スイーツに見えない新潟県の地元スイーツとは?

新潟県の県都新潟市、その一部である西蒲区(にしかんく)には伝統的なスイーツがあります。でも、その見た目はスイーツとは思えない姿。今回はそのちょっと変わった伝統菓子をご紹介しようと思います。

農家のおやつがはじまり

そのスイーツは「おこわ団子」と呼ばれます。おこわ団子を簡単に説明すると、あんこを包んだお団子を、醤油味のおこわで包んだものです。ぱっと見は、おこわの一口おにぎり。小豆もまぶされているので、赤飯のおにぎりのようにも見えます。ところが、その下には具としてお団子が包まれていて、さらにお団子の中にはあんこが入っています。あん団子は一般的にはお団子の上にあんこをかけたもの。でも、新潟県ではあんこを包んだお団子が一般的なようです。新潟県のもう一つの伝統スイーツ「笹団子」も、あんこが包まれています。

新潟市の農家では、もともと冷めたご飯を蒸してあたため、余った笹団子などを包んで食べるという風習があったといいます。そうした風習の派生系として、おこわでお団子を包んで、農作業中のおやつとして食べられていたのがおこわ団子です。そのおこわ団子を、西蒲区の岩室温泉にある甘味処・角屋悦堂が商品として売出し、そこから知名度が高まって、西蒲区で広く売られるようになったようです。現在では、小豆をまぶしたシンプルな醤油おこわで包まれているものから、栗おこわや五目おこわで包んだものなど、様々な派生型が生まれています。

ところで、新潟市にはもう一つ「団子おこわ」という伝統料理もあります。これは、おこわ団子とは逆に、おこわにお団子が混ざっているというものです。一度蒸し上げたおこわとお団子を層状に並べ、もう一度蒸して作るという手の混んだもの。おこわ団子も団子おこわも、お米がたくさんとれる米どころ新潟ならではの文化ではないかと思います。

おこわ団子を食べるには?

元祖おこわ団子の角屋悦堂は、西蒲区の岩室温泉郷にあります。岩室温泉までは、上越新幹線燕三条駅から在来線の弥彦線に乗り換え、岩室駅で下車。そこから車で10分ほどです。他に、彌彦神社周辺の和菓子店でもおこわ団子が販売されているようです。彌彦神社までは、同じく燕三条駅から弥彦線に乗り換え、終点の弥彦駅下車。そこから徒歩で15分ほど。どちらかといえば彌彦神社に行くほうが行きやすいようです。

彌彦神社の門前町には和菓子店が並び、それぞれ特徴的なおこわ団子を販売しているので、バリエーションを楽しみたいなら彌彦神社周辺。オリジナル商品を味わいたいなら角屋悦堂を選ぶのがいいのではないでしょうか?弥彦神社と岩室温泉はそれほど離れてはいないので、どちらも味わうというのもありではないかと思います。

岩室温泉と弥彦温泉

岩室温泉は江戸時代から続く温泉地です。その始まりにはおとぎ話のような伝説が伝わっています。江戸時代の初期、岩室村の庄屋さんの枕元に白髪のお爺さんが現れ、今岩室温泉がある場所を探すようにとお告げしました。庄屋さんが言われたとおり探してみると、怪我をした雁が温泉に入って傷を治しており、そこから岩室温泉が始まったといいます。このため、岩室温泉には「霊雁の湯」という別名があります。岩室温泉は含硫黄・ナトリウム・カルシウム塩化物温泉。神経痛や皮膚病に効くといいます。

一方、彌彦神社の門前には弥彦温泉があります。こちらは岩室温泉のような伝説はなく、また江戸時代に温泉地があったことは記録にあったものの、その後長いこと温泉は枯れていました。その後、昭和35年に新たに温泉が掘り当てられたものの、それも枯渇。現在の温泉は平成18年に新たに開発された源泉が利用され、弥彦湯神社温泉と呼ばれています。岩室温泉、弥彦温泉、どちらでもおこわ団子を楽しめますから、温泉旅行のついでに味わってみてはいかがでしょうか?

新潟県の旅の思い出におこわ団子はいかがですか?

新潟県の農家のおやつとして昔から親しまれてきたおこわ団子。しょっぱいおこわと甘いお団子のハーモニーが絶妙なスイーツです。新潟の旅を彩る思い出の一つとして、おこわ団子を食べに行ってみてはいかがでしょうか?

ザ・ご当地検定の問題

Q. 次のうち、新潟県の地元スイーツとして実在しているのは?

A.おこわ団子