名物の「あぶり餅」で有名な京都のお店『一文字屋和助』。創業はいつ?

京都府京都市北区に、飲食店としては日本最古の老舗である一文字屋和助があります。扱っているのは、今宮神社の門前菓子であるあぶり餅だけ。長く病気・厄除けとして参拝者に振る舞われてきたこのあぶり餅について、ご紹介いたします。

一人前500円でお茶も付いてくる

あぶり餅は決して高級菓子ではありません。竹の串の先に小さく丸めた餅を刺し、きな粉をまぶしてから炭火であぶって、白みそベースの甘いタレをかけたものが13本くらいお皿に乗せられてきます。これに急須に入れたお茶が付いて一人前500円です。この串は今宮神社に奉納された斎串です。今宮神社の創祀は都に疫病が蔓延した西暦994年ごろのことですが、その前には平安遷都以前から素戔嗚尊(スサノオノミコト)を祀る神社がありました。都に疫病が流行った994年に朝廷は神輿を作って素戔嗚尊を近くの船岡山の山頂に安置して祭を行いました。

その後再度疫病が起こった際に、今度は素戔嗚尊をこの地に戻して社を建て今宮神社と名付けたのです。そのような由来があるので、あぶり餅を食べることには厄を祓う意味があったのです。その後、都を飢饉が襲った時や応仁の乱で都が荒廃した時には庶民にあぶり餅が振舞われたと伝えられています。時代は下がって江戸時代には氏子地域出身の八百屋の娘お玉が、三代将軍家光の側室となり五代将軍綱吉の生母となって、従一位桂昌院となったことから、この神社は「玉の輿神社」と呼ばれ、そのご利益を求める人があぶり餅をよく食べるそうです。

この一文字屋和助は千年の歴史と紹介されることも多いのですが、実際に創業したのは長保2年(西暦1000年)です。つまり、紫式部が源氏物語を書き始める直前の平安時代に創業したと言うことになります。紫式部は晩年この店があるエリアの南側の、現在大徳寺があるあたりに住んでいましたから、もしかすると紫式部もあぶり餅を食べたかもしれないと考えると、その歴史の長さには驚かされます。京都府を代表するお店の一つに数えても大げさではないでしょう。

あぶり餅はテイクアウトも可能

美味しいあぶり餅を持って帰りたいというニーズはあるようで、3人前1,500円で持ち帰り用に包んでもらえます。但し、消費期限は当日限りですし、冷めたら固くなります。電子レンジでの再加熱は可能ですので温め直して食べて下さい。その際には加熱しすぎないように注意が必要です。当日限りの消費期限ですし、もともとが門前のお休み処で供されるものですから、通販などには全く対応していません。京都旅行の際に立ち寄って下さい。場所は大徳寺の裏、今宮神社の隣ですから分かりやすい場所です。今宮神社の脇参道には一文字屋和助の向かいにもう一軒のあぶり餅屋があって、こちらは関ケ原の合戦頃の創業です。二軒の店の並ぶさまは歴史を感じます。

駐車場もあるが公共交通機関の方がおすすめ

自家用車では混雑することもありますから公共交通機関での訪問がおすすめです。阪急電鉄で入洛した場合は河原町駅・烏丸駅・大宮駅で降りて、市バス46系統に乗り換え今宮神社前バス停下車すぐです。京阪電車の場合は出町柳駅で降り、市バス1系統に乗り換え船岡山バス停下車徒歩5分です。さらに、JRで入洛した場合は京都駅から地下鉄烏丸線で北大路駅下車、北大路バスターミナルから市バス1・204・205・206・北8・M1系統に乗り換えて、船岡山バス停下車徒歩5分です。

一文字屋和助の隣にはわりあい広いコインパーキングがありますので、自家用車での訪問も可能です。その際には、脇参道の入り口の石鳥居をくぐることになりますが乗用車が離合できる幅がありません。十分注意して運転して下さい。

あぶり餅を食べながら歴史に思いをはせるのもまた楽しい

一文字屋和助のあぶり餅は創業時の平安時代から数多くの人に食べられ続けてきました。今宮神社の参道に面した床几に腰を掛けて季節の風景を楽しみつつ、千年を超えるその長い歴史に思いを馳せながら、素朴で温かい味を楽しんで下さい。

ザ・ご当地検定の問題

Q. 名物の「あぶり餅」で有名な京都のお店『一文字屋和助』。創業したのは?

A.平安時代