その細長い形から名づけられた、奈良県により「大和野菜」に認定されているトウガラシの品種は?

京都の野菜は京野菜ですが、奈良の野菜は大和野菜といいます。古都奈良の特産品として、地域の歴史・文化を受け継いだ独特の栽培方法等により、「味、香り、形態、来歴」などに特徴を持つ野菜を「大和の伝統野菜」として認定しています。そんな「大和の伝統野菜」にトウガラシもあります。

細長いとうがらし

大和野菜は25種類ありますが、そのうちのひとつが「ひもとうがらし」です。

「ひもとうがらし」は奈良県の在来のとうがらしで別名ひぼとう。「ひぼ」は「紐」の方言で、「とう」は「とうがらし」のことです。

見た目はこれが「とうがらし」なのかと思ってしまうほど細く、また、姿がみずひきにも似ていることから、「みずひきとうがらし」と呼ばれる事もあります。

大和野菜に認定されている「ひもとうがらし」は奈良県の在来とうがらしで、香辛料ではなく、野菜用のトウガラシとして古くから利用されてきました。「ひもとうがらし」は野菜用のトウガラシであるため、辛味はほとんどなく、油いためや天ぷらにすると絶品です。

京野菜の伏見甘とうがらしが変化したものといわれますが、ここまで細長い姿をしているのは日本の甘いとうがらし類の中でも大変珍しいです。

細長いひもとうがらしは収穫作業が大変です。折れないように1本1本慎重に収穫するので気を使います。

このひもとうがらし、手にした瞬間、見た目は軽そうですが意外とズッシリとしており、普通のとうがらしよりもズッシリしている。そう感じるかもしれません。

生でかじると、まろやかな辛さと甘さ、口の中に独特の爽やかな香りが広がり果肉のやわらかさに旬を感じられるでしょう。

辛みが少なく美味しい

ひもとうがらしは、甘味があり、シシトウのような苦味がないのが特徴です。油炒め、天ぷら、煮浸し、つけ焼き、つくだ煮など汎用性が高く「ひもとうがらしとちりめんじゃこの炒めもの」は、大和の郷土料理の夏の惣菜として親しまれており、また、昔から農家では自家消費用として葉の部分もつくだ煮にして食べられていました。

胴の部分は豆が詰まっているかのようにぼこぼことした膨らみがありますが、調理すると中の種がほとんど気になりません。実は柔らかく辛みはほぼ無いと言っていいでしょう。

種を取り除かなくても食べた時に口に残らず気になりません。ヘタの部分だけ切り捨てるようにします。
すごい濃厚な旨みがギュッと、栄養もタップリ詰まっているのです。
特にビタミンC、マグネシウム、食物繊維やカロテンが豊富です。
油を使った料理はビタミンAやカロテンの吸収を促進しますので炒め物も良いでしょう。

ひもとうがらしのしぐれ煮、ひもとうがらしのペペロンチーノまた、ベーコンなどで巻いて食べるなど、ししとうと同様炒め物や煮物、天ぷら、生のまま刻んで薬味などに使用するのがおすすめです。

ひもとうがらしにはカプシエイトが豊富

「ひもとうがらし」はカプサイシンを合成しない代わりにカプシエイトを合成すします。「カプシエイト」はあまり聞きなれない言葉かもしれませんが近年、健康サプリメント等に含まれている有用成分として、注目されているのです。

カプサイシンには、体温を上げる働きや脂肪を燃焼するはたらきといった様々な私たちの体に良い働きをする性質をもつことが知られておりますが、カプシエイトにも同様の働きがある事が分かっています。

カプサイシンの健康効果は、昔からよく知られていましたが、辛味からくる刺激や、胃腸等への負担のために、継続的に食べることは難しく、その健康効果を多くのヒトに活用することはできませんでした。
しかしカプシエイトは辛味の強さがカプサイシンの1/1000と非常に弱く、摂取しやすいことから、機能性成分として大変注目されています。辛くないので、たくさん食べても、胃や腸などを傷める心配がほとんどありません。また、「カプシエイト」は、胃や小腸の受容体を介して交感神経を刺激し代謝を上げるので、血中に入らず、アドレナリンの放出などによって血圧や心拍数を上げてしまう心配がありません。

主にとうがらしやししとうなどの辛味品種に含まれるメインの辛味成分はカプサイシンであるため、カプシエイトを効率的に摂取することは難しいでしょう。一方で、「ひもとうがらし」に含まれる辛味成分は、ほぼカプシエイトだけで辛味が弱く、一度にたくさんの果実を食べることができるため、カプシエイトを効率的に摂取出来ると考えられます。

ザ・ご当地検定の問題

Q. その細長い形から名づけられた、奈良県により「大和野菜」に認定されているトウガラシの品種は?

A. ひもとうがらし