マンゴー並みの甘さ!岩手県の特産品「南部一郎」って、何の野菜の品種?

南部一郎という名前を聞いたことはあるでしょうか。これは人の名前ではなく、岩手県の特産品の名前です。今回は、この南部一郎について掘り下げてご紹介します。

日本の希少種を改良した特産品

南部一郎は、岩手県一関市厳美町本寺で作られている特産品のカボチャです。カボチャと言ってもひょうたんのような形で、カボチャも瓜の仲間だったことを思い出させてくれます。皮の色は一般的な緑ではなく、身の色と同じく黄色です。元々「黄金かぼちゃ」と呼んできましたが、2012年頃から南部一郎という名前に変えてアピールし始めました。
特徴は、見た目だけではありません。特筆すべきはその糖度で、マンゴーに匹敵する15度を誇ります。肉質は細かく滑らかです。

一般的に流通しているカボチャは西洋カボチャを改良していったものですが、南部一郎は日本カボチャに属する鶴首カボチャの種を使用して改良しています。種の持ち主が横田一郎さんであり、岩手が元々南部藩であったことから、南部一郎と命名されました。
生産しているのは、骨寺村荘園カボチャ研究会です。米作りを主体として行う団体で、副業として南部一郎の特産化を始めました。会員の内約48名が作付けをしており、加工品販売も行っています。

南部一郎は無農薬、無化学肥料という、オーガニック派にも嬉しい栽培方法です。丈夫な性質で土壌が豊かなので、ときに1メートルを超える葉を茂らせ、20センチ以上の花を咲かせるのでしょう。
熟す前の南部一郎はズッキーニのような緑色をしていますが、収穫後にハウスの中で熟成させることで黄金色に変化します。満遍なく日光が当たり熟すように、毎日ひっくり返す作業が行われています。

南部一郎の購入方法は?

南部一郎は、例年11月中旬から1月中旬頃までに熟成度合いを見ながら随時出荷されます。購入できるのは、主に岩手県内のスーパーや道の駅厳美渓、新鮮館おおまちなどです。新鮮館おおまちは産直施設ですが通販も行っているので、収穫時期には購入できるかもしれません。通販では、東京の国立ファームが運営する農家の台所WEB SHOPも利用できます。限定的ではあるものの、関東圏や関西圏にも卸しているということなので、見つかったらラッキーですね。

南部一郎はピーラーで簡単に剥けるくらい皮が薄く、半分に切ってレンジで5分ほど加熱しただけで調理が完了します。種は取りますが、特別甘いワタは取り除かないのがベストです。
食べるときも、スプーンですくうだけでOK。塩を振るだけでも甘さが引き立って美味しいですし、バターと砂糖、もしくは溶けるチーズを乗せてオーブントースターで焼いても良いです。他にもペーストにしてスープにしたり、小麦粉などと混ぜてパンやホットケーキにしたりと、様々なアレンジに挑戦してみてください。

日本の宝となっている風景

南部一郎の生産地である本寺地区は、元来骨寺村と呼ばれた荘園でした。山々に囲まれた地区にいびつな形の水田と水路が広がり、民家や神社、祠が点在しており、自然と共存してきた中世の村をそのままの風景で残します。奥州藤原氏ゆかりの荘園遺跡であり、なおかつかけがえのない日本の原風景であることから、国の重要文化的景観に選定されています。

交通アクセスは、一ノ関駅より車で30分、一関ICより20分です。一般的な観光地として整備されているわけではないので、私道や個人の敷地へ立ち入らないように注意してください。
竹山町にある骨寺村荘園交流館では、骨寺村荘園遺跡や一関本寺の農村景観の歴史や価値がわかる映像や展示物などが見られます。郷土料理レストランや産直コーナーもあるため、時期によっては南部一郎が食べられたり購入できたりするかもしれません。

冬至には南部一郎を使ってみて!

岩手県には南部という名前が付く特産品がいくつかありますが、今回はじめて南部一郎を知ったという人は多いのではないでしょうか。日本の原風景と日本古来の種を保存するために、生産者たちは尽力しています。食べるときはその心に寄り添ってみてくださいね。

ザ・ご当地検定の問題

Q. 岩手県の特産品「南部一郎」とは、どんな野菜の品種?

A.カボチャ