『ホテルニューオータニ高岡』で振舞われる、オリジナリティ溢れるパンとは？

富山県は海と山に恵まれ、美味しいもの珍しいものがたくさんあります。ホテルニューオータニ高岡が提供しているパンもその一つで、ある海の恵みを活かして焼き上げたスイーツです。

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昆布の消費量・国内トップクラスの富山県

昆布といえば多くの人が北海道を思い出しますが、富山県は昆布がとれないのに消費量は国内上位クラスです。理由の一つに、富山県が江戸時代から明治時代に北海道と大阪を結んで交易が行なわれた北前船の寄港地だったことがあります。北海道から富山へ運ばれた昆布は港で荷下ろしされ次第に地元の人々の生活になじみ、天然のいけすといわれる富山湾で獲れる魚介類と相まって独自の食文化を築いていったのです。

また明治時代に多くの人々が開拓民として北海道へ渡り漁業にたずさわったことも関係しており、移住した人が帰省する際に故郷にいる家族や親族にお土産として昆布を持ち帰ったり、送ったりしたことも理由の一つだとされています。このように現在、昆布が富山の中で独特の食文化を築くことになったのは、昔からいろいろな点で北海道と深いつながりがあったためだといえます。

昆布を活かしたいろいろな料理

富山県には昆布を使った料理がいろいろあります。昆布巻きもその一つで、ニシンやサケ、タラコなどを昆布でぐるぐると巻き、柔らかくなるまで甘辛く煮込んだものです。昆布を使った巻きかまぼこもあり、昆布に魚のすりみを乗せて巻き、蒸すことで昆布の旨みをすり身にしみこませて味わい深く仕上げたものです。富山ではかまぼこといえばこの形態で、昆布を使わない場合も板についたものより巻きかまぼこのほうが一般的です。また、昆布をそのまま食べることも日常的に行なわれており、海苔の代わりにとろろ昆布をおにぎりに巻いて食べたりします。

使用されるのは白とろろや黒とろろで、白とろろは肉厚の昆布の表面を削って作られるのに対し、黒とろろは薄い昆布の表面を削って作られ全国的にも珍しいもので、富山県の特産品でもあります。昆布締めも特産品としてよく知られており、刺身を昆布で挟み締めることで昆布の旨みを食材にしみこませて味わい深いものにしています。もともとは冬、海が荒れて漁に出られない間の漁師の保存食で、新鮮な刺身を昆布で挟んで雪の中で冷蔵することで日持ちさせていたことからできた料理です。

昆布を使った新しい食べ物

昆布が昔から富山県の人たちの食生活になじみのあることがわかりましたが、最近では昆布を使った新しい料理も出てきています。高岡市などが新しい食のブランドづくりを呼びかけたことによるもので、ホテルニューオータニ高岡が昆布を使用したスイーツとしてコンブパンを提供しています。コンブパンは生地に昆布と蜂蜜を混ぜ合わせて焼き上げたもので、他にも昆布をたっぷり入れて焼き上げ、豆・栗・餅をトッピングした和風デザートのコンブベーグルや、昆布パウダーに3種類の昆布を入れたコンブロールがあります。

あんこと昆布の入った一口サイズのおはぎや、富山県産の大豆100％の豆乳で作ったプリンに昆布ソースをかけたもの、表面とクリームの中に刻んだ昆布を入れたマカロンなどもあり、どれも他所では食べることのできないスイーツばかりです。他にも昆布と高岡産コシヒカリを使った昆布飯や昆布弁当もあります。昆布の旨みを引き出し四季の食材と合わせることで彩りよく仕上げたものや、とろろ昆布を煮込んだ広東麺など、和食だけでなく洋食や中華料理などいろいろな料理があります。