青森県八戸市に息づくウニとアワビを贅沢に使った郷土料理とは?

青森県の八戸市には、魚介を贅沢に使った郷土料理があります。ウニとアワビを煮たお吸い物で、古くから漁師町に伝わる豪華な伝統料理です。今回はこの郷土料理について、詳しく説明していきます。

煮えたウニのことを「いちご」と呼ぶ

その郷土料理は「いちご煮」と呼ばれます。いちご煮は、薄切りにしたウニとアワビを出汁(または湯)で煮立て、塩と少量の醤油だけで味付けをしたシンプルなお吸い物です。ウニはキタムラサキウニ、エゾバフンウニを使い、アワビの代わりにツブを代用することもあります。仕上げに青じその千切りを散らすのが定番で、濃厚な磯の香りの潮汁を引き立てるアクセントになっています。煮込んだウニの赤みがかったオレンジ色が、果実の野いちごに似ていたことから、いちご煮と呼ばれるようになりました。

漁師が素潜りでとったウニとアワビを貝殻に詰めて焼いて食べたのが発祥と言われていますが、高級食材をふんだんに使った贅沢な料理となったいちご煮は、おもに高級な料亭などで提供されてきました。結婚式の披露宴や法事の会食など、大切な客人をもてなす料理としても重用されています。近年では缶詰やレトルト食品などの商品化が進み、家庭でも気軽にいちご煮を楽しめるようになりました。お盆や祝い事で人が集まる席には欠かせないごちそうとなっています。いちご煮の缶詰はさまざまな種類があり、青森県の特産品として駅やお土産店などで販売されています。老舗店のいちご煮を例に挙げると、1缶415グラム(約2人前)で価格は1500円弱です。

いちご煮の缶詰を使ったアレンジ料理

いちご煮の缶詰はそのままお吸い物としていただいても美味しいですが、濃厚でしっかりした味の出汁を生かした簡単アレンジ料理もおすすめです。2合の米といちご煮の缶詰1缶(415グラム)を炊飯器に入れて炊くだけで、美味しい炊き込みご飯の出来上がりです。仕上げに青じそを散らして香りと彩りを添えましょう。また、水洗いした米と一緒に煮込んで雑炊にしても美味しいです。少し手間がかかりますが、卵3個と汁を混ぜて裏ごしをし10分間蒸せば、贅沢な茶碗蒸しとなります。具のウニとアワビは分けておき、蒸す時に合わせて盛り付けると美しく仕上がります。

ちなみにこのいちご煮、俳優の中井貴一さんにとっても忘れられない思い出の味なのだそうです。1983年公開の映画「父と子」の撮影で青森県八戸市に滞在していた時、父親役の俳優・小林桂樹さんに連れられて一緒に食べたのがウニ丼といちご煮でした。当時、俳優の道に進むか就職するかで悩んでいた中井貴一さんでしたが、小林桂樹さんの強い勧めで俳優になる決意を固めたのでした。八戸のいちご煮が、名優・中井貴一さん誕生のきっかけとなったのです。

いちご煮のふるさとは有名な観光スポット

いちご煮の原型となった漁師料理は、八戸市鮫町が発祥と言われています。太平洋沿いの漁師町である鮫町には、ウミネコの繁殖地として知られる蕪島や、三陸復興国立公園・種差海岸など、青森県屈指の観光スポットがあります。種差海岸は、太平洋沿いに約12キロメートルに渡り海岸線が続く名勝地です。岩礁海岸・砂浜海岸・海食海岸など多様多彩な地形が続き、ほぼ中央に位置する種差天然芝生地は、天然の芝生が波打ち際まで敷き詰められ、見事な景観を求めて地元の住人から観光客まで多くの人で賑わっています。種差海岸にある食堂では、ウニが入った磯ラーメンなどの新鮮な海鮮料理を提供していますが、そこでもいちご煮を食べることができます。蕪島・種差海岸の観光は、JR八戸線鮫駅とJR八戸線種差海岸駅を結ぶ100円ワンコインバス「うみねこ号」の利用が便利です。

旅のお土産にしても喜ばれそう

ウニやアワビを贅沢に使った八戸ならではの郷土料理・いちご煮の缶詰なら、保存も効くので旅のお土産にしても喜ばれそうです。いちご煮という不思議なネーミングの由来や、調理のアレンジ方法を説明しながら、旅の思い出話に花をさかせましょう。

ザ・ご当地検定の問題

Q. 青森県で食べられる、ウニとアワビのお吸い物の名前は?

A.いちご煮