静岡県西伊豆の伝統的な保存食で、よくうどんに乗せられて食べられるのは?

静岡県西伊豆の田子地域でしか製造されていないという伝統の保存食をご紹介します。いったい、どんな風味を楽しめる名産品なのでしょう。長年にわたって製法が守られ、愛され続けてきた理由を紹介しながら、美味しく食べるコツに迫っていきます。

習わしに育まれた製法

静岡県西伊豆の田子港は、かつて、一本釣りされた鰹が水揚げされる良港でした。そのため、鰹節加工業も繁栄し、数十軒もの店が技術と品質を競ってきました。田子節の評価は高く、とくに贈答用として喜ばれていました。そんな「鰹の街」で生まれた保存食がしおかつおです。師走が近づくと、鰹船の船主が数百本ものしおかつおをつくり、船を支えてきた関係者たちに配るのが習わしでした。しおかつおは、安全と豊漁を祈願するための縁起物であり、鰹を丸ごと塩に漬けこんで寒風にさらすという独特の製法によってつくられる保存食でした。軒先にしおかつおが吊るされている光景は、田子地域の正月の風物詩だったのです。

船の大型化が進んでからは徐々にその隻数を減らしてしまい、鰹節産業も斜陽化していきました。それでも、しおかつおは伝統の製法でつくられ続けています。時代とともに環境は変わりましたが、地域性を色濃く反映した名産品として根強い人気を得ているからです。

塩辛さこそ命

もともとは漁師だけが食す珍味として受け継がれてきましたが、1970年代に入ると田子水産農協の手で商品化されるようになりました。最大の魅力が、田子地域の風土を活かした製法によって生み出される塩辛さです。簡素な製法でつくられるのは、鰹の旨味を最大限に引き出すためです。確かに塩辛さは強烈ですが、噛めば噛むほど鰹の脂が甘く感じられます。田子地域では、この伝統の珍味をより楽しめる3大メニューが受け継がれてきました。ひとつ目は薄目に切った「焼き」です。日本酒好きには堪らない肴になります。ふたつ目は焼いたしおかつおを使った茶漬けです。糸を引く美味さに、ひとたび食せばファンになってしまいます。最後はスライスしたしおかつおでつくる酢の物です。酢によって自然に塩抜きされるため、想像以上にマイルドな口当たりになります。塩味、酸味、旨味がバランスよく味わえる逸品です。しおかつおのポテンシャルの高さは、都内の有名料理店などでオリジナルメニューが開発されていることでも証明されています。

最近の減塩ブームが影響して「塩かつお」だけでなく「潮かつお」と表記されることも増えてきました。どちらも同じ製品ですし、通販でも購入することができます。冷蔵すれば3ヶ月ほど、冷凍すれば半年から1年は保存できるため便利で安心です。

絶景スポットは数知れず

西伊豆の魅力といえば、その美しさを誇る海です。「恋人の聖地」である恋人岬、時間を忘れて見入ってしまう黄金崎の夕陽、「ゴジラ岩」に驚かされる大田子海岸、シュノーケリング愛好者の定番である田子瀬浜、干潮になると島と陸が1本にリンクする「トンボロ」という現象が楽しめる三四郎島も外すことはできません。どのスポットも凹凸の複雑さに特徴があり、表情が個性的です。ビーチで味わう光景とは違った趣が待っています。そのなかでも、西伊豆独特のアクティビティを経験できるのが堂ヶ島洞窟です。遊覧船「堂ヶ島マリン」を利用すれば、遊覧船コースとクルージングコースをセレクトできます。いずれのコースでも「天窓洞」を見学でき、天然記念物に指定されている絶景に魅せられます。その日の天候や潮の具合などで水の色が千変万化するため、何度足を運んでも違った感動を味わうことができるのです。

しおかつおは伝統の製法でつくられた珍味であり、ひとたび食せばクセになります

しおかつおは、静岡県西伊豆の田子地域でしか製造されていない伝統の珍味です。保存食がルーツで、刺激的な塩辛さに特徴があります。鰹の旨さを最大限に引き出している塩辛さだからこそ、いまも根強いファンに支持されているのです。

ザ・ご当地検定の問題

Q. 静岡県西伊豆の伝統的な保存食で、よくうどんに乗せられて食べられるのは?

A.しおかつお

Q. 静岡県伊豆市にある、恋人の聖地といわれる岬は?

A.恋人岬