「沢あざみ」「千石豆」「西方いも」といえば、どこの地方の伝統野菜?

岐阜県には沢あざみ、千石豆、西方いもなどの様々な伝統野菜があります。そこで岐阜の美しい山や川に囲まれて育った、魅力溢れる伝統野菜について詳しく紹介します。

沢あざみとは?

高山・美濃など観光客で賑わっている岐阜県が認定している「飛騨・美濃伝統野菜」には、沢あざみ、千石豆、西方いもがあります。沢あざみは岐阜県揖斐川町春日地域で栽培されている、キク科多年生植物の一つです。ごぼうのような素朴な香りとシャキシャキとした食感が特徴です。「飛騨・美濃伝統野菜」に認定されただけでではなく、スローフードインターナショナル「味の箱舟」にも認定されています。

この地域で江戸時代から育てられていました。伊吹山麓の渓流沿いに自生していたものを持ち帰り、各家庭で茶畑や転作田などで育てていました。山で炭焼きをして暮らしていた人々も、移り住むときには沢あざみを持っていたと言われるほど、地元に親しまれた野菜です。収穫時期は5月から9月で、塩漬けにすれば一年中食べられます。

無農薬で栽培されているのも特徴の一つで、自然食材としても重宝されています。地上に飛び出している部分は利尿作用や滋養強壮に効果的とされ、地下に潜っている部分は止血作用があると考えられているのです。特に葉っぱの部分は分子構造が血液と似ているため、組織の修復や肝臓の強化に繋がります。

地元ではそこまで認知度は高くない食材ですが、祭事には地域の伝統野菜として度々登場します。また知名度を上げるためにお土産にしたり、子どもたちには給食のメニューに加えてアピールしています。

千石豆と西方いも

千石豆はマメ科フジマメ属のつる性植物です。全国的な呼び名は「ふじまめ」で、伊勢エリアを中心に岐阜県などでは千石豆と呼んでいます。名前の由来はさやの部分の形が千石船の形に似ていたから、沢山の実をつけるから豊作の意味を込めたなど色々な説があるのです。

若いさやの部分が食用となり、実はしっかり熟せば食べられます。若いさやは収穫するタイミングが重要で、早すぎても遅すぎてもダメです。早すぎると風味が弱くなってしまい、遅いとさやが硬くなってしまうのです。良いタイミングを見計らって収穫することが美味しく食べるコツです。

ハウス栽培も行える野菜で、種まきは2月にします。6月ごろにさやが出来始め、実は11月ごろに熟します。旬となる時期は7月から9月になります。食べるときには筋を取り除いてから下茹でをして、柔らかくしてから料理に使います。下茹でするときには沸騰したお湯に塩を入れて、1分から2分茹でます。冷水にくぐらせて、すぐに水気を切るのがポイントです。下茹でしておけばすぐに料理に使うこともでき、味噌汁や煮物、揚げ物など幅広く使えます。

西方いもは岐阜県中津川市加子団小郷地区で栽培されている、サトイモ科サトイモ属のいもです。小郷地区は東方と西方に分かれていて、西方に嫁いだ女性がその家で作っていたサトイモを作り続けたことで後世に受け継がれた野菜です。全体的に小粒で、粘り気があります。キメが細かく、保存しやすいです。

種をまく時期は4月で、収穫するのは10月から12月になります。親いもは加子団地区の伝統料理でもある「芋もち」に使われます。収穫した西方いもは焼酎の原料になったり、芋田楽などの家庭料理にも活用されます。高山・美濃エリアの伝統野菜の中でもファンが多く、旬の時期に遠方からわざわざ西方いもを食べに観光客が訪れるほど人気が高い食材です。

岐阜県の魅力を伝統野菜から知る

伝統野菜のブランド化やその土地ならではの食材の発展にも力を入れている岐阜県。オンリーワンの食材も数多く誕生しています。名所や自然だけでなく、沢あざみ、千石豆、西方いもなどの伝統野菜を通して岐阜県の魅力に触れてみてはいかがですか。

ザ・ご当地検定の問題

Q. 「沢あざみ」「千石豆」「西方いも」といえば、どこの地方の伝統野菜?

A. 高山・美濃