福島県などの東北地方で食べられる漬物で、その名前は塩・麹・蒸米の割合からつけられたのは?

東北地方の郷土料理である漬物を紹介します。漬物には塩漬けや糠漬け、粕漬けなどの種類がありますが、この漬物は麹漬けです。本記事では、漬け方や名前の由来などについて解説していきます。

市販の素を使えば野菜を放り込むだけ!

三五八漬けの名前の由来は、塩3、麹5、蒸米8の割合で混ぜ合わせた麹床に漬けるところから来ています。蒸米は言葉の通り蒸した米のこと、麹は蒸米に麹菌を繁殖させたものです。蒸米も麹も日本酒造りの原料で、手作りの場合大変な労力と手間をかけて作られており、単純に米を蒸したものではありません。蒸すことで、米に含まれるでんぷんをβ型からα型に変えて糖化させます。

昔、福島県の家庭は大家族が普通で、一度に二升以上ご飯を炊くことも珍しくなかったと言われます。そこで残ったご飯に麹と塩を加えて漬床を作ったのが、三五八漬けの始まりです。何度も作るうちに、美味しく漬かる割合が塩3合、麹5合、米8合である、という結論に至ったのでしょう。材料を揃えれば簡単に作れるので、漬物初心者でも挑戦しやすいです。麹特有の優しい香りと甘さで、苦手な野菜もぺロリと食べられるかもしれません。また、余った野菜も麹床に放りこんでおけば、フードロスもなくせます。

蒸米が手に入らない、ご飯から作るのも面倒という人に便利なのが、三五八漬けの素です。福島県のスーパーなどでは数種類が市販されており、味噌屋の通販サイトなどで購入することも可能です。三五八漬けの素1kgを購入したら容器に移し、水200~250ccを入れてかき混ぜます。始めは水分が馴染まず、すぐには漬床らしくなりませんが、野菜を漬けていくうちに馴染んでいきますよ。ただ、始めに漬ける野菜は塩気が強いかもしれないので、4~6時間で引き上げましょう。浅漬けらしい食感が楽しめます。あるいは、野菜のヘタや端っこなどのクズ野菜を先に漬けこみ、漬床を馴染ませるというのも一つの方法です。クズ野菜を漬けることを数回繰り返すと野菜の水分で塩気が薄まり、時間を置くことで麹の発酵が進みます。

漬ける野菜は、自由です。ただ、水分が多過ぎるトマトのような野菜や、ねばねばする長芋のような野菜は、漬床がすぐ傷んでしまうので注意してください。理想は適度に水分があり硬すぎない野菜です。春はかぶ、夏はきゅうり、秋は人参、そして冬は大根などが漬物の定番野菜です。ごぼうも漬け込めますが、生だと硬すぎるので、一口大に切って硬めに茹でてから漬け込むと良いでしょう。漬ける食材は野菜でなくても、肉や魚などの動物性食材でも大丈夫です。その際は保存容器やジップ付き保存袋などで個別に漬け、漬床を再利用しないようにしてください。また、漬けた肉や魚は焦げやすいので、通常より弱火で調理するのがコツです。

漬床を置く場所は、直射日光の当たらない涼しい場所が良いです。6~9月の暑い時期は、冷蔵庫に保管します。がんがんストーブを付ける家庭は冬でも冷蔵庫に入れましょう。ある程度発酵している状態の漬床に常温(15~25度)で漬ける場合は、8~14時間を目安に引き上げます。冬や冷蔵庫で漬ける場合は、12~18時間が目安です。1~2日で食べる分の量を漬けてください。漬かった野菜は付着している麹を水でさっと洗い流してから、好みの大きさに切って食べます。そのとき食べきれずに余り、先述した時間をオーバーする場合は、漬け過ぎにならないよう引き上げて冷蔵庫で保管します。

漬床は塩か麹、もしくは三五八漬けの素を継ぎ足していくことで、比較的長く使えます。野菜を何度か漬けていくと水分が出て漬床が緩くなっていくため、きれいなスポンジやキッチンペーパーなどで水分を吸い取ったり、お玉ですくい取ったりすると良いです。または麩を入れて水分を吸い取らせるのも効果的です。そして、塩気が足りなければ塩を、麹の甘みが足りなければ麹を継ぎ足し、どちらも不足していれば三五八漬けの素を足してください。こうした作業を行っても味が良くならない場合や、悪臭がしてきた場合は、漬床の寿命と考えましょう。

美容にもダイエットにも効果的な三五八漬け

塩麹や甘酒など、美容効果があることで麹ブームが起こりましたね。麹も漬物も日本の伝統料理なので、日本人の体に合うと考えられます。脂肪燃焼にも効果があるとも言われている麹料理を、三五八漬けで取り入れてみてはいかがですか。

ザ・ご当地検定の問題

Q. 福島県などの東北地方で食べられる漬物で、その名前は塩・麹・蒸米の割合からつけられたのは?

A. 三五八漬け