平成22年、セリの生産量全国1位の都道府県とは?

冬から春にかけて野菜売り場で目立つようになるのがセリです。香りが良くシャキシャキした歯ざわりで、根っこまで美味しく食べられます。今回はセリの歴史や栄養素などをご紹介します。

セリ栽培の歴史や栄養素

セリが自生するのは沢や川の水際など水分の多い場所で、全国に分布しています。奈良時代の古事記などにも食用されていたことが記録されており、栽培され始めたのは元和年間(1620年)くらい、栽培が普及し始めたのは安永年間(1770年)だとする文献が存在しています。宮城県で栽培が始まった土地は、仙台市に隣接する名取市です。名取市の増田地区におけるセリ生産量は全国第1位となっており、「仙台セリ」として東北一円や京浜、札幌などに流通しています。

セリ科セリ属の野菜であることから香味野菜として位置づけられますが、クセが強くないので生でも食べやすい野菜です。香りの成分には鎮静作用のあるイゲノ―ルなどが含まれます。日本には年末年始で食べ過ぎた胃腸を労わるためにセリを含む七草粥を食べる風習がありますが、この成分が役立っているのかもしれませんね。近年は手軽に七草粥が作れるよう、フリーズドライ加工したものも出回っています。シャキシャキした食感は楽しめませんが、実は乾燥させたセリの茎や葉は生薬の一つです。食欲を増進させる効果のほか、解熱や神経痛、リューマチなどにも効果的とされています。セリ自体の栄養素で見ると、ビタミンCやミネラル、βカロテンが豊富で食物繊維も多いです。免疫力を高めて老化を遅らせ、生活習慣病を予防したり食後血糖値の上昇を抑えたりといった効果が期待できます。

名取市ではセリ鍋を新たな郷土料理として根付かせる活動を行っており、居酒屋や食堂などで食べることができます。名取産のセリは茎や根が太く、風味豊かなのが特徴です。セリ鍋は鴨肉か鶏肉を具材のベースにした鍋で、季節に応じた野菜が入ります。セリは火を通し過ぎないように、さっと茹でる程度で汁にくぐらせて食べると美味しいです。

日本の食卓を支える宮城

宮城県は「食材王国みやぎ」と謳うくらい、食材が豊富な土地です。沖積平野の肥沃な大地は米を作るのに適し、様々なブランド米が誕生しています。セリ以外で生産量全国上位に入る野菜はパプリカや大豆、ツルムラサキなどです。畜産も盛んで、ブランド牛やブランド豚が作られています。平成28年度における畜産産出額は773億円、米産出額は712億円でした。また、全国屈指の水産県でもあり、サメ類やカジキ類、マグロ類などの漁獲量が全国トップクラス、ホヤやカキ類、ワカメ類などの養殖物も同様です。水産業は養殖以外では天然資源を獲る形になります。しかし、農業においては耕起や施肥、防虫など様々な工夫が必要です。

そもそも宮城県で農業ができるようになったのは、先人達が開拓してくれたお陰と言えます。仙台市の北部に位置する栗原市に開拓の手が入ったのは、約350年前のことと伝えられます。仙台藩2代藩主伊達忠宗に命を受けた奉行古内主膳重広が中心となって、深く草木が生い茂る荒野に堰を掘り、川の水が引けるようにしていきました。現代のような測量技術はなかったため、夜、提灯の明かりを頼りに測量したと言われています。苦労の末に完成した水路でしたが、十分な水が流れなかったため工事監督が捕まってしまいます。しかし、牢屋の中で水路の途中に滝を設けることを思いついて出してもらいます。そして、実際に大滝を設けたところ水が流れるようになり、無事に新田開発を進めることができました。この堰は伊豆野堰と呼ばれ、多くの米を収穫するために役立てられました。現代においても大活躍しており、伊豆野原一帯の水田に水を送り続けています。

仙台セリを旬に食べて風邪予防!

養液栽培されるようになったセリは通年出回るようになりましたが、仙台セリの旬は2~4月です。冬にはぜひ仙台セリを食べましょう。寒い季節にはほどよいビタミンやミネラルの補給となり、風邪予防になります。名取市のセリ鍋を食べに行くのもおすすめです。

ザ・ご当地検定の問題

Q. 平成22年、セリの生産量1位の都道府県は?

A.宮城県