伝承によると、熊本名物「からしれんこん」は、ある江戸時代の大名に献上するために作られたとされています。その大名とは?

「からしれんこん」は、れんこんの穴に辛子味噌を詰め込んで揚げた熊本を代表する郷土料理。地元で長らく愛されるソウルフードであり、全国的にも有名でお土産としても人気です。このからしれんこん、実はれんこん嫌いで病弱だった大名のために考えられ、作られた料理なんです。今回はからしれんこんとそのお殿様についてお話しましょう。

お殿様が愛した門外不出の料理

遡ること350年ほど昔、肥後藩主・細川忠利公は、身体が弱く病弱でお困りでした。これを心配した羅漢寺の玄宅和尚は「何か栄養のあるものを差し上げたい」と苦心しておりました。ある時、れんこんに造血効能があることを和漢の書で知った和尚はれんこんを勧めてみましたが、忠利公はれんこんを「泥の中で育った不浄なもの」とおっしゃって、召し上がりませんでした。そこで和尚は一計を案じて、麦味噌に和辛子粉を混ぜたものをれんこんの穴に詰め、衣をつけて油で揚げて、珍しい料理を完成させたのです。

できたものを忠利公へ献上すると、普段から召し上がるようになったほどたいそう気に入られました。病弱だった忠利公は食欲も増し、みるみる健康になったということです。また、輪切りにしたれんこんが細川家の家紋である九曜(くよう)の紋に似ている事もあって、忠利公は作り方を秘伝とし、明治維新の頃まで門外不出としたのです。

からしれんこんの食べ方

からしれんこん本来の味わいを楽しみたいときは、5~8mmくらいの厚さに切って、シンプルにそのままいただきます。鼻に抜けるツンとした辛さがたまりません。ちょっと味を変えたいなら、輪切りにしたからしれんこんをしょうゆにつけて食べます。また、辛さが気になる方はマヨネーズをつけてどうぞ。マヨネーズのまろやかさと辛味が良く合いますよ。この2つを合わせたしょうゆマヨでもおすすめ。胡麻ドレッシングも辛みがマイルドになります。辛いのがお好みの方は、電子レンジで加熱すると辛みが増します。温めるほどに辛みが増してゆくので、加熱時間には注意。どの食べ方もおつまみにぴったり。お酒がすすみそうですね。またアレンジとして、軽く炙ったり、ソテーして食べても。サンドイッチの具材にすると洋風にいただけますよ。

れんこんの驚くべき健康効果

細川忠利公を健康にした、れんこんの健康効果は一体どんなものなのでしょうか。実は、れんこんは身体に嬉しい栄養素の宝庫。ビタミン、ミネラル、食物繊維やポリフェノールなど、いくつもの栄養素を豊富に含んでいます。

れんこんには抗酸化作用や高血圧予防、むくみや便秘の解消など、健康や美容の効能があり、古くから漢方薬としても重宝されてきました。そのまま生で摂取した場合は熱を取り除き、また止血の効果があるため、発熱したときや鼻血が出た時などに使われてきました。また、れんこんの搾り汁は咳止めや痰切りなど、のどの不調に良いとされています。加熱したものは、胃もたれや食欲不振のときに食べると消化を助け、弱った胃腸に効果があると言われています。

れんこんは、煮ものや炒め物だけでなく、焼いたり揚げたり、すりおろしたりと、さまざまな調理方法ができるので、様々な方法でで積極的に食べていきたいですね。

ザ・ご当地検定の問題

Q. 伝承によると、熊本名物「からしれんこん」は、ある江戸時代の大名に献上するために作られたとされています。その大名とは?

A. 細川忠利