豚肉を蒸した沖縄の宮廷料理「ミヌダル」。どんな色をした料理?

「ミヌダル」という珍しい名前の沖縄料理をご存知でしょうか? 琉球王朝の宮廷料理のひとつですが、ちょっとインパクトのある見た目をしています。

琉球王朝・宮廷料理の中のひとつ「ミヌダル」

ミヌダルは真っ黒な見た目が印象的な、とぅんだーぶん(東道盆)というお祝いなどに出される琉球王朝の宮廷料理のひとつです。黒いものの正体は黒ゴマのタレで、豚ロース肉を一面に覆っています。ミヌは「みの=蓑」、隠れ蓑などのみののことで、ダルは「たれ」のこと。「ミノダレ」が沖縄風になまったのが由来と言われています。一見、こってりとしていそうですが、蒸し料理なので余計な肉の脂が落ちて意外とあっさりとした味なのだそう。栄養価が高くて、旨味たっぷりの黒ゴマと豚肉の相性は良く、ヘルシーな料理ともいえますね。

とぅんだーぶん(東道盆)って?

東道盆は、琉球漆器の代表的な器です。東道盆の呼び名は中国の歴史書である「春秋左氏伝」の中の遠来の客をもてなすことを意味する「東道の主」に由来しています。「東道」には、主人となって客の世話をする、という意味があり、これが転じて琉球では大事なお客様をもてなす食事に使われる器を「東道盆」と呼ぶようになったとされています。東道盆は小皿それぞれに、ごちそう(主に酒の肴)を盛った、いわばオードブル皿のようなものです。琉球国内では、中国王朝の皇帝の使節である「冊封使」をもてなす公式の宴や、個人宅でのお祝い事の祝宴や、お客様の接待に使われていました。

様々な形状と素材がある東道盆

東道盆は漆塗りで、形は円形や長方形、正方形、八角形、六角形など様々にあり、中に小皿が組み込まれた蓋付きの盆になっています。中の小皿は、5枚、7枚、9枚など、盆の大きさや形によって数が異なりますが、奇数が定番で、これは中国で吉数とされているためです。

東道盆の料理

ここでは東道盆に盛りつける料理をいくつかご紹介しましょう。ターンム(田芋)から揚げは、うす紫の田芋を煮て皮を剥き、油でカラッと揚げて、砂糖と醤油のつけ汁にくぐらせたものです。クティンプラ(小てんぷら)は、棒状に切った白身魚を芯にして、塩味の厚い衣をたっぷりとつけて揚げたてんぷら。食べる時はてんつゆなしでいただきます。ビラガラマチは細かく切ったかまぼこと揚げ豆腐を芯にして、青ねぎで巻き、酢みそで和えたものです。ねぎの香りが楽しめる一品です。グンボーマチはごぼう巻きのこと。豚ロースのうす切りをごぼうを芯にして巻き、砂糖やしょうゆでじっくりと柔らかく煮込んだ、ごぼうと豚肉とよく合うおいしい煮物です。シシ(肉)かまぼこは、魚のすり身に豚の挽肉を混ぜ合わせて作った、変わりかまぼこで、沖縄では最上のかまぼことされているもの。「シシ」とは沖縄方言で肉のことを言います。花イカは身の厚いクブシミ(甲イカ)に、さまざまな切込み細工を入れて、その名前のように花のように美しく、赤く染められています。

ミヌダルの作り方

ミヌダルは少々手間がかかりますが、ご家庭でも作れる料理です。材料は豚ロースとんカツ用肉、漬け汁として、しょうゆ、泡盛、みりん、砂糖。黒すりごま(すっておく)。豚肩ロースは切り込みを入れて筋を切ります。調味液をバットで混ぜ合わせ、スライスした豚肉を30分漬け込みます。漬け込んだ豚肉をバットから1枚ずつ取り出し、すっておいた黒ごまに全体が覆われるようにしっかりまぶし、電子レンジで加熱し、さませば出来上がりです。

ザ・ご当地検定の問題

Q. 豚肉を蒸した沖縄の宮廷料理「ミヌダル」。どんな色をした料理?

A. 黒