小麦粉を練ったものを平たく伸ばして茹で、きな粉と砂糖をまぶして食べる、大分県の伝統的なお菓子は?

大分県には小麦粉に水を加えて練り平たく麺状にしたものに、きなこと砂糖をまぶして食べる郷土菓子があります。この郷土菓子、その素朴でやさしい味からはちょっと想像つかない変わった名前をしています。何と言うのでしょうか?

『やせうま』とは

『やせうま』は、甘いお菓子のおやつのような感覚で、大分の家庭で良く食べられています。「うま」が付いているので「馬」に関するものなのかと思ってしまいますが、そうではありません。

そのユニークな名前の由来は諸説あり、馬のエサである小麦を使用して作ってしまったため、エサがなくなり馬がやせてしまったという説。または元々は米粉で馬の形に作っていましたが、小麦に変えて作ったところ平麺状に細長くなってしまったためという説など。中でも一番有力とされ、伝承としても残っている説は、平安朝の頃、貴族の幼君の乳母だった「八瀬」が、仕えていた幼君のために作ったものがおいしかったので、幼君が「八瀬、うま(「うま」は食べ物を表す言葉と言われている)」とせがむようになったことから、『やせうま』という名前で伝えられてきたというものです。

地元では『やせうま』用の乾麺も販売されていたり、別府市では飲食店や学校給食のメニューとしても出されているなど、大分のソウルフードとして地域に根付いています。また七夕やお盆のお供え物にもなっており、西方浄土に帰る先祖の霊がお供え物をまとめるための紐として、『やせうま』を使うと伝わっています。

やせうまの作り方

『やせうま』は家庭でもよく作られているので、身近な材料でとても簡単に作ることができます。

まず、ボウルに薄力粉と塩を入れて混ぜ合わせ、水を加えながら更に軽く混ぜます。手でこねて耳たぶほどの柔らかさになったら、生地をひとまとめにします。まとめた生地を16等分ほどにして楕円形に丸めバットに並べ、ラップをかけて1時間ほど休ませます。たっぷりの沸騰させたお湯の中に、生地の両端をつまんでゆっくりと引っ張ってのばして平らにして、鍋の中に入れて5分ほど茹でます。茹で上がった麺をザルにあげて、水気をよく切ります。そして、きな粉、砂糖、塩少々を入れたボウルの中に入れ、麺とからめればできあがり。温かいままでも、または冷やしてもおいしくいただけます。

色んな味で楽しめます

きなこと砂糖を混ぜ合わせたものが一般的ですが、きなこの代わりにはったい粉、砂糖の代わりに黒砂糖や使うこともあります。また黒蜜をかけるとより深い甘みが感じられますし、メイプルシロップや蜂蜜などにもよく合います。少し変わり種として、ココアや抹茶などをまぶすなど様々なバリエーションが楽しめます。お団子のようなもちもちの食感を持つ『やせうま』は、あんことも相性ぴったりです。

味噌仕立ての汁に入れれば「だんご汁」に

『やせうま』の麺はきしめんやうどんと似ていますが、これらと違って麺棒でのばした生地を、手でちぎって引っ張って延ばすことによって平らな麺にします。同じ大分の郷土料理に『だんご汁』がありますが『だんご汁』にもこの麺が入れられます。

『だんご汁』とは、季節の野菜とともに九州地方でよく食べられている麦味噌、または合わせ味噌や白味噌仕立てで作る、大分県の代表的な郷土料理です。九州の他県では『だご汁』と呼ばれるものもあります。

大分県の名産である、しいたけやいりこで出汁をとるのが一般的ですが、各家庭によって出汁のとり方やだんごの延ばし方などにそれぞれ違っています。最近では、大根や人参、ねぎ、ごぼう、しいたけ、白菜など、どの家庭にもある食材で作られることが多いですが、そのなかでも里芋は麺の独特の食感と合うので好まれており、具材としてよく入れられます。『だんご汁』は豚汁と違い、基本的には肉類は入らないことが多いようです。

ザ・ご当地検定の問題

Q. 小麦粉を練ったものを平たく伸ばして茹で、きな粉と砂糖をまぶして食べる、大分県の伝統的なお菓子は?

A. やせうま