静岡県の七尾のものが名物となっている、大根を使った漬物といえば?

昔から日本全国で作られ、ご飯やお茶のお供に欠かせない漬物をご紹介します。この漬物は静岡県の七尾のものが名物となっています。これほど地域の特徴が顕著な食材もないかもしれません。

七尾たくあんとは

七尾たくあんが生産されている七尾地区は、静岡県の熱海と湯河原の間の伊豆山の北部にあります。この地域は昔から、富士火山地帯にみられる土壌特質の影響で、大根が太く育たず細長くしか成長しませんでした。それが七尾名物のたくあん漬けの見た目の特徴にもなっています。

この大根を漬物専用の大根として、伊豆、箱根連山の灰土の滋味を活かし栽培。収穫した大根を海からの潮風に約3週間ほど天日乾燥させます。それから、その大根を自然塩と糠だけで3年間漬け込みます。こうして出来上がったのが、静岡県七尾の名物「七尾たくあん」です。

その味は、ぱりぱりとした食感が心地良く、噛むほどにコクと旨みが染み出してきます。塩辛さの中に深い味わいが楽しめ、一度食べるとクセになる味です。その素朴な味わいとふくよかな香りと歯ごたえが喜ばれ、お土産品としても高い人気があります。

七尾たくあんの有名店岸浅次郎商店

静岡県七尾の名物たくあん漬けの店といえば、岸浅次郎商店が有名です。熱海にある本店は熱海駅より徒歩6,7分のところにあります。
創業当時から変わらず守り続けてきた、田舎漬けの手法で漬物専用の大根「七尾大根」を用いています。

七尾大根を海から吹き上げる潮風に3週間程乾燥させ、塩と糠のみで3年間漬け込んで作られています。勿論保存料や着色料等は一切使用されておりません。店内には名物浅次郎漬けを中心に、季節の野菜の素材を活かして作られた漬物が常時30から40種類程用意されています。

七尾大根がたくあん漬けになるまで

七尾たくあんの大根には練馬系大根の種が使われています。9月上旬になると一斉に伊豆の契約農家の種まきが始まります。種を蒔いてから双葉、本葉が出るまでの時期が一番注意が必要です。この時期は台風の時期でもあり、大雨や強風にさらされる事が多く、過去にも何度となくせっかく蒔いた種が流されるなどの被害にあっています。

2か月半を過ぎると、大根は長さが1メートル程に成長します。始めは下へ下へと長く伸びて、それから少しずつ太くなっていきます。そうして11月中旬ごろに収穫を迎えます。

収穫された大根はまず土を落とし綺麗に洗われます。それから2本ずつに束ねて潮風に干す作業へと移ります。約3週間干し細くしわくちゃになるのを待つのです。

その作業で気を付けるべきことがあります。それは2本に束ねる際に、2本の大根が同じ程度の長さと太さでなければいけないということです。同じ環境と時間で2本とも同じ様に乾燥させるために必要なことなのです。

しっかり乾燥を終えた大根はいよいよ漬けこみの作業へと進みます。長年使い込まれた杉の四斗樽に、隙間が出ない様にぎゅうぎゅうに大根を敷き詰めます。この作業は大変力とコツがいる作業です。その上から糠と塩を振りかけます。分量はその年の気候や大根の干し具合に応じて調整されます。長年の経験に裏打ちされた職人の技といえるでしょう。

大根を敷き糠と塩を振りかける作業を何度も繰り返し、およそ200本の大根が樽一杯に埋まります。その樽の上に70キロから80キロほどの重石を乗せて蔵の中で3年あまりねかせるのです。

こうして種まきから長い時間をかけて丁寧に作られた、たくあん漬けこそが七尾の名物として店頭に並んでいるのです。

七尾名物のたくあん漬けの美味さは土地と人にあり

静岡県の名物七尾たくあん漬けの美味しさは、七尾の風土がもたらす恵みと、人々が昔ながらの製法を実直に伝え継承されてきたことにほかありません。日本にはこうした昔ながらの自然の恩恵と作物への感謝の心が形となった名産品がとても多くあります。

ザ・ご当地検定の問題

Q. 静岡県の七尾のものが名物となっている、大根を使った漬物といえば?

A.たくあん漬け