宮城県では卵とじで丼にもされる、独特のお麩とは?

宮城県には牛タンや笹かまぼこ、ずんだ餅など全国区で知られるグルメがたくさんありますが、B級グルメとしてひそかな人気を誇るお麩があります。特に卵とじにした丼は宮城県の郷土料理として、一般家庭にも浸透しています。

スタミナ源として食されていたお麩

油麩とは、小麦粉のたんぱく質成分を油で揚げた麩です。宮城県北部の登米地方が発祥の食材で、昔から精進料理の食材として使われていました。現在は年中手に入る食材となっていますが、当時は夏の食材として認識されており、暑い夏を乗り切るために豚肉や鶏肉の代用のスタミナ源として食されていた歴史があります。また、肉食を禁じられている僧侶の貴重なたんぱく源でもありました。見た目は直径5センチ、長さ25センチほどのフランスパンのような形状で、常温で3か月ほど保存できます。

色々なアレンジがしやすい食材であるため、みそ汁やそば、うどんの具材以外に炒め物や鍋物などにも使用されています。中でも人気のアレンジが油麩を卵とじにした油麩丼で、宮城県のご当地グルメとして高い人気を誇ります。油麩がだし汁をたっぷりと吸い込むため、口の中に入れるとだし汁の旨味が広がり、ふわふわの食感と卵のとろみの素晴らしいハーモニーを作り出すのが特徴です。

油麩を使ったレシピ

油麩丼は宮城県の郷土料理店などで食べることもできますが、油麩があれば自分で作ることもできます。油麩丼の作り方は1センチの輪切りにした油麩を6枚、長ネギ4分の1本、卵1個、だし汁7cc、さとう大さじ4分の1、しょうゆ大さじ1、みりん大さじ1を用意します。次に、だし汁を鍋に入れて軽く沸騰させた後、さとう、しょうゆ、みりんを投入してかき混ぜます。その中に斜め輪切りにした長ネギと油麩を投入し、油麩を裏返しながら煮汁をしみ込ませましょう。ひと煮立ちしたら溶き卵を回し入れ、半熟状態まで火を通します。最後に丼に盛った白米の上にのせて完成です。

その他にも、肉じゃがの肉の代わりに油麩を使用したり、鶏肉の代わりに水でふやかした油麩を使って唐揚げにしたりと色々なアレンジが楽しめます。肉の代わりとして使用できるので、アレンジの種類は無限大と言えるでしょう。和食だけでなく、洋食や中華料理などとの相性も良いと評判です。油麩を使った料理をおいしく仕上げるためのコツは、油麩を煮込みすぎないことです。ふわふわとした食感を楽しむためには、仕上がり直前に投入してくたくたにしないことが大切になります。

油麩の発祥の地の登米市

油麹の発祥の地とされる登米市では、油麩丼による村おこしを目指して油麩丼の会が結成され、油麩丼をメニューに取り入れるお店が増えています。その成果もあり、B級グルメに甘んじていた油麩丼は、近年は全国的に名を知られるメジャーグルメまであと一歩となりました。また、油麩丼だけでなく、宮城の明治村と呼ばれるほど明治時代に建てられたハイカラな建物が残っており、観光スポットとしても人気が高まっています。素木造り・コの字型・外廊下が特徴的な明治中期に建てられた小学校や明治初期の県庁舎、400年以上前に建てられた武家屋敷など江戸・明治期にタイムスリップした錯覚に陥る街並みが広がっています。

また、美しい自然に恵まれた地域でもあるため、沼地では白鳥やガンなどの渡り鳥、水鳥、原生植物など、山地では国の天然記念物であるイヌワシが営巣する姿を観察することが可能です。夏になると多くのゲンジボタルも姿を現し、無数の小さな光が飛び交う幻想的な光景が見られます。

お店で食べても自分で作ってもおいしい油麩丼

肉の代用品として重宝されていた油麩ですが、現在はローカロリーかつミネラルも豊富であることからダイエット食としても注目されています。まずは宮城県で油麩丼を堪能してから、油麩を購入して自分で作ってみるのも良いですね。

ザ・ご当地検定の問題

Q. 宮城県では卵とじで丼にもされる、独特のお麩といえば?

A.油麩