東北地方に伝わる古い玩具の名前を由来としたお菓子があります。福島県会津地方で販売され、地元ではもちろん、全国的にも幅広い世代に愛されているお菓子で、お土産としても人気です。今回はそんな福島名物のお菓子についてご紹介していきます。
会津地方の張子玩具がルーツ
会津には小平潟天満宮という歴史ある天満宮があり、そこで会津の天神さまをおまつりしています。この天満宮は藩組でもあった保科正之公も深く信仰していたことでも有名です。古くから会津では、男の子が生まれると会津伝統の張子玩具を贈ります。この張子玩具は会津の天神さまを模した人形になっていて、子供が賢く健やかに育つよう願いが込められています。そのため、古くから子供のお祝いには欠かせない贈り物として大切にされてきました。
張子玩具は400年前の蒲生時代から由来する伝統的なもので、東北の中では最古の玩具といわれています。その造りは精巧で、玩具というのはもったいないくらい美しい仕上がりです。張子玩具の場合、職人が一つひとつ丁寧に作る分、高品質かつ独特な風合いがあり伝統工芸品としても人気となっています。しかしながら年々、張子玩具の職人は減少していて生産も少なくなっています。また、時代の変化に伴いこの文化自体が風化しつつあるのです。そのため、太郎庵ではこの伝統をなんとか残したいという思いが強くなり、会津の天神さまのお菓子を作るようになったのです。
このように、福島県会津地方では張子玩具から形を変えて、今もなお大切な伝統や習わしを受け継いでいます。お菓子という形で受け継がれた会津の天神さまは、今では子供だけでなく幅広い世代の方に親しまれ、より注目されるようになったといえます。
開業に合わせてできた創業菓子
会津の天神さまは昭和54年のお店開業とともにできた創業菓子です。できたきっかけは太郎庵の包装紙をデザインしている横田新さんとの出会いまで遡ります。その当時はモナカなどの甘いお菓子の方が多く、甘みの少ないお菓子はあまり販売していませんでした。しかし、甘すぎず食べやすいお菓子を作ろうと、太郎庵では新たなお菓子を作るようになります。そのお菓子が会津の天神さまです。会津の天神さまは、ほんのり甘い生地にプロセスチーズや有塩のバターの香り、間には斬新なクリームを挟むといったシンプルかつ食べやすいブッセです。材料も厳選し、製造過程にもかなりこだわっています。きめ細かい生地を作るためにさまざまな試行錯誤をしたり、クリームのバランス配分なども調整したりして、より美味しいものを楽しんでもらうため工夫しているのです。
太郎庵の会津の天神さまは、何度食べてもしつこくならず飽きないお菓子です。そのため、年齢や性別を問わず幅広い層に支持されています。今では福島のお菓子といえば会津の天神さまといわれるくらい広く周知されるようになっています。
会津の天神さまを買いに行くには
会津の天神さまを販売する太郎庵は、会津を中心に12店舗を展開する老舗です。地元はもちろん他府県の方など、遠方からも多くの方が買いに訪れます。さまざまなお土産があるなかでも会津の天神さまは人気商品で、旅行の際やちょっとしたお土産などに購入して帰る方も多いです。太郎庵の総本店は会津若松ICから約10分、会津駅より徒歩5分のところにあります。そのため遠方からでもアクセスしやすく、旅行の際でも立ち寄りやすい場所に位置しています。
また、会津の他にも喜多方、猪苗代、郡山など会津を中心になどさまざまな場所に店舗があるため、会津まで立ち寄らなくても購入が可能です。自身の都合の良い場所を見つけて、購入すると良いでしょう。
天神さまを堪能してみよう
福島にはさまざまな美味しい食べ物があります。しかし、東北最古の張子玩具を受け継いでいる伝統的なお菓子は会津の天神さまだけです。訪れる際は、福島の文化や習わしを感じながら会津の天神さまを堪能してみてはいかがでしょうか。
ザ・ご当地検定の問題
Q. 東北の古い玩具にその名を由来する、福島県会津地方のお菓子は?
A.会津の天神さま