東京の名産品である「べったら漬け」に使われる野菜とは?

お漬物はご飯のお供にもちろん、お酒のおつまみにも合いますよね。古くから日本全国で愛されているお漬物にも色々な種類があります。今回はその中で、東京都で生まれた名産品「べったら漬け」を歴史も探りながら紹介していきます。

べったら漬けとは?

べったら漬けの歴史はとても古く、江戸時代中期ごろまでさかのぼります。東京都中央区日本橋本町にある宝田恵比寿神社の例祭の市で売られた麹漬けのダイコンのお漬物がべったら漬けの始まり、と言われています。
べったら漬けという名前の由来には諸説あります。ダイコンの表面が米麹でべたべたしているから、という由来はもっともだと思いますが、中にはべったら漬けを買った若者がそれを手に持ち、華やかに着飾った女性に「べったらだ、べったらだ」と表面にたっぷりと付いた米麹を着物の袖に付ける素振りを見せてはやし立てたから、という面白い由来もあります。

毎年10月19日、20日には宝田恵比寿神社のまわりで「べったら市」が開催されており、べったら漬けの露店はもちろん、約500もの露店がズラリと並ぶ大きなお祭りになっています。ベったら漬けの露店では、「べったら~、べったら~」と威勢の良いかけ声が飛び交い、通りを歩く人たちを誘います。各店ごとに味わいが違うべったら漬けの食べ比べを楽しみながら、最後に気に入った店で普段はなかなか見ることのできない縁起物の「べったら漬け一本」を買って帰るのがお祭りの恒例だそうです。日本橋の秋の風物詩として毎年たくさんの人で賑わう「べったら市」で、べったら漬けの食べ歩きなんていうのもいいですね。

昭和初期から続くべったら漬けの老舗「東京新高屋」のべったら漬けは東京都中央区観光協会推奨名産品にも認定されています。その味は昭和天皇も好んで日々の食事に取り入れたそうで、新派を代表する女形役者である花柳章太郎氏も、関西の豊富な食材に太刀打ちできるのはべったら漬けだ、と言うほど東京新高屋のベったら漬けを愛したそうです。古くは第15代将軍徳川慶喜公も愛した味、ベったら漬け。オンラインショップで手軽に本場の味が楽しめるのも、嬉しいですね。

べったら漬けとたくあん漬けの違いとは?

べったら漬けとたくあん漬けの大きな違いは、その作り方にあります。一般的にたくあん漬けはダイコンを干してから漬け込みますが、べったら漬けはダイコンを干さずに漬け込みます。10日ほど水飴や米麹で漬け込んだら、べったら漬けの完成となります。
ダイコンを干さずに漬け込むので、べったら漬けの水分量は約80%と多いのが特徴で、食べるときにはたくあんの約3倍ほどの厚さに切って食べるのが定法と言われています。古い川柳では、ベったら漬けを薄く切って出したので主人に叱られるさまを詠んだものもあるほどです。
味はほんのり甘くて淡白、食感もポリポリと楽しめます。分厚く切ったベったら漬けを、一口で豪快にいただきましょう!

ベったら漬けは栄養も豊富!

べったら漬けを漬け込むときに使う米麹には、腸内環境を良くしてくれる作用があります。米麹に含まれる酵素が栄養成分の吸収、消化の手助けをしてくれるため、胃腸の働きが良くなると言われています。麹菌には腸内の善玉菌を増やしてくれる働きもあるので、便秘解消にも効果が期待できます。
また麹菌からは、代謝の際にお肌に良いビタミン類が作られます。米麹を使った化粧品も多くあるほどなので、お肌の悩みの改善にも期待できます。豊富なビタミンB群により疲労回復にも効き目があるので、是非ベったら漬けを日々の食事に取り入れたいですね。

美味しく楽しい、ベったら漬け!

実はこんなに古い歴史があったベったら漬け、今度スーパーのお漬物コーナーから心の中にかけ声が聞こえてくるかもしれませんね。家族で楽しめる優しい味わい、ベったら漬け。是非日々の食事に一切れ添えてみてはいかがでしょうか。

ザ・ご当地検定の問題

Q. 東京の名産品である「べったら漬け」に使われる野菜は?

A.ダイコン