佐賀県の郷土料理「ふなんこぐい」といえば、生きたフナをどうする料理?

佐賀県鹿島地方に古くから伝わる郷土料理に「ふなんこぐい」というものがあります。名前を聞いただけでは想像できるような、できないような料理ですが、どういった料理でしょうか?

佐賀県鹿島地方に古くから伝わる冬の保存食

「ふなんこぐい」は昆布で巻いたフナを大根やレンコン、ごぼうなどの野菜一緒に煮込んだ、鹿島地方に古くから郷土料理です。「ふなんこぐい」という名前は「ふなの煮こごり」が転じたものと考えられています。佐賀平野に走る網の目状のクリークと呼ばれる用水路には、フナをはじめとするたくさんの淡水生物が生息し、地域に暮らす人々の大切なたんぱく源となっていました。

ふなんこぐいの由来

ふなんこぐいの起源ははるか昔の飛鳥時代にまで遡り、壬申の乱の勝者で有名な天武天皇の娘で、大友皇子妃であった十市皇女が、大友方の天武暗殺計画を知り、フナの腹に文書を隠して父に知らせた事に由来するといわれています。その時にフナを昆布で巻いて隠したそうで、それをいつしか煮込むようになったのだとか。また、佐賀県の東部ではお祭りのときに食べるなど、地域によって微妙に風習が違っています。

ふなんこぐいが食べられる珍しいお祭り「ふな市」

「ふな市」は鹿島市の浜町で300年以上も昔から続く伝統行事です。この地域では二十日正月の前日、恵比寿様や大黒様に商売繁盛・無病息災を願って「ふなんこぐい」をお供えする慣わしがあり、ふな市で買ったフナで作ります。ふな市では地元の女性たちが協力して、2日かけて作ったふなんこぐいの試食がふるまわれ、「骨まで柔らかい」、「昆布の旨みが染み込んでいる」と訪れた人々の人気を得ています。もともとは家庭で作られるものでしたが、20時間以上かけて煮込むなど、とても手間ひまがかかるため、今ではほとんど見かけなくなったそう。ふな市では、ふなんこぐいを買うこともでき、また市の数日前から市内のスーパーでもフナやふなんこぐいを販売していることがあるそうです。

ちなみにふな市の始まりはその昔、商家や酒造元、網元などが奉公人や蔵男たちを主座に据えて労をねぎらい、ごちそうをふるまったことからと言われています。こういった席には普通なら鯛を使った料理が出されるのですが、有明海ではあまりとれず、しかも高価だったので、鯛によく似たフナを代用したことのではないかとされています。

まだある佐賀県の珍味「ワラスボ」

有明海に生息する生き物と言えばムツゴロウですが、「ワラスボ」という生き物をご存知でしょうか? 日本ではここにしか生息していない珍しい生き物で、ハゼの仲間です。見た目がとても怖く、歯がギザギザでいかにも凶暴ないでたちで、まるでエイリアンのよう。干潮時には穴を掘って休んでいますが、それ以外は潮流に流されながら棲息しています。「ワラスボ」という名前の由来は、麦わらを束ねて筒状にしたものに似ていることから「藁素坊」と呼ばれた、と言われています。

刺身にして食べたり、干物にしたり、佐賀では割合ふつうに食べられているようで、郷土料理を出す居酒屋などでも提供されています。刺身はあっさりした白身の魚で思ったよりもクセはなく、おいしくいただけます。刺身はちょっと…という方は干物がおすすめ。炙るとパリパリになって香ばしく、スナックのようにつまめます。おやつはもちろん、お酒のアテやつまみにもぴったりです。

ザ・ご当地検定の問題

Q. 佐賀県の郷土料理「ふなんこぐい」といえば、生きたフナをどうする料理?

A. 昆布で巻いて煮込む