愛知県の和菓子「ゆかたおこし」は、餡に何が入っている?

日本でも伝統的に作られてきた和菓子は、日本の各地で様々な工夫がなされ、その地域の特徴・名物ともなる様々な和菓子が生み出されています。愛知県においては「ゆかたおこし」がそのひとつです。「ゆかたおこし」の特徴や魅力を紹介します。

「ゆかたおこし」の誕生

「ゆかたおこし」とは、愛知県豊橋市で作られている有名な和菓子です。古くから作られている伝統的な和菓子であり、愛知県観光の際の土産としてもよく購入されているほか、愛知県の人々の間でも広く親しまれ、食べられています。「ゆかたおこし」を製造・販売しているのは、愛知県の豊橋市の中でも老舗の和菓子屋として知られている若松園です。若松園の歴史は古く、1848年から1853年の嘉永年間に当たる江戸時代には、東海道吉田宿の本陣であり、旅館が数多く建てられて賑わいのあった木札町には、前身となる若松屋が軒を出していました。

正式に若松園として創業となったのは、明治27年11月のことであり、正式な創業より前から地域の人々には和菓子屋として長く親しまれていました。明治33年には、店舗を新築するなどと順調に規模を拡大していき、豊橋市のみならず愛知県において知られる存在となります。古くから親しまれてきた和菓子屋であり、趣のある店構えが町模様に溶け合い、風情を醸しています。東海道巡りの際には、一度足を運びたいと思う人も多く、目玉スポットとなっているようです。「ゆかたおこし」以外にも様々な伝統的な和菓子を生み出しており、そのいずれもさわやかで素朴な味がおいしい銘菓となっています。

若松園の知名度は高く、作家の井上靖がその作品のひとつである「しろばんば」の中で若松園について記述しているほどです。そのような若松園が「ゆかたおこし」を生み出したのは、昭和3年のことです。前身となるお菓子は、これよりさらに前の明治34年のことであり、豊川稲荷に奉納するために生み出したことが始まりとされています。その後、天皇陛下御即位の折に、豊橋市の名物として献上したことがきっかけとなっています。献上の後も名を広め、愛知県豊橋市の豊橋商工会議所の認定も受けた豊橋市の名物となっているほどです。なお「ゆかたおこし」の名前の由来は、「豊かな土地のおこし」をイメージしてのことです。

「ゆかたおこし」の特徴と魅力

「ゆかたおこし」の魅力は、その見た目と味にあります。名前におこしとあるように、おこしのあいだにあんこが挟まれた和菓子なのですが、表面はおこしの淡い黄色の色合いが美しく、かわいらしい鳥が飛ぶ姿が描かれています。中に挟まれたあんこも、深い緑色をしており、上品な色合いが特徴です。「ゆかたおこし」は、おこしの間にすあまあんこを挟んだ和菓子であり、あんこの中には抹茶が練りこまれています。若松園の伝統的な和菓子の作成方法に則り、職人たちの技術を合わせて合成保存料や合成着色料は一切使われていない、自然な色合いで素朴な見た目のお菓子です。

おこしとは、お米などの穀物を飴で固めた和菓子であるため、おこしを使用した「ゆかたおこし」も硬い食感であるとイメージされがちですが、そのようなことはありません。もち米を原料として作られたおこしは、柔らかく、程よい噛み応えのある面白い食感が特徴となります。また、ほのかにもっちりとした食感を楽しむことができる餡の中には上品な抹茶の風味が感じられて、甘さは控えめながらも、食べすすめていくと口の中で濃厚なあんこの味が広がります。淡い甘さのおこしとあんこが素朴でやさしい味わいを感じさせ、非常にマッチしておいしいです。濃い目のお茶と合わせて食べると、すっきりする百年来のお菓子です。

伝統の味「ゆかたおこし」

「ゆかたおこし」は、かつて天皇陛下に献上されたこともある愛知県の名物和菓子のひとつです。やわらかなおこしと抹茶あんが特徴であり、伝統的な製法で作られています。「ゆかたおこし」を作る若松園は様々なおいしい和菓子があるので、ぜひご賞味ください。

ザ・ご当地検定の問題

Q. 愛知県の和菓子「ゆかたおこし」は、柔らかいおこしで、何が入った餡を包んだもの?

A.抹茶