岐阜県の漬物の定番である野菜とは?

日本各地に存在する野菜の名産品の中には、生産者の意図しない形で成長してしまった野菜があります。その意図しない形として成長してしまった野菜の中で、岐阜県高山市の名産品として扱われている野菜を紹介します。

八賀かぶの突然変異で生まれた品種

紅丸は岐阜県高山市周辺で収穫されるかぶで、その特徴としては通常のかぶよりも丸くて大きくそして名前の通りに皮が紅色をしています。そして紅丸はとても柔らかく甘みがあり、現地では煮物にするだけでなく甘みと柔らかい食感を生かして薄くスライスしサラダの具材として食べられているのです。ただ水分が多いので日持ちしないことから、収穫してある程度日が経った紅丸はスライスではなく乱切りにして塩漬けにして漬物にします。この漬物が赤カブ漬けとなり、現地では長い冬を越すための貴重な食材となりそして観光客への土産として定着することになるのです。

そんな岐阜県高山市周辺の特産品になった紅丸ですが、先に言ったとおりに元々は別の品種が意図しない形で成長した突然変異種になります。紅丸の始まりは江戸時代以前の京都に起源があり、京都で一般的な白色のかぶを植えたときに偶然赤紫色をしたかぶが数個誕生したのです。本来であれば、意図しない形で育ってしまった物は危険と思うのが普通といえます。しかし江戸時代以前の食料自給率は低いため、せっかく育った貴重な食材と考え食べたところ甘みと独特の風味があり美味しかったのです。それから残った数個から種を取って数を増やし、その赤紫をしたかぶが赤かぶとして京都の地元野菜として定着します。

その後江戸時代に入ると平和な世の中になったことで各地の貿易が盛んになり、京都だけで栽培されていた赤かぶの種が岐阜県大野郡にあった丹生川村に伝来します。京都で有名な食材の赤かぶの種が入手できたと喜んだ丹生川村の農家は、飛騨高山の環境が育んだ土壌に種を植えて栽培を開始するのです。植えた当初は希望通りの赤紫色をした赤かぶが出来たことによって、そのかぶを八賀かぶとして売り出します。その後安定的に収穫できたことで八賀かぶは中部地区の貿易品として人気になったのですが、その後大正時代になったときに再び意図しない形で八賀かぶが変異することになるのです。

大正時代になると丹生川村から近くの農村にまで広がった八賀かぶは安定的に栽培されるようになったのですが、その際に偶然赤紫色ではなく紅色をしたかぶが発見されます。赤紫色のかぶを植えたのに紅色のかぶが収穫されたことでおかしいと思いつつも、かぶの収穫時期が11月から1月の間なので豪雪地帯の高山市周辺で生きていくためには貴重な食料になるのです。

そこで恐る恐る食べたところ、八賀かぶよりも甘いだけでなく水分を多く含んでいて柔らかい食感があり美味しいということが判明します。そこで同じ環境下で八賀かぶを植えたところ、同じように紅色をしたかぶが誕生したのでその中から選抜をして種を収穫し、安定的に収穫できるようになった時点で紅丸と名づけ高山市周辺の特産品となるのです。

紅丸は流行りの抗酸化作用を持つ食材

紅丸は甘みがあって柔らかい食感として現地で親しまれている野菜ですが、各地の地元野菜の栄養素の研究によって特筆すべき成分が入っていることが分かったのです。それが紅丸の皮が赤い色素の正体であり、その成分をルブロブラッシンと呼びます。このルブロブラッシンはブドウやナスの皮に含まれているアントシアニンと類似する成分で、この成分を摂取すると体内に悪性の活性酸素を中和し肌の老化防止やがん予防に効果がある分かったのです。

そのためこの紅丸を食べるときには皮ごと一緒に食べると、このルブロブラッシンも一緒に取れるので塩漬けは理にかなった食べ物ということが分かります。

健康食品として若い人を引き寄せることができる

環境の違いによる影響によって偶然誕生した紅丸は、鮮やかな紅色をしています。消化を助けるアミラーゼやミネラルそして抗酸化成分が含まれている健康食品というだけでなく、写真映えもするので若い人を引き付けるにはもってこいの食材といえるのです。

ザ・ご当地検定の問題

Q. 岐阜県の漬物の定番である野菜「飛騨○○かぶ」。○○に入るのは?

A.紅丸