岐阜県の伝統野菜「あじめコショウ」は、コショウではなく、何の種類?

岐阜県の伝統野菜「あじめコショウ」をご紹介します。名前に「コショウ」とつきますが、コショウではありません。岐阜県で栽培されている「あじめコショウ」とは、いったいどのようなものなのでしょうか?

あじめコショウは辛みが売り

「あじめコショウ」は、岐阜県中津川市を中心に栽培されているトウガラシです。栽培の歴史は1600年頃までさかのぼり、長い歴史を持つことから岐阜県が認証している「飛騨・美濃伝統野菜」のお墨付きをもらっています。
鷹の爪よりもずっと長細く、実は18cmほどの大きさに成長します。市内の付知川に生息しているアジメドジョウに形が似ていることからあじめコショウと呼ばれるようになりました。
通常のトウガラシは、赤く熟れれば熟れるほど辛み成分が増していきます。しかし、あじめコショウの赤と青の実を専門機関に分析をしてもらったところ、赤よりも青い実のほうがカプサイシンを多く含んでいることがわかったのです。

カプサイシンは新陳代謝を高め、発汗や脂肪燃焼を高める効果があります。冷え性の改善、ダイエット、夏バテ防止に役立つ成分です。他にも青いあじめコショウには、血圧上昇抑制効果があるγーアミノ酸酸が豊富に含まれています。トウガラシは減塩のために、塩の代わりに使われることもあります。あじめコショウを使えば、γーアミノ酸酸と減塩のダブルの効果が高血圧を抑えてくれます。
それにあじめコショウは、ただ辛いだけではありません。鷹の爪の3~5倍ほどの辛み成分を含んでいますが、糖度もトマトを同じくらいあり、風味豊かなのが特徴です。一度食べたら病みつきなることから「味女」とも言われています。

まだ辛くならないうちに若どりされた実は、焼き物の付け合わせなどに使われます。辛さが増したものは、その風味を生かして加工食品にされることが多いです。加工食品の種類も豊富で、一味とうがらし、ドレッシング、カレー、ポテトチップスのフレイバーなどさまざまなタイプがあります。こうした加工食品は、岐阜県の道の駅や土産物屋のほか、通販からでも購入することができます。

あじめコショウはこうやって栽培されている

あじめコショウは3月下旬~4月上旬に育苗器に種をまいて発芽させます。5月下旬くらいになると露地栽培に切り替えるため、畑に苗を移します。あじめコショウは一般的なトウガラシよりも過湿に弱いので、水はけのよい土壌が望ましいです。
青い実は7月上旬から収穫ができ、赤く熟れたものは9月頃から収穫ができます。一株当たりからおよそ200本のトウガラシが収穫可能です。
あじめコショウは、「好辛倶楽部」という団体が中心となって栽培しています。適切な栽培はもちろん大切ですが、他種との交配を避けるのもあじめコショウの伝統を守る大切な仕事です。そのため、親株の保護も徹底されているのです。
また、「好辛倶楽部」では、あじめコショウを使った郷土料理の開発など、同野菜を使った地域おこしに力をいれています。

岐阜県中津川市は自然あふれる街

あじめコショウの栽培が盛んな中津川市は、中央アルプスや御嶽山といった山々に囲まれた土地で、下呂温泉がある下呂市にも隣接しています。秋になると見事な紅葉が見られる「恵那峡」、川の水が美しく森林浴の森日本100選にも選ばれた「付知峡」、山頂からは雄大な景色が臨める「富士見台高原」と自然の中の観光スポットを多数有しています。
江戸時代には宿場町として発展したため、当時の雰囲気が色濃く残っているのも中津川市の特徴です。そのなかでも馬籠宿は、石畳の坂道が続く宿場町で、TVでもたびたび紹介されたことで多くの観光客が訪れる場所になっています。
あじめコショウは、自然と伝統が受け継がれる土地で育っているのです。

青いあじめコショウは希少品

あじめコショウは加工品になったものはネットからでも購入できますが、生の実は岐阜県を訪れなければ口にすることは難しいです。青い実の収穫時期は夏なので、付知峡などの緑豊かな観光スポットを訪れたときに食してみてはどうでしょうか。

ザ・ご当地検定の問題

Q. 岐阜県の伝統野菜「あじめコショウ」は、コショウではなく、何の種類?

A.トウガラシ

Q. 岐阜県中津川市にある、森林浴の森日本100選にも選ばれた観光地は?

A. 付知峡