すき焼きの肉を魚に代えたような内容の、島根県大田市の郷土料理は?

島根県のほぼ中央に位置する大田(おおだ)市は、日本海に面しており、海の幸に恵まれたところです。大田市に古くから伝わる郷土料理に「すき焼き」に似たようなものがありますが、こちらのメインは肉ではなく魚。どんな料理でしょうか。

甘辛いしょうゆで味付けられた、魚のすき焼

「へか焼き」は旬の魚、野菜や豆腐を浅い鉄製の鍋ですきやき風に煮込んだもので、島根県大田市の郷土料理です。カレイ、コトチ、甘鯛、カナガシラ、ノドグロなどの旬の魚を使い、海の恵みをたっぷり受けた鍋料理なのです。

「へか焼き」の由来

「へか」とは農機具の「すき」の先の金属部分のことをいい、これを鍋代わりに用いたことから「へか焼き」という名前が付いたとされています。

大田市で昔から根付いている漁法に「一日漁」というものがあります。この漁法は早朝に出港し、近海で獲れた魚をその日の夕方には水揚げするもの。「へか焼き」に使われるカレイ、アマダイ、ノドグロといった旬の魚介も、この一日漁でとれるものが多く、新鮮な魚介を豪快にぶつ切りにして食べるのは「へか」の特徴でもあります。

その昔、漁師は肉を食べたあとに海へ漁に出てはいけないと言われていました。今でも続いている「宮ごもり」という伝統行事がありますが、これは1月10日の夜から翌朝まで漁業者が宮にこもり、海上安全や大漁祈願を願って行う祭りです。そして11日には漁船の乗組員とその家族、魚商人たちが賑やかにへか焼きを食べる習わしがあります。

へか焼きはかつては魚介だけを煮ていたといいますが、やがて白菜やたまねぎ、しめじといった季節の野菜なども加わり、すき焼きの魚版のようなスタイルが主流になりました。

「へか焼き」の作り方

へか焼きはしょうゆベースの割り下で旬の魚と野菜を豪快に煮込むヘルシーなお鍋。すき焼き鍋で簡単に作ることができます。材料は旬の魚(カレイ、甘鯛、ノドグロなど)、と野菜(白菜、玉ねぎ、春菊、しらたき、大根など)、こんにゃく、豆腐、しょうゆ、砂糖を用意します。

10センチ程度の大きさの魚はそのまま丸ごと使います。甘鯛のような大きな魚は4〜5センチのぶつ切りにしましょう。野菜は食べやすい大きさに切ります。鍋に水としょうゆ、砂糖を入れて煮立ったところに魚を入れます。魚に半分くらい火が通ったら鍋の外側に寄せ、こんにゃくと豆腐を入れます。真ん中に野菜を入れ煮立ったら出来上がり。つゆは魚の旨味が十分にしみ出し、魚の身もホロホロと柔らかくおいしいお鍋の出来上がりです。シメにはご飯と溶き卵を加えて雑炊して最後までいただけます。

世界遺産の町・大田

大田市には2007年7月に世界遺産に登録された石見銀山があります。今も当時の間歩(まぶ)と呼ばれる採掘坑道や、銀によって栄えた街並みを歩くことができます。

石見銀山を観光するなら、まず最初に「石見銀山世界遺産センター」を訪れましょう。銀山発見当時から、現在に至るまでの石見銀山の歴史がわかりやすく展示されています。坑夫の発掘現場の様子や当時の生活ぶり、鉱山技術などをジオラマや資料で知ることができるので、この先の石見銀山の旅をより楽しめます。

龍源寺間歩は世界遺産の石見銀山にある大小合わせて900以上の間歩のなかで唯一、常時公開されている坑道跡です。間歩は全てが手作業で掘られており、当時の抗内の様子を伺い知ることができます。

銀山跡を見学した後は、大森の町並みを散策するのがおすすめ。かつて世界二大銀山のひとつとして海外にまで名を馳せ、銀によって栄えたこの地区は、まるでタイムスリップしたかのようなノスタルジックな雰囲気にひたることができます。古民家を活用した雑貨店やパン屋などが立ち並び、お洒落なカフェなどもあるので疲れたら一息つくこともできます。

ザ・ご当地検定の問題

Q. すき焼きの肉を魚に代えたような内容の、島根県大田市の郷土料理は?

A. へか焼き