徳島県の郷土料理である、サトイモやダイコンの葉などを加えた雑炊は?

徳島県の郷土料理で、サトイモやダイコンの葉などで作る雑炊のことを何というかご存じでしょうか?

徳島の郷土料理「おみいさん」!?

徳島県には、古くからある家庭料理で「おみいさん」と呼ばれる雑炊があります。雑炊といっても汁気がなく”おじや”に近い見た目です。
サトイモやダイコン、ダイコンの葉などがたっぷりと入っていて味噌味の雑炊「おみいさん」。お味噌汁にご飯を入れたような料理とも言われますが、たくさんの具材が入っており、福島県の人々にとっては故郷の味です。昔からこのメニューへのリスペクトも高いという「おみいさん」について深堀りしてみます。

「おみいさん」は人の名前ではなく「味噌」のこと?!

「おみいさん」とは、なんだか親しい人を呼んでいるような名前ですが、誰の名前でもありません。地元では味噌のことを「みい」と呼んでいたことに由来します。それに「お」と「さん」まで付いていて、地元ではとても大切にされてきた証です。
徳島では昔から米が育ちにくく、麦や蕎麦が米の代わりとなる主食でした。また貴重な米を食べる際には、たっぷりとサトイモやダイコンなどを入れ、かさ増しをして食べていたのだそう。身近ながらも大事に食べられてきた郷土料理なのです。
味噌で味付けをする以外には特に決まった作り方も決まった具材もないそうで、よく入れられるサトイモ、ダイコンの他には、家庭によっては豆腐やニラ、玉子などを入れる家庭もあるのだとか。
野菜がたくさん入っていて健康的、疲れた胃にも優しいメニューの「おみいさん」。経済的でお財布にも優しく、たっぷりと食べられて腹持ちも良いことから、長く庶民の間で親しまれてきた素朴で懐かしい味です。
また地元では、米の出来が悪く出荷に至らない小さな米なども処分することなく「おみいさん」にして食べていました。冷や飯とみそ汁の残りでも作ることができることから、日常的に食べ物を残さず大事に食べるという精神が「おみいさん」の中に息づいているようです。

「おみいさん」には、味噌といりこだし?!

「おみいさん」は味噌で作る雑炊なのですが、いりこだしを使うのがスタンダードです。昔はだし汁をいりこ(煮干し)から作っていたそうで、簡単に作れる「おみいさん」ながら、調理の前日からいりこを水に浸してだし汁をとるというこだわりがあると、なお本場の味になりそうです。
ご飯も冷や飯を入れても美味しく作れますが、研いだ米を入れて味噌で炊くとまたぐんとひと味違うようです。
おこげができることも嬉しいという一面もありながら、味噌は混ぜると焦げついてしまうので味噌を投入した後は混ぜずにそのままにほったらかしにするというコツもあるのだそう。
寒い日にも喜ばれる、あたたかい阿波の味「おみいさん」。冷えた身体を温めてくれる上に、農村で暮らす先人の知恵がたっぷりと詰まっています。
実は、味噌とご飯にたっぷりの野菜を使うことで、ビタミン・ミネラル・食物繊維などが上手に手軽に摂取できる優れた料理なのです。

徳島には「そば米雑炊」もある!!

そんな徳島県には他にも「そば米雑炊」「そば米汁」と呼ばれる郷土料理もあります。
主に徳島の祖谷(いや)地方に伝わる郷土料理で、そばの実を米に見立てて野菜や肉と煮込んで雑炊にした料理です。
やはり米が育ちにくい気候と土壌があった徳島県。米の代わりにそばの実をそのまま塩ゆでした後、殻をむいて乾燥させ、こんにゃくやニンジン、干しシイタケ、鶏肉などを一緒に煮込み、雑炊に仕上げます。
この地方には昔、源平合戦に負けた平家がやってきました。その際に米の代わりとなり、短時間で育つそばの実を栽培したことから、そば作りが定着したのだそうです。
そしてこの平家の人々は正月になると、そばの実を「そば米」にした「そば米雑炊」を作って食べていたのだそう。野菜や山菜を入れるのが主流ですが、ご馳走の際には山鳥の肉も入れていたのだそうです。
そばの実を粉にせず食すのは全国では珍しい文化なのですが、徳島ではスーパーなどでも気軽に買えるほどおなじみの食べ方となっています。
実は、そば米は茹でると4倍以上の大きさに膨らみ食べ応えもあり、タンパク質・ミネラル・食物繊維も豊富で栄養価が高い食材です。
徳島には、米が豊富に取れなくとも栄養とお腹を満たす万能郷土料理が昔から根付いていたようです。

ザ・ご当地検定の問題

Q.徳島県の郷土料理である、サトイモやダイコンの葉などを加えた雑炊は?

A.おみいさん