和歌山・紀州田辺で作られる蒲鉾「南蛮焼き」。何と読む?

和歌山県の紀州田辺には、老舗のかまぼこ屋さんが手がける「南蛮焼き」という名物があります。「南蛮焼き」は、西日本近海で獲れる新鮮な魚を生のまま一匹一匹手作業でおろしてすり身にし、一枚ずつひっくり返して焼きしめる、淡白で上品な味わいのかまぼこ。その「南蛮焼き」、何と読むかご存知でしょうか?

南蛮渡来の製法から「南蛮焼き」と付けられた

「南蛮焼き」は「なんばやき」と読みます。「なんばんやき」と読んでしまいそうですが、なんばんやきと読むと鶏肉などとネギ、唐辛子、油を使った料理のことを指します。全く同じ漢字なので、かまぼこの方をひらがなで「なんば焼き」と表記する場合が多いようで、パッケージにも「なんば焼き」となっています。かつて城下町だった風情が残る田辺市で、江戸末期の1865年の創業である老舗「蒲鉾たな梅」によって製造・販売されており、その製法が南蛮渡来だとも言われ、名前の由来となっています。

レトロなパッケージデザインもかわいい

一般的なかまぼこは半円型をした板付けになったものをイメージする人が多いでしょうが、南蛮焼きは正方形に近い形。そして、通常のかまぼこは「蒸しかまぼこ」が多いですが、南蛮焼きは「焼きかまぼこ」というのも特徴の1つで、正方形の真ん中に、じっくり焼いたことによって付いたまん丸の焼き色があります。南蛮焼きが入れられているパッケージは、赤色と黄色、モスグリーンが目にも鮮やかなレトロかわいいデザイン。お土産として貰ってもうれしい一品ですね。

ていねいに昔ながらの製法で作られる南蛮焼き

南蛮焼きはもともとお殿様からの「お土産として江戸まで持参するのに生の魚だと腐ってしまうので、干物以外で日持ちするものを作りなさい」という命令で作られたものだとか。そのなんば焼の原料は、主に西日本でとれる新鮮なエソやグチという魚。おいしいけれど小骨が多いこれらの魚を鱗を取り、3枚におろします。それをミンチ状にして、卵白を加えて練り、塩・酒・砂糖を加えて調味してすり身します。型に詰めたすり身を弱火で、蒸し焼きのような状態で40分ほどかけて焼き上げられます。ふっくらと焼き上がった南蛮焼きには、お店の焼印が一つ一つ手作業で押され、出来上がりです。

そのまま食べるのがおすすめ

南蛮焼きは煮たり焼いたりすると風味を失ってしまうので、調理せずにそのまま食べるのがおすすめです。歯ごたえを楽しむ為に1cm強ほどの厚めに切りましょう。わさび醤油や海苔などをつけますと一層おいしいとのことですが、臭みがまったくない上品な味わいで、そのままでも十分おいしくいただけます。

南蛮焼と並ぶ田辺市の名産「ごぼう巻」

南蛮焼きの原料となるエソやグチは、かまぼこなどに使われるすり身となるのは全体の3~4割しかありません。無駄になってしまう部分を減らすべく、なんば焼の副産物として生まれたのが「ごぼう巻」です。ごぼう巻はやわらかく茹で上げたごぼうを魚のすり身でつなぎ、すり身をつくる際に出た魚の皮を何枚も手作業で巻き付けます。そして、表面を焦がさないよう、こんがりと焼き色が付けるべくこちらも手作業で一つ一つ返していき、最後に秘伝のタレにつけ込まれて出来上がります。程よい歯ごたえのごぼうに、魚の旨みが凝縮された魚皮とすり身、うまみを引きたてる甘辛いタレが合わさってビールなどの肴にぴったりです。

賞を受賞している名産品

南蛮焼きとごぼう巻は和歌山ならではの食品ということで、県が推奨する優良な県産品「プレミア和歌山」としても認定されています。また、南蛮焼きは平成27年度プレミア和歌山推奨品審査委員特別賞を受賞するほどの名品。どちらも紀州田辺に来た際にはぜひ食べてみたい一品ですね。

ザ・ご当地検定の問題

Q. 和歌山・紀州田辺で作られる蒲鉾「南蛮焼き」。何と読む?

A. なんばやき