「和歌山ラーメン」のスープの味は主にどれ?

その地域の特産品や文化を盛ったご当地グルメの中でも、ご当地ラーメンは人気の高いグルメのひとつ。ご当地ラーメンの走りと言われているのは、なんと「和歌山ラーメン」なんです。そんな和歌山ラーメン、実は奥深い歴史があるのをご存知でしょうか。

スープの基本は「豚骨醤油系」

和歌山ラーメンは大きく分類すると、醤油ベースで黒く透き通ったスープの「醤油ベースの豚骨醤油味」と豚骨ベースでマイルドなスープが特徴の「豚骨ベースの豚骨醤油味」の2つの系統があります。また、他にも食べ方、店での応対など他の地方には見られない風習が多く、1つの地域文化として認識されています。

地元では「和歌山ラーメン」などとは呼ばず「中華そば」と呼ぶのが一般的ですが、各種メディアで紹介されたこともあり今では「和歌山ラーメン」として呼ばれるのが一般的になっています。
一般的に醤油系は「和歌山の中華そば」の主流とされており、豚骨醤油系は全国で知られる「和歌山ラーメン」の典型と認識されていることが多いようです。系統は違えど、麺はストレートのやや細麺で、具はチャーシューやかまぼこ、メンマ、ネギなどとシンプルなものがベースになっています。

独特の文化、和歌山ラーメン

ご当地ラーメンには地域によって様々な特徴がありますが、和歌山ラーメンには他の地域にはない、この地域特有の慣わしがあります。

大半の店でテーブルやカウンターに用意されているのが細長い包みの中身はなんとお寿司。早寿司(はやずし)と呼ばれる小ぶりの鯖寿司で、中華そばが提供される前に食べる人が多いです。和歌山の特産品のひとつでもあります。中には巻きずしを置く店も。そして、早寿司とセットで置いてあるのはゆで卵。地元の人には当たり前の光景だそうですが、他地区から来た人にはちょっとびっくりですよね。

和歌山ラーメンを楽しんだ後にお会計…となった時にも和歌山独自の文化に出会います。伝票がないのです。これも特徴のひとつらしく、「中華そばと早すし」などと、食べた物を自己申告する制度になっています。「お客さんの良識も含めて、中華そばの文化」という、なんとも素敵な文化です。

和歌山、特に中心となる和歌山市では、戦前からラーメンが食されていたと言われており、井出商店の井出つや子さんによると、昭和8年には中華そばの屋台がそうです。戦後は、屋台のラーメン屋が多数軒を連ねました。

このようにラーメン文化が広がったのは、和歌山は立地的に湯浅などの醤油産地に近いため、県民が醤油の味に慣れ親しんでおり、また隣県などからスープの材料となる豚骨や鶏がら、魚介類などを仕入れやすかったためである。とされています。

和歌山ラーメンのルーツと深く関わっているのが71年まで和歌山市中心部を運行していた路面電車です。停留所そばには沢山のラーメンの屋台が林立していました。車庫前系で言えば、ほかにも『丸宮』『丸木』『丸平』とか有名なお店があります。元祖車庫前系ラーメンの『丸高』から丸の頭文字を取って派生したらしいのです。すなわち、店名が『まる○○』だったら車庫前系ってことですね。

メニューのレパートリーやトッピングが少ないのも和歌山ラーメンの店の特徴です。基本的にラーメンは1種類。スープや麺は同じものを使い、多彩なトッピングメニューは無いお店が多いのです。

これは「スープの味やトッピングの種類を増やす事に手間をかけるより、いつもの味を変えずにお店に出すことが大事」と考えるお店が多いためでしょう。

「水はセルフサービス」。他の地区に比べ、こんな店が多いのも和歌山ラーメンの特色です。水をセルフにするのは「お客さん全員が水を飲みたいわけでなく、飲みたいお茶やジュースを持ってくる人もいるから」。なんと一部ではソフトドリンクの持ち込みを認めているお店もあります。

最近ではオーソドックスなタイプの店だけでなく、バリエーションが出てきてもいます。ラーメンを待つ間に気軽に食べられるようにとの配慮として、サイドメニューに、おでんやどて焼きなどを置く店も増えてきました。古くからの「もてなしの心」は今も健在のようです。

ザ・ご当地検定の問題

Q. 「和歌山ラーメン」のスープの味は主にどれ?

A. 醤油豚骨