山形県庄内地方に伝わる、茎まで食べられるイモ「からとり芋」って、どんなイモ?

茎まで食べられる「からとり芋」を知っていますか?この芋は山形庄内地方で今も作り続けられている伝統野菜です。根である芋の部分はもちろん、茎まで食べられる食材として地元で愛されています。「からとり芋」の秘密を探ってみましょう。

「からとり芋」はどんな芋??

「からとり芋」は、山形県庄内につたわるサトイモの一種です。根っこの部分はサトイモの親芋のような形をしていて、甘く炊いた煮物や汁物に使われます。サトイモ科ですが、子芋、孫芋は食べません。サトイモほど粘りがなくしっかりとした肉質のため煮崩れしにくく、煮物にぴったりです。甘みがあって、煮るとほくほくとねっとりの両方を味わえます。寒い東北の貴重な栄養源として、家庭で食されてきました。
栽培は、普通畑と水苗代など水田での方法があります。「からとり芋」は乾燥に弱く、水田のほうが水の管理が容易なため水苗代で育てる農家が多いです。9月から12月上旬が収穫時期で、そのころには地元スーパーや産直にたくさん並ぶのを見る事が出来ます。

芋より有名?「からとり芋」の茎の部分

「からとり芋」と聞いて、ピンとくる人は少ないかもしれませんが、茎である「ずいき」ならご存知の方も多いのではないでしょうか。「からとり芋」の茎である「ずいき」は水分が80%前後含むみずみずしい食材で、皮をむき、塩を加えたお湯で短時間ゆでた後、冷水に浸けてあく抜きをすると、色鮮やかな緑色になります。酢味噌にあえたり、おひたしにするとおいしいです。淡泊であっさりとした味で、しゃきしゃきした歯触りが特徴です。

また、風通しの良い日陰に茎を吊るして乾燥させた「芋がら」は、もみ洗いし、お湯に浸けて戻してから調理する昔ながらの保存食です。一年を通して汁物などで楽しめる具材として重宝されています。
もし「芋がら」が手に入ったら庄内地方で昔から親しまれている納豆汁をぜひ作ってみてください。戻した「芋がら」をみそ汁の中に入れ、すりばちでねばねばにすった納豆を加えたトロトロの納豆汁は、冬の体にしみいる味です。
茎の部分は人の背丈以上になるほど成長するそうで、この地に住む人たちはたくさん採れる茎を上手に活用してきました。

「からとり芋」を生んだ豊かな自然広がる庄内地方ってこんなところ!

この「からとり芋」が生まれた庄内地方は、庄内平野を中心とした山形県の日本海沿岸にあり、出羽三山(羽黒山、月山、湯殿山)と、秀峰・鳥海山などの山々に囲まれ、海と山という豊かな自然に恵まれた地域です。日本有数の穀倉地帯としても知られ、ブランド米「つや姫」などが知られています。その他だだちゃ豆、刈屋梨、メロン、などが庄内を代表する農産物です。
庄内地方は対馬海流の影響を大きく受け、内陸部よりも温暖で積雪量が少ない気候ですが、年間を通じて風が強く、特に冬には北西の季節風が吹き、吹雪となる日も少なくありません。

また、出羽山脈から吹く南東の風が日本海側の庄内平野に吹き渡る通り道となり、夏場でも強風が続きます。庄内平野側に当たる清川では、この風のことを「清川だし」と呼んでおり、日本三大局地風の一つに数えられています。
観光名所としては、数多くの名所旧跡が残っています。義経一行が一夜を明かした御諸皇子神社には、「青葉の笛や「祈願書」など義経にまつわる数々の品が残されています。新庄の本合海から舟で最上川を下った俳人松尾芭蕉は清川に上陸し、羽黒山を訪れました。明治維新の申し子清河八郎が生まれ育ったのもこの土地です。また、庄内藩が新政府軍と戦った古戦場、御殿林があります。
そんな歴史の偉人達も、この地で茎まで食べられる「からとり芋」を食したのかもしれませんね。

庄内地方で作られている、茎まで食べられるサトイモ「からとり芋」をみつけに山形県へ

山形県の定番食材、茎まで食べられるサトイモ「からとり芋」をご紹介しました。一度、新鮮な「からとり芋」を食べられる庄内地方に遊びに行きませんか?ここでご紹介した以上の「からとり芋」の美味しいお料理がみつかるかもしれません。

ザ・ご当地検定の問題

Q. 山形県庄内地方に伝わる、茎まで食べられるイモ「からとり芋」は、どんなイモ?

A.サトイモ