島根県出雲の特産である「十六島のり」は何と読む?

島根県・出雲の国は、はるか昔の風土記の時代より海苔の特産地として全国に知られ、特産品である「十六島のり」は高級海苔の代名詞とも言われています。さて突然ですが、この「十六島のり」、読めますか?

最高級の岩海苔「十六島のり」

「十六島のり」は「うっぷるいのり」と読みます。知らない人はまず読めないようなこの海苔は、島根県出雲市十六島町で採られる天然の岩海苔です。キメが細かく香りが上品で最高級の岩海苔といわれ、磯の香りがとても強く、コシのある食感が特徴です。食物繊維や各種ミネラルが豊富でノンカロリー、海藻類の中でも特にたんぱく質が多く、大豆より質・量共に優れており、栄養面からも優れた食品と言えます。出雲地方では、十六島のりを正月の雑煮に入れて食されてきました。しょうゆで味付けした出汁で餅を煮て海苔を浮かべて食べます。

日本で最も古い海苔ともいわれている海苔

十六島のりの歴史は古く、出雲風土記に記載されているほどで、奈良・平安時代には貢納品として朝廷へ納められました。料理や茶席に用いられたことで、全国に名が知られるようになったとされています。

十六島のりの収穫時期は12月から1月までという、ごく短い期間に限られています。厳しい冬の荒れ狂う日本海の足場の悪い岩場で「シマゴ」と呼ばれる人達によって、絨毯のように貼り付いているのりを、指先で巻き付けるようにして採っていくという大変な労力をかけて収穫されます。

島根県の方では別名「かもじのり」とも言われています。「かもじのり」の「かもじ」とは、かつらや付け毛のようなもので、つややかな黒さが女性の黒髪のようだったため、そのように呼ばれるようになりました。

十六島のりの産地

十六島のりがとれるのは、島根半島西部、出雲市十六町の海岸に突出した岬で、大岩石や奇岩が林立し日本海の荒波にもまれ、山陰でも屈指の海岸美を呈しているところ。十六島の語源は、海藻を採って打ち振るって日に乾す「打ち振り」がなまった説、朝鮮語の古語で「多数の湾曲の多い入江」という意味など諸説ありますが、十六島の漢字は海苔島が十六あったところからあてられたとも言われています。しかし、はっきりしたことはわかっていません。

すごいぞ!海苔の栄養パワー

海苔ってペラペラしていて、黒くて、ぜんぜん栄養がなさそう…と思っていませんか? とんでもありません。海苔には多くの成分が含まれており、「海の野菜」と言われているくらい。特に良質のたんぱく質、カルシウム、ビタミンA、ビタミンB12など、体の健康に欠かせない成分を多く含んだ自然食品なのです。

海苔の40%はタンパク質でできています。これは大豆により多い含有量で、必須アミノ酸をすべて含んだ良質なアミノ酸でできています。

そして、焼海苔約1帖には、みかん1個に含まれる1.5倍の量のビタミンCが含まれています。一般にビタミンCは熱に弱いため、調理などで加熱すると栄養素が破壊されてしまいますが、海苔に含まれているビタミンCは熱に強く、焼いても栄養素が壊れないのです。

また海苔の約3分の1は食物繊維。なんとほうれん草の約2倍近くも含まれています。食物繊維は野菜に多く含まれますが、海苔の食物繊維は野菜に含まれる食物繊維と違い柔軟で、胃壁や腸壁を傷つけることなく穏やかな整腸作用を行います。

海苔約3枚には豚肉肩ロース(薄切り肉約1枚分/30g)にあたるビタミンB1、B2が含まれています。ビタミンB1、B2は、糖質を効率よくエネルギーにかえてくれる成分。ごはんも糖質ですから、おにぎりに海苔を巻いたりするのは、日本人の知恵なのですね。海苔は一日に2枚食べると健康にいいと言われているので、これを目安に食べていきましょう。

ザ・ご当地検定の問題

Q. 島根県出雲の特産である「十六島のり」は何と読む?

A. うっぷるいのり