです。「橘香堂」の創業者である吉本代吉氏は、「備中米の集散地である、倉敷にふさわしい銘菓を」という想いから、この編み笠の形と稲穂の黄金色からヒントを得て「むらすずめ(むらすゞめ)」を作り上げたそうです。

「むらすずめ(むらすゞめ)」の名付け親は、倉敷で薬種商を営んでいた林家の第8代当主であり、倉敷の町づくりに大きく貢献した林孚一(ふいち)氏です。明治の初め頃に誕生したむらすずめは、画期的なお菓子として注目されました。なぜなら、生菓子が一般的に「餅菓子」と呼ばれていた時代で、米粉で作られるお菓子がほとんどだったから。そのような時代に小麦粉や卵を使用したお菓子ができたことで、現代の和菓子に対して洋菓子のような印象お菓子だったのでしょう。それ以後140年以上も日々研究が重ねられ、現代に受け入れられる変化を続けているそうです。

「むらすずめ」が自分で焼ける!

むらすずめの元祖である「橘香堂」では、岡山倉敷美観地区入り口すぐに位置する橘香堂美観地区店にて手焼きが体験できます。新鮮な卵と特別にブレンドされた小麦粉で作った生地を薄く丸く焼き、粒を吟味した小豆でできたつぶ餡を置いて包みます。一見シンプルに思える作業ですが、いざ自分でやってみると、なかなかの難しさ。職人技のすごさを実感できます。お楽しみは、何といっても自分で焼いた焼き立ての「むらすゞめ」が食べられること。そのおいしさは格別です。こちらのお店では通常の大きさの「むらすゞめ」とは別に「ジャンボむらすゞめ」の手焼きも体験できるそう。「ジャンボむらすゞめ」には、つぶ餡の他に白玉団子も入っているので、通常のものより約7倍もの大きさ。ボリューム満点でお腹も満足です。ただし体験には年齢制限や身長制限などがありますので、詳細はお店にお問い合わせください。

「橘香堂」では「むらすゞめと」並んで人気の「栗まん」もあってこちらもおすすめ。厳選された大きな栗がまるまる1つ入っているというぜいたくなお饅頭です。やわらかい栗と白あん、しっとりした外皮との相性は抜群。お茶うけにぴったりです。また賞味期限が製造日より50日間あり、日持ちもするのでご進物にも最適ですね。

ザ・ご当地検定の問題

Q. クレープ状の皮でこし餡を包んだ、岡山土産として人気の和菓子は?

A. むらすずめ