今回はアイヌの知恵から生まれた北海道を代表する郷土料理を紹介します。凍らせた鮭などの魚介類を解凍せずに切り分けたお料理です。食べごろは半解凍で、口のなかで溶けていく食感が一度食べたらやみつきになります。
極寒の風土が生んだ郷土料理とは?
ルイベは現在では北海道の郷土料理となっていますが、もともとはアイヌ料理でした。鮭を雪に埋めて凍結させたもので、語源は「ル・イペ」で「融けた食べ物」という意味です。食べ方は、凍ったままの鮭を薄くスライスし、火で炙り、半解凍になった段階で塩をかけるというシンプルなもの。鮭以外の川魚もルイベとして食べられていましたが、アイヌの人たちの貴重なタンパク源となっていました。さらに凍らせると川魚にいるとされる寄生虫が死に、魚の旨味も増すという、一石二鳥のお料理でした。
近頃では、口のなかで溶けていく食感が新感覚のお刺身として人気のあるお料理となりました。醤油ベースの「ルイベ漬け」という商品もデパートの物産展などで見かけたという方もいるでしょう。しかし本来、鮭は加熱か冷凍のどちらかでしか食べることはできません。寄生虫がいるとされているためです。冷凍の場合、-20度以下で24時間以上の凍結処理が必要なため、ルイベは、極寒の北海道ならではの風土を生かした郷土料理と言えましょう。
鮭のルイベ、気になる栄養は?
北国ならではの生活の知恵から生まれたルイベですが、栄養面はどうなのでしょうか?気になりますね。鮭は疲労回復や日焼けなどに効果が期待されるアスタキサンチンが豊富です。魚に多く含まれているというDHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(エイコサペンタエン酸)も含まれており、成人病やダイエット、学習機能改善などに有効とも言われています。さらに鮭は、健康の維持に最適なビタミン類が豊富に含有していると知られています。
その中でもビタミンB12は赤いビタミンと言われ造血作用や末梢神経の機能維持に関わっているとされています。それ以外の特徴としてはビタミンDで、カルシウムの吸収を助ける効果が期待されています。ルイベは、加熱調理せず、半解凍のまま食べるため、鮭の栄養をまるごと食べられる健康食品です。わさび醤油でお刺身のようにして食べ方が一般的です。冷たいまま口のなかで溶けていくのを味わってみてください。
ルイベは家庭でも作れる?
スーパーの食品売場でサーモンの刺し身が売られているので、鮭も生食で食べられると思っている方も多いのですが、天然の鮭は生食では食べられません。生食で食べられるものは、アニサキスが含まれていない飼料で育てられた養殖のみで、天然の鮭は加熱調理をするか、ルイベにして食べるかしかありません。鮭をルイベにして食べていたとは、アイヌの方たちの知恵は本当に優れていますね。
現在、ルイベを作るには、新鮮な鮭と業務用の冷凍庫が必要です。家庭用の冷凍庫では作れません。なぜなら、先程もご説明した通り、寄生虫処理には、-20度以下の冷凍庫で24時間以上で凍結する必要があります。家庭の冷凍庫は-20度以下をキープできないので残念ながら天然の鮭では作れません。栄養価があって美味しいとあっては、家庭でも作ってみたくなりますね。ではどうしたら良いでしょうか?
どうしても自家製で作りたいという場合は、サーモンの刺し身で代用できます。刺し身で売られているサーモンなら安全です。しかし、オススメは北海道で本物のルイベを食べることが一番。ぜひアイヌ料理のお店を見つけて食べてみてください。口のなかで冷たい鮭がとろっと溶けていくのは現地でないと味わえないですね。
北海道でしか味わえない「ルイベ」を食べに行こう!
今や通販などで鮭のルイベを簡単に手に入れられます。しかし、冬の時期に温かい室内で食べるルイベはまた格別。口のなかでほろっと溶ける食感は、現地でないと味わえません。北海道に行ったら、ぜひ半解凍になったルイベ本来の味を楽しんでみてください。
ザ・ご当地検定の問題
Q. 鮭の身を凍らせて半解凍した食べ物を何という?
A.ルイベ