ヅケにした魚を握った「島寿司」といえば、どこの島の郷土料理?

黒潮洗う太平洋でとれた新鮮な魚を醤油タレに軽く漬けたヅケにし、甘めの酢飯のシャリを握ったものにワサビ代わりの練カラシを載せて食べるのが特徴の島寿司。そんな島寿司はどこで食べられるのでしょうか。

常春の島

八丈島は東京都の南約287キロにあるひょうたん形をし、南東部に標高700.9メートルの三原山と北西部854.3メートルの八丈富士から二つの主峰からなるひょうたん型の火山島です。
八丈島は全域を東京都八丈町として東京都に属しています。そのため、島を走る自動車のナンバーは品川ナンバーです。
暖流の黒潮が島周辺を流れているため、温暖な海洋性気候のため年平均気温が18.1度と高く、風が強く高温多雨で湿度が高いのが特徴です。そのため、「常春の島」としても知られています。
島寿司はこの温暖な八丈島で独自の進化をした寿司文化として古くから親しまれていました。
今では八丈島の名物として、島の寿司屋をはじめ、多数の飲食店で提供され、観光やビジネスで訪れた島外からのお客さんに人気を博しています。

味のきめては、タレ・シャリ・カラシ

島寿司は、八丈島近海で獲れる新鮮なマグロやカツオ、シイラ、カジキ、シマアジ、鯛類なんかを醤油ベースのタレに漬け、ヅケにしたものを握るのが特徴です。ヅケのためネタの表面がきれいなベッコウ色をしていることから、別名「ベッコウ寿司」と呼ばれることもあります。ヅケにしたのは、元々は温暖な気候のため、船で沖合へ出る漁師などが魚のが傷むのを防止して鮮度保つための工夫としてヅケにしたといわれています。その後、その味が広がり親しまれてヅケをのせる島寿司が定着しました。
またシャリも砂糖を利かせた甘めの酢飯を使います。甘い酢飯が醤油タレの寿司ネタと絶妙に合います。

もう一つ特徴的な事があります。島寿司はわさびを使わない事です。ワサビの代わりに、「練りカラシ」を使います。
なぜ練りからしを使うのか。
もともと八丈島やさらに南方での小笠原ではワサビが手に入らなかったのです。ワサビはもともときれいな水の流れる渓流などで自生するため、八丈島の様な火山島では自生が難しく、入手する事が困難だったためです。
ワサビの代用品としてカラシを利用しました。その頃の名残で今でも島寿司はカラシを使います。
なお、刺身にもカラシを使う人も多いとのことです。

八丈島の島寿司は海を渡る

八丈島の島寿司はベッコウ色のズケが特徴の寿司ですが、八丈島のはるか南方、同じ東京都に属する日本のガラパゴスとも呼ばれる小笠原でも食べることができます。小笠原の島寿司は海亀食等の小笠原の食文化を吸収して独自に発展してますが、もともとは八丈島から伝わったものといわれています。
さらに八丈島から1100キロ余り南西にある大東諸島の伝統食、大東寿司があります。大東諸島は明治時代に八丈島から開拓のため入植したため、島民が島寿司の文化を持ち込んだのが始まりです。大東諸島の島寿司はカラシではワサビを使用しています。

八丈島の島寿司にも珍しいネタがあります。江戸前寿司ではあまり使われないトビウオ。特に2月から5月にかけてのトビウオは「八丈春とび」あるいは単に「春とび」とよばれ、上品で淡白な白身は絶品です。この春とびはすべて「ハマトビウオ」という世界一大きなトビウオで、その体長は50センチに達するもの水揚げされます。
春とびを醤油タレに漬け、甘めの酢飯で握ったものが島寿司の元祖ともいわれます。ベッコウ色に染まった春とびの白身がのった島寿司をみれば、ベッコウ寿司の別名がなるほど腑に落ちます。

常春の東京都、八丈島でベッコウ色が特徴的な春とびのヅケがのった島寿司を味わいたい

2月から5月の春とびの季節、輝くベッコウ色にが特徴の島寿司はやはり八丈島をでしか食べれません。丸の内や新宿と同じ東京都内ですよいわれても、気軽には行けない常春の島。しかし、春とびの島寿司のために訪れる値打ち十分あります。是非とも八丈島へ。

ザ・ご当地検定の問題

Q. ヅケにした魚を握った「島寿司」といえば、どこの島の郷土料理?

A. 八丈島

Q. 温暖な海洋性気候で、通称「常春の島」とも呼ばれる東京都の島は?

A. 八丈島