熊本県の天草地方では「姿寿司」にされる、出世魚のコハダが成長して名前が変わった魚は?

熊本のお祝い事などで出される「姿寿司」は一見普通の押し寿司のようにも見えますが、魚を頭からしっぽまで丸ごと使ったなんともインパクトのある料理です。この料理に使われている魚は「コハダ」が成長したもの。出世魚であるコハダは成長するとその名が変わります。成長後の魚の名前は何と呼ばれているのでしょうか。

コノシロの姿寿司

「コノシロ」はニシン目の出世魚です。お寿司屋などでよく見かけるコハダが成長すると「コノシロ」と呼ばれるようになります。熊本では、特に八代海や天草などで「コノシロ」が沢山とれます。それによって「コノシロ」の消費が多くなり昔からよく食べられてきました。中でもコノシロを開き、塩につけて酢でしめてからご飯を詰めて作られるコノシロ一匹まるごと使う料理、「コノシロの姿寿司」はお祝い事やお正月などのめでたい席によくだされる縁起の良い料理として親しまれています。コノシロを開く時は「背」と「腹」どちらを開くかは特に決まりがあるわけではなく、地方や家庭によってもかわってくるそうです。また、ごはんを詰める代わりにきらす(オカラ)を詰める「コノシロの卯の花ずし」というのもあります。

「コノシロの姿寿司」の「コノシロ」は、甘酢で締めたものとなっており、ほどよい塩味と酸味が付いています、また、詰めるごはんはすし飯で、ゴマやショウガ、大葉などの薬味が混ぜ込まれているため、口にいれると、うま味と薬味のさわやかさが感じられます。「コノシロの姿寿司」はそのまま、お醤油などを付けなくても、美味しくいただけます。一見どう食べればよいか分からない頭やしっぽも、お酢のおかげででやわらかくなっているため、そのまま食べることができるのです。

コノシロってこんな魚

「コノシロ」はニシン目ニシン科の体長15〜30cmほどの魚です。

漢字では「魚」に「冬」と書いて「鮗」と書きます。その字の通り、11月中旬から1月にかけての冬が一番美味しい季節となりまますが、八代海沿岸では、ほぼ1年中食べられているそう。この地域では、お正月、お祭り、お盆などのおめでたい席には必ずといってほど出る、大切な郷土料理となっているのです。
コノシロは成長とともに名前が変わる出世魚です。成長するにつれて、体長5cm程度までは「シンコ」、10cm前後のものは握り寿司のネタとしてもよく知られる「コハダ」、15cmを超えると「コノシロ」と呼ばれるようになるのです。しかし残念な事に成長すると値段が上がるブリとは違い、成長するにしたがって、値段が安くなっていってしまいます。

キラキラと輝くウロコと黒い斑点模様が特徴で真水と海水が混ざる汽水域に生息しており、球磨川が流れ込む八代海では豊富に獲れます。

熊本ではコノシロは昔から良く食べられてきました。刺身やつみれのほか、みりん干し、南蛮漬け、そして「ぶえん寿司」と呼ばれる「コノシロの姿寿司」とはまた違ったお寿司もあります。こちらは、酢でしめた切り身を他の具材と共に酢飯と混ぜて食します。「コノシロの姿寿司」が押し寿司のようであれば、こちらは混ぜ寿司でしょうか。

コノシロの姿寿司の作り方

「コノシロの姿寿司」は、コノシロを割る時に、背割り、腹割りと家庭や地域でで作り方が違いますが、どちらでも間違いではありませんので、ご自身のやりやすい方法で開くのが良いでしょう。
コノシロを開いたら、中骨を取りきれいに水洗いします。それから中にも外にも塩を塗り、そのまま一晩塩づけにします。一晩たったら流水でさっと洗い、砂糖をまぶしてから、お酢に一晩つけます。これでコノシロの酢漬けはできましたので、用意した酢飯をコノシロに詰めたら形を整えて、食べやすい大きさに切ったら完成です。頭も尻尾もついてるまるごと一匹の魚のお寿司は見た目もインパクトがありますね。

ザ・ご当地検定の問題

Q. 熊本県の天草地方では「姿寿司」にされる、出世魚のコハダが成長して名前が変わった魚は?

A. コノシロ