長寿国・福井の食べ物として注目されているそば料理とは?

福井県を代表するご当地グルメであるそば料理をご紹介します。福井ならではの風土や歴史が反映されている郷土料理です。いったいどんなそばなのでしょうか。

まずは歴史を知っておこう!

越前おろしそばのルーツは古く、戦国時代にまでさかのぼります。当時この地域一帯を支配していた武将の朝倉孝景が、災害や戦時の非常食として推奨したのが、越前おろしそばの始まりと言われます。蕎麦はお米と比べて栽培期間が短く、多少の荒れ地でも栽培できたからです。ただし、この頃は麺状にはなっておらず、団子状のそばがきとして食されていました。また、おろし大根と一緒に食べるという習慣も、まだなかったようです。

現在のようにそば粉を麺状にした、越前おろしそばとして登場しはじめたのは、江戸時代に入ってから。福井藩の家老であった本多富正が、京都からそば職人を招いて、おろし大根をかけた蕎麦を広めたというのが、有力な説となっています。しかし、そんな福井地方ならではの蕎麦の食べ方も、「越前おろしそば」の名称で世間一般に広く知られるようになったのは、意外にもずっと後世になってからのことです。

終戦後の1947年に昭和天皇が福井県へ行幸された際、一軒の蕎麦屋へ立ち寄った時のエピソードが、そもそもの始まり。天皇陛下はその時の蕎麦の味が忘れられず、その後も「越前のそば」として度々言葉にしたことから、それが「越前そば」として認知されるきっかけとなります。さらに大根おろしを添えて食べる福井県の習慣と重なって、やがて「越前おろしそば」と呼ばれるようになりました。

一口に越前そばといっても、食べ方は色々ある!

越前おろしそばの特徴は、太いコシで色の濃い蕎麦に、大根おろしをワンセットにしたものが基本。これに加え、かつお節や刻んだネギあるいは海苔といった具材を使用することもあります。また冬場であっても、冷たいつゆを用いる点も、このそばの見逃せない特徴と言えるでしょう。ちなみに大根おろしを使うようになったのは、醤油も蕎麦つゆもない時代に、大根汁を代用して食べていたのが始まりとされます。一口に越前おろしそばといっても、その食べ方はバラエティ豊か。基本的には次の3つに大きく分類できるので、福井県へグルメ旅行をする際には、覚えておくと便利です。

まずは、出汁と大根おろしを別々にして食べるパターン。お蕎麦に大根おろしをのせるか、別の容器に大根おろしを入れておいて、それを麺つゆへつけながら、お蕎麦と一緒に食べます。あるいは大根おろしがのった蕎麦の上へ、麺つゆを直接かけて食べることもあります。これが越前おろしそばの中でも、最もオーソドックスな食べ方と言えます。お蕎麦には大根おろしの他にも、刻みネギやカツオ節がまぶしてあるケースも、珍しくありません。

続いて紹介する食べ方としては、大根のおろし汁を、麺つゆやだし汁へ混ぜ合わせて食べるもの。まず茹で上げた蕎麦の上に、刻みネギやカツオ節をまぶしておきます。次にジューサーなどで作った大根のおろし汁を、麺つゆやだし汁へ入れて、味を整えます。それを盛り付けた蕎麦の上へかければ完成。サッパリとした大根のおろし汁の旨味と、香り豊かな蕎麦の風味が絶妙にマッチして、越前おろしそば本来の味わいをフルに堪能できます。

最後に紹介するのは、大根おろしと生醤油だけで食べるシンプルな方法。これは「寺方蕎麦」とも呼ばれており、肉食や魚食が禁じられていた、厳しい戒律の寺院で考案されたと言われます。まず茹で上げた蕎麦の上に刻みネギや大根おろしをのせておきます。大根おろしは少しばかり汁気の多いものがベター。この上から醤油をかければ濃くならずに、大根の汁とバランスよく調和して、美味しく食べることが可能になります。

福井県のご当地グルメを堪能するなら、まずは越前おろしそばに詳しくなろう!

福井県へ旅行をするならば、越前おろしそばは必ず味わいたいご当地グルメの1つ。その独特の風味や食べ方によって、旅の記憶も忘れがたいものになるはずです。また、蕎麦の歴史や由来を予めチェックしておけば、現地で一層楽しく味わうことができるでしょう。

ザ・ご当地検定の問題

Q. 長寿国・福井の食べ物として注目されている「越前○○そば」。○○に入るのは?

A.おろし