奈良地方の郷土料理「飛鳥鍋」。だし汁に欠かせないのは?

奈良の郷土料理の一つに『飛鳥鍋(あすかなべ)』という鍋があります。野菜がたっぷりとれてヘルシーで低カロリーとあって、女性に人気があるお鍋です。

飛鳥時代から伝わる伝統的な鍋料理

『飛鳥鍋』とは、奈良県の飛鳥・橿原地方に古くから伝わる伝統的な鍋料理です。その起源は1,300年以上前の飛鳥時代まで遡るとされています。今では飛鳥地方の飲食店や民宿で出され、お祭りやイベントでも振舞われているこの鍋は家庭でもよく作られて、飛鳥の人々には馴染み深い料理でもあります。

飛鳥鍋は鶏ガラベースのだしに牛乳を加え、味付けに少量の白みそや醤油、砂糖が加わります。隠し味にショウガが加わることも。味付けに関しては、各家庭やお店によってそれぞれのこだわりや味があります。スープが煮立ったところに入れる具材は、鶏もも肉、白菜、もやし、春菊、白ねぎ、しいたけ、ニラなどの旬の野菜。牛乳と相性のよいじゃがいもや人参、ほうれん草も加えられることもあります。牛乳によってまろやかさとコクのある味に仕上がり、身も心も温まります。

鶏ガラスープと牛乳は3:7くらいの割合と言われていますが、特に決まりはありません。鶏ガラスープのうま味や、和風だしの風味が感じられる上品な味わいに仕上がり、野菜のうま味も溶け出して牛乳独特のくさみは感じられないので、牛乳が苦手でもこの鍋は食べられるという人が多いそうです。

古くからの歴史が息づく明日香村

『飛鳥鍋』が誕生した飛鳥地方は遥か昔、日本の政治・経済・文化の中心として栄えた飛鳥京が置かれていました。現在の明日香村にあたり、聖徳太子や蘇我入鹿・大化の改新など、教科書で見聞きした人物や出来事のゆかりの場所が点在していて、歴史ロマンに浸りながら散策できます。

明日香村には多くの古墳がありますが、ぜひ見ておきたい古墳は3つ。1つめは「高松塚古墳(たかまつづかこふん)」。教科書などで必ず載っている極彩色の美人壁画が残る古墳です。極彩色壁画が発見された時、考古学史上の大発見として日本中でトップニュースとなりました。発掘作業は国家プロジェクトとなり、壁画発見からほどなくして文化庁に引き継がれることになりました。その後1973(昭和48)年に高松塚古墳は特別史跡に、また壁画は1974(昭和49)年に国宝に指定されています。

2つめは日本最大級の横穴式石室を持つ石舞台古墳です。築造は7世紀の初め頃と推定されています。元々は一辺約50メートルの方墳だったとされていますが、早い時期に古墳上部の盛土が失われ、現在は巨大な石室がむきだしになっていて、「石舞台」と呼ばれるようになったと言われていますが、キツネが女性に化けて石の上で舞を踊ったという話や、旅芸人がこの巨石を舞台に演じたという言い伝えもあります。誰の墓として作れたのか未だ不明ですが、6世紀頃にこの地を支配していた蘇我馬子の可能性が高いと言われています。

そして、キトラ古墳もぜひ見ておきたいところ。高松塚古墳に次いで、全国で二例目の壁画古墳として1983年に石室内に極彩色で描かれた壁画が発見されました。7世紀末~8世紀初頭頃に造られたと考えられ、石室内の壁画は四神、十二支、天文図、日月があります。四神の図像全てが揃う古墳壁画はこのキトラ古墳壁画のみです。また木棺の飾金具、刀装具、琥珀玉や水色、紺色、黄色、緑色のガラスなどの華やかな玉類など、多く出土しています。キトラ古墳の周辺地区は、国営飛鳥歴史公園の1地区となっており、飛鳥に関わるクラフトの製作や農業体験などのイベントやプログラムが用意されています。キトラ古墳壁画体験館「四神の館」では、キトラ古墳やその壁画について詳しく学ぶことができるので、大人から子供まで楽しめます。

ザ・ご当地検定の問題

Q. 奈良地方の郷土料理「飛鳥鍋」。だし汁に欠かせないのは?

A. 牛乳