身延山久遠寺近くで販売される名物「身延饅頭」は、どこの都道府県のご当地和菓子?

南巨摩郡身延町にある身延山久遠寺の門前町では、身延饅頭という和菓子が売られています。一見普通の温泉饅頭ですが、一味違う味噌の風味が人気なのです。身延町のお土産として親しまれている身延饅頭の特徴と身延という地域の情報を紹介しましょう。

身延饅頭の特徴

山梨県南巨摩郡身延町にある身延山久遠寺は、日蓮宗の修行僧が集まって修行に励んだ地です。肉魚を禁じられた修行僧のために江戸時代に作られた嗜好品が身延饅頭でした。身延饅頭の薄茶色の薄皮は、小麦粉に練りこんだ味噌の色が特徴的です。「みのぶ」という文字の焼印がある小判型の見た目も綺麗な出来上がりで、身延饅頭の人気の原因と言えるかもしれません。客が売店に一歩足を踏み入れると、ほんのり味噌の香りもして上品な和菓子の雰囲気を感じます。薄皮の中身は濃厚な漉し餡で甘さを控えたマイルドな味わいのため、老若男女を問わず好まれるのでしょう。

身延山久遠寺の界隈のお店はもちろんのこと、身延駅前の商店街にある身延饅頭の専門店にも頻繁に客が訪れて購入しています。店の前に駐車場が無く、少し離れた町営駐車場に車を停めなければいけないのですが、交通量の少ない駅前の車道に駐車して短時間で買って行く客がよく見かけられます。身延駅前の富士川をはさんで対岸には国道52号線が通っていますが、身延饅頭を買うために国道からわざわざ迂回して駅前の店で買い込む客もいます。身延饅頭は箱詰めだけでなく、少数の袋入り販売や1個ずつのばら売りもしてくれます。

身延饅頭を最初に作ったのは、身延山門前町の甘養亭という和菓子屋の店主と言われています。甘養亭の店主は身延山久遠寺の法王の依頼を受けて、食べ物を制限された修験者の嗜好品として身延饅頭を創作したのでした。甘養亭のほか、身延山門前町では松屋菓子舗という和菓子店が身延饅頭を自家製造しています。身延駅前で人気の身延饅頭販売店は栄昇堂という名前で、駅を出て右手に出ると「しょうにん通り」をはさんだ正面に店を構えています。身延饅頭は日持ちがしないので、遠方のアンテナショップなどで販売することは難しいのですが、甲府のデパートなどでは販売されているところもあります。

身延という地域の特性

山梨県南巨摩郡身延町は、日蓮宗の総本山である身延山久遠寺があることで有名です。身延山久遠寺は13世紀後半の鎌倉時代に日蓮が構えた草庵から拡大したものでした。その後身延の地域は信州一帯を制圧した武田信玄の流れを組む穴山氏の支配下にありました。穴山氏の後には徳川家が引き継いで、江戸時代には身延山久遠寺が修験者と参拝客で大変な賑わいを見せ、身延は門前町として栄えました。身延町は山間部ゆえ米や麦などの農業が困難で、西嶋和紙という手漉き和紙やこうぞ・みつまたの生産などに力を入れるようになったのです。

また幻の大豆と呼ばれる「あけぼの大豆」の生産地でもあり、街道沿いにある「みのぶゆばの里」で販売されている身延湯葉も特産品となっています。さらに大豆を使って作る味噌を利用して、身延饅頭の薄皮の生地に練りこむ手作り味噌の製造も盛んです。20世紀終わり頃から竹炭の生産も始め、消臭剤として人気のお土産になっています。富士五湖の1つである本栖湖は、カヤックやボードのメッカで、キャンプ場も整備されている身延町の観光スポットとなりました。

身延には下部温泉もあり、温泉街一帯に複数の温泉旅館が立ち並んでいます。身延を通る国道が52号線で、静岡県の興津から山梨県の双葉までをつなぐ山梨県の大動脈として陸運には欠かせない存在です。途中山間部を含むので降雨量が多いと閉鎖されてしまうのが難点です。52号沿いの富士川は水量が大幅に少なくなることもあって水運は発達していません。

山梨県の身延山久遠寺に参拝したら、帰りに身延饅頭を買って食べてみてはいかがでしょうか?

JR身延駅に寄ったり、身延山久遠寺に参拝したりする機会があったら、ついでに身延駅前の栄昇堂や門前町の甘養亭でばら売りの身延饅頭を買って、店内で無料のお茶を飲みながら1つだけでも味わってみることをおすすめします。

ザ・ご当地検定の問題

Q. 身延山久遠寺近くで販売される名物「身延饅頭」は、どこの都道府県のご当地和菓子?

A.山梨県

Q. 山梨県南巨摩郡身延町にある、日蓮宗の総本山であるお寺は?

A.久遠寺