「奈良のうまいもの」郷土料理にも選ばれている、奈良県の正月のおせち料理の定番は?

さまざまな料理や具材がお重に詰められた、お正月料理のおせち。お正月の楽しみの1つですよね。どの料理や具材もそれぞれおめでたい意味や願いが込められていますが、地域によって品数や具材はそれぞれ異なります。奈良ではある定番のおせち料理の具材がちょっと違っているのです。

柿を使った「紅白なます」

赤と白のコントラストも華やかで美しく、おせちやお祝いに定番料理の1つが「紅白なます」。紅白なますは、その色合いがお祝いの水引のように紅白であることから、おめでたいものと言われ、平安と平和の願いが込められています。紅白なますの白は大根、そして赤はにんじんを使うことが多いですが、奈良ではにんじんの代わりに干し柿を使った『柿なます』が作られます。干し柿は千切りして、大根と一緒に三杯酢で和えます。干し柿は砂糖の代わりとして入れられたと言われているので、砂糖の量は控えめ。上品な干し柿の甘さがおいしい郷土料理なのです。

秋の風物詩「干し柿」作り

渋柿の皮を剥き、天日に干したものが「干し柿」になります。軒先などに縄などに吊るして干したものを「干し柿」と呼び、竹や木などの串にさして干したものを「串柿」と呼ぶこともあります。干し柿の表面が白い粉をまぶしたようになるのは、乾燥したことによって糖分がしみ出してきたことによります。白い粉が多く付いている柿ほど、糖度が高く甘い柿といえます。干すことでタンニン細胞が変化して渋味が抑えられ、糖分の濃度が増すので、昔から甘味のある食品として重宝されて来ました。干し柿の上品な甘味はもちろんそのまま食べても、また「柿なます」のように料理の隠し味としても、おいしくいただけます。

柿の名産地・奈良

『柿くえば鐘が鳴るなり法隆寺』という句は、正岡子規が詠んだ有名な俳句です。俳句に詠まれるくらい柿は奈良のイメージにぴったり。イメージだけでなく、柿は奈良の重要な特産品でもあります。都道府県別の収穫量では和歌山県に次いで2位、市町村別では五條市が全国で1位なのです。

栽培されている柿の種類はさまざまにありますが、刀根早生(とねわせ)は奈良県で見つかった奈良発祥の品種です。平核無(ひらたねなし)が突然変異したもので、見かけや味は平核無とほぼ同じ。ただし平核無より10~15日ほど熟するのが早いため、一足先に秋の味覚を運んでくれる柿として人気があります。スーパーなどでもよく見かける富有柿は、次郎柿と肩を並べる甘い柿のリーダー格とも言える柿です。色づきの良い富裕柿の果肉はとろけるように柔らかく、果汁をたっぷり含んでジューシーです。平核無は本来は渋柿に属しますが、比較的簡単に渋抜きができるので、渋が抜ければおいしい甘い柿になります。果肉が柔らかくて甘く、もともと種がないため食べやすいと言われています。

すごいぞ、柿のパワー

「柿が赤くなれば医者が青くなる」ということわざもあるように、柿は健康に良い果物です。果実にはビタミンCやA、カロテンなどの栄養価が多く含まれています。そして、柿の葉っぱにはポリフェノールの一種であるタンニンが多く含まれ、タンニンは殺菌効果があると言われているため、郷土料理として家庭でも多く作られてきた「柿の葉寿司」に使われてきました。

また柿の葉にはレモンの20倍ものビタミンCが含まれており、このビタミンは熱や加工に強いのでお湯を注いで飲んでも、その効果が破壊されることがありません。ビタミンCによる美白の効果は医学的に実証されていることで、しみ・そばかす・ニキビ跡を緩和するなどの美肌や美白効果が期待されています。また柿の葉にはカフェインが含まれていないので、妊婦さんやお子様も安心して飲むことができます。

ザ・ご当地検定の問題

Q. 「奈良のうまいもの」郷土料理にも選ばれている、奈良県の正月のおせち料理の定番は?

A. 柿なます