奈良県の夏祭りには欠かせない、さば寿司を「ある植物の葉っぱ」で包んで作る郷土料理は?

海のない奈良県、しかも山深い吉野の地で塩さばを使ったお寿司が発達したのは、ある植物の葉とも深い関係があります。その葉っぱが何かご存知ですか?

柿の葉で包まれたお寿司

柿の葉寿司は、柿の葉でひとつひとつ包まれた、奈良県の吉野の地域に代々作られてきた伝統的なお寿司です。薄く切られた塩味が強いネタを握った酢飯の上にのせて柿の葉で包み、それを重しをかけて寝かせます。そうすることでネタの塩分や旨みが酢飯に広がり、おいしくなるのです。お寿司のネタは昔は鯖だけでしたが、今では鮭や鯛などバラエティも豊富になってきました。

柿の葉寿司の由来

その昔、熊野と吉野・橿原をつないだ東熊野街道は、別名『鯖街道』とも呼ばれ、重要な流通手段でした。熊野灘で水揚げされたあと塩づけされた鯖は背負い籠に詰められて、山々や谷などの難所を越えて吉野などの村々に運ばれました。この鯖を村人たちは薄く切ってご飯の上にのせ、手近に豊富にあった山柿の葉っぱに包んで重石をのせました。そうすることで熟成されてお寿司に仕上がったのです。これが祭礼の日のご馳走となり、今でも夏祭りに食べれるようになったのです。

柿の葉寿司の元祖

柿の葉寿司は最初は酢を使用しないで発酵させ酸味をつくる、いわゆる「なれずし」でした。塩をした鯖を薄く削いで大きめに握ったご飯を抱かせたものを、どの家にも植えてあった渋柿の青い葉で包みました。それを四角い寿司桶に隙間なくぎっしりと詰めて重石を置き、1ヶ月ほど熟成させると酸味がつき、寿司が出来上がりました。山里においては白いご飯も鯖も大変貴重なものだったので、このお寿司はハレの日のご馳走でした。

身近にあったので柿の葉に包まれた柿の葉寿司ですが、柿の葉には様々な効用があります。柿の葉はビタミンCが豊富で、ポリフェノールの一種であるタンニンが多く含まれています。タンニンは抗菌・抗酸化作用に優れ防腐作用もあり、すし飯を乾燥から防ぐばかりでなく保存性も高める効果があると言われています。さらにたんぱく質を凝固させる性質も含まれているので、鯖の身がほどよく締められます。また爽やかな香りは魚の臭みを消す働きも。このように柿の葉寿司には先人たちの知恵が詰められているのです。

吉野は四季を通して魅力がいっぱい

吉野と言えば、日本一とも称される吉野山の桜が有名です。吉野山は大峯連山の北の端から南へと約8kmにわたって続く尾根一帯を指します。吉野山の桜は古来桜が多く、シロヤマザクラを中心に約200種3万本もの桜が密集しており、4月上旬から下旬にかけて、ふもとから下千本、中千本、上千本、奥千本と順番に開花していき、山全体を見事に彩ってゆきます。古くから多くの歌人に愛され、歌に詠まれてきた光景は現在も多くの人々を魅了してやまず、全国から多くの花見客が訪れます。また2004年に吉野山を含む「紀伊山地の霊場と参詣道」が、ユネスコの世界遺産に認定されました。金峯山寺や吉水神社など世界遺産の建造物を徒歩で回ることができるのも魅力です。

桜の名所として名高い吉野山ですが、春だけではなく四季折々の楽しみがあります。桜が散れば夏にかけて紫陽花が咲き乱れ、夏は新緑に囲まれた山々は森林浴にぴったりで最近ではこれを目当てに訪れる観光客も増えてきました。夏には「蛙飛び行事」や「七夕祭り」などイベント・行事も多く催されます。秋になると山々は紅く変化し、ロープウェイからの眺めは絶景です。秋祭りも開催され、ハイキングや紅葉狩りと合わせて楽しむことができます。冬には雪が降り積もり、白銀の雪景色のなかに佇む神社仏閣は神秘的な雰囲気に包まれます。

ザ・ご当地検定の問題

Q. 奈良県の夏祭りには欠かせない、さば寿司を「ある植物の葉っぱ」で包んで作る郷土料理は?

A. 柿の葉寿司