東京のB級グルメ「麻布ライス」でご飯の上に乗っているのは?

東京都港区の麻布十番は、穏やかな街並みが印象的な地域として知られています。一方で、落ち着いた雰囲気に似つかわしくないほど「ごちゃ混ぜ」の魅力を放っているB級グルメでも有名です。麻布ライスは地元を代表するメニューであり、食欲をそそる丼ものです。麻布十番を訪れることがあったら、ぜひとも食してみましょう。この記事では、麻布ライスの魅力や歴史、どこで食べられるのかなどの詳細を解説していきます。

ボリュームも大満足!麻布ライスってどんなこと?

東京都港区麻布十番のご当地グルメとして浸透している麻布ライスは、一言でまとめると「モツ煮こみ丼」です。B級グルメのなかでも、ファンの多いモツ煮こみを丼いっぱいのごはんにかけた簡単なメニューです。ただし、ボリュームはたっぷりなので若者や外回り中のサラリーマンの食事としても愛されています。また、ビジュアルはなかなか油っこそうに見えるものの、口をつけてみるとやさしい味が広がります。モツ煮こみは時間をかけて食材を加熱しているので、口の中でとろけるほどやわらかくなっています。モツ特有のかみきれない感じがなく、次々にごはんをかきこめます。だからこそ、特大のボリュームでも最後までおいしく食べ続けられるのです。

ちなみに、モツ煮こみといえばネギなどの薬味がのっかっていたり、七味などの調味料で風味を足していたりするケースも目立ちます。モツが好きでも、薬味や調味料を邪魔に感じる人は多いでしょう。しかし、麻布ライスの特徴は、モツ煮こみに余計な手を加えずシンプルなレシピを貫いていることです。モツの味は秘伝のタレで整えているだけであり、クセがありません。そのため、純粋なモツの味でライスが進むつくりになっています。モツそのものの味を楽しみたい人にはぴったりの一品と言えるでしょう。

麻布ライスはどこで食べられる?地元民の反応とは

風情ある外観が印象的な「あべちゃん 麻布十番店」で麻布ライスは食べられます。住所は東京都港区麻布十番2-1-1であり、最寄り駅から徒歩2分程度で到着します。あべちゃんは焼鳥屋の老舗として有名であり、店内に入ると濃厚なタレの匂いが鼻をくすぐるでしょう。麻布ライスの絶品なタレは、こだわりがある焼鳥屋さんだからこそ生まれたものだったのです。あべちゃんは幅広い年代から愛されてきた、隠れ家的なお店です。ゆっくりと食事やお酒を楽しめるのが魅力であるものの、ごくたまに「オペラの夕べ」が開催されている日もあるとか。地元の奥様方を中心にしたソプラノの美声が聴けるとのことで、ゆるく盛り上がりながらグルメを堪能したいところです。

麻布ライスはこうした、地元の温かさの中から生まれたメニューと言えます。麻布を象徴するB級グルメ、モツ煮こみを白ごはんと一緒に食べたいという思いにまっすぐ応えて生み出されました。今では、地元民以外に限らず、社会人の少し遅いランチメニューとして認識されています。何しろ麻布ライスはボリュームたっぷりで800円というお手頃な値段です。安くておいしい麻布ライスを求め、毎日のように昼間の店内はにぎわっています。順番待ちも珍しくなく「地元グルメ」の域を超えた知名度を誇っています。

麻布ライスが食べられるお店!あべちゃんを詳しく

あべちゃんは昭和8年に創業された老舗です。焼き鳥や焼きトンのおいしさはどこかなつかしく、昭和の味を現代に伝え続けています。あべちゃんの名物となったのは、麻布ライスにも使われている「タレ壺」でしょう。昭和の時代からタレをつぎたし、大切に守ってきた結果、タレが年輪のようにしみだしてくるようになりました。あべちゃんを訪れた人々はまず、タレ壺から感じとれる年季に驚かされます。

あべちゃんの開店は14時45分と、居酒屋にしては早いと言えます。なぜなら、それだけあべちゃんが地元住民の拠りどころとして愛されているからです。開店すると連日、近所のお客さんたちがやって来ます。常連さんである彼らはお酒や焼き鳥を楽しみつつ、各々の時間を楽しんでいます。そんななか、麻布ライスを求めてやって来る若者たちも多く、店内は新旧の客層が入りまじっているのが不思議です。

なお、麻布ライスは「ランチメニュー」に含まれており、17時までの提供です。17時を過ぎるとあべちゃんは本格的に飲み屋としての雰囲気を増していきます。仕事帰りのお客も訪れるようになり、混雑した店内でスタッフは大忙しです。麻布ライスをきっかけにあべちゃんを知ったなら、夜にも訪れてみましょう。昼間とは違うお店の表情が見られるはずです。

麻布ライスはあの有名人からも人気!

あべちゃんと麻布ライスの知名度は高く、有名人のファンも少なくありません。代表格は志村けんさんでしょう。お笑い界の大御所であり、今でも数多くのテレビ番組で活躍されている志村さんは、あべちゃんの常連客です。すでに30年以上も通っているそうで、麻布ライスをはじめとするB級グルメに太鼓判を押しています。さまざまな高級店を知り尽くしているはずの志村さんすら虜にしてしまうあべちゃんには、それだけ居心地の良さがあるのでしょう。

さらに、2018年5月24日にはお昼の情報番組「ヒルナンデス」内のロケで、俳優の瑛太さんがあべちゃんを訪れました。注文したメニューはもちろん麻布ライスです。「モツとごはんを一緒に食べた経験がない」と驚いていた瑛太さんも、食したあとは絶賛していました。たしかに、モツをおかずと思っていない人からすると、麻布ライスにはじめは戸惑ってしまうでしょう。しかし、実際に食べてみるとモツとごはんの相性に、いい意味で裏切られるはずです。また、編集者の山下マヌーさんや渡辺美奈代さんもあべちゃんを訪れた際に、ブログを更新していました。あべちゃんは食通のあいだで知られているスポットだけに、芸能人のファンも多いようです。訪れた際には、芸能人と遭遇する可能性もあるでしょう。

麻布ライスが生まれた場所!麻布十番ってどんなところ?

東京都港区麻布十番は、かつて「麻布村」と呼ばれる農村地帯でした。しかし、徐々に江戸らしい下町に変わっていき、1962年に麻布十番と改名されてから2019年現在にいたるまで、東京都を代表する住宅地として認識されています。全体的に低地であり、高層ビルや大型施設が少ない特徴を持っています。昔ながらのブティック、飲食店が多く、いわゆる「飲み屋街」としても有名です。知られざる名店が少なくなく、美食家からも注目されてきました。

1980年代にはディスコが建設され、バブルの繁栄に便乗する形で街全体が派手になった時期もありました。ただし、バブル期が終わったのち、2000年になってから近隣に六本木ヒルズができると、街の雰囲気も大きく変わります。地下鉄・南北線や大江戸線が開通してアクセスが便利になったこともあり、都心のサラリーマンの落ち着いた遊び場として人気を集めるようになりました。そんななか、あべちゃんのような老舗が地元民から長く支持されているのも麻布十番の特色です。新しい価値観と下町の風景が混じりあい、独特の文化を形成しているのがユニークです。これからも庶民感覚は大切にされつつ、時代の流れに対応していく街として栄えていくでしょう。

麻布ライスは東京下町の文化が生んだ絶品グルメ 東京下町には地元民同士の人情があります。彼らは強い絆で結ばれており、地元のお店は貴重な憩いの場所となっています。あべちゃん 麻布十番店から生まれた麻布ライスは、そんな東京下町の空気をとじこめたB級グルメです。気取ったところがなく、ただ「地元民がおいしいと思うものを届けたい」という店側の思いが反映されています。麻布十番を訪れたら歴史と人情を感じさせるメニューを堪能し、下町の奥深さに思いをはせましょう。

ザ・ご当地検定の問題

Q. 東京のB級グルメ「麻布ライス」でご飯の上に乗っているのは?

A.モツ煮