ソバの実をまるごと製粉するのが特徴の、島根名物のそばは?

島根県には、ソバの実をまるごと製粉する名物のそばがありますが、なんというでしょう?

島根名物の出雲そばは何故黒っぽい?

島根県・出雲地方を代表する食文化の出雲そば。出雲地方の神在祭の際には、神社の近くで新そばの屋台が並び、釜揚げそばで体を温める風習が昔からあったのだとか。
そんな出雲そばは、一般的な蕎麦に比べると見た目が黒っぽいという特徴があります。この黒さには理由があり、そば粉を作る際、通常は殻をむいたソバの実を一番粉から四番粉に分類し使うのですが(例えば、ソバの実の中心の白い部分の一番粉で打った蕎麦を「更科そば」と呼ぶ等)、出雲そばは粉の選別をせず殻のついたソバの実(玄そば)をそのまま挽き込むため見た目が黒っぽくなるのです。ちなみにこの製粉方法は「挽きぐるみ」と呼ばれます。
挽きぐるみで打たれた蕎麦は、栄養価と香りが高く、色黒で風味豊か、コシがあり味わい深い蕎麦になります。

日本三大そばの一つ、出雲そば!

出雲そばは、信州の戸隠そば、盛岡のわんこそばと並んで日本三大そばの一つに数えられています。
・すすいだ水をほとんど切らずに5つほど小分けに並べた「ぼっち盛り」をする、戸隠そば
・一口大の蕎麦に熱いそばつゆを潜らせた椀を次々に振舞われる、わんこそば
という特徴がそれぞれにありますが、
出雲そばの特徴は、
・暑い季節の「割子そば」寒い季節の「釜揚げそば」
という少し変わった食べ方にも表れています。

  • 割子そば
    冷たいざる蕎麦やもり蕎麦は、つゆが入った器の方に蕎麦をつけて食すのが一般的ですが、割子そばは、「割子」という丸い器に盛った蕎麦に直接つゆを回し掛けていただきます。基本、2段や3段の丸い器に盛られた蕎麦と、別に薬味・つゆの器がそれぞれ用意されています。薬味はわさびよりも紅葉おろしや辛味大根の大根おろしなどが多いです。
    まず一番上の蕎麦に、薬味と濃いめのつゆを直接掛けて食し、食べ終わったら残ったつゆをその下の器にかけて、適宜つゆと薬味を足していきます。つゆを使い回しながら上から順に食べていくのが特徴です。
  • 釜揚げそば
    出雲大社の参拝時に門前の屋台で出されていた蕎麦が由来で、当時、神在祭の肌寒い時期に温かい釜揚げそばで身体の中から暖めていたそうです。店内と違って麺を水で締めることが難しいということもあって、茹で上げた蕎麦は水にさらさずに、そば湯ごと器に移して、そこに甘辛いつゆや薬味を加えて食していました。出雲を去る神々を見送る儀式「神去出祭(からさでさい)」にちなんで、「神去出蕎麦」また「お忌み蕎麦」と呼ばれることもあります。

蕎麦処・出雲の秘密は?!

出雲地方で蕎麦が栄えた理由は、現在の雲南市や奥出雲町など、かつての奥出雲地方においてソバ栽培が可能だったことにあります。寒さに強く収穫までが短い上、痩せ地でも栽培できるソバが出雲地方に根付きました。
また、松江藩の初代藩主・松平直政が松本藩から国替えした際、蕎麦職人を信濃から連れてきたことで出雲にも蕎麦が定着し、さらに江戸時代後期、7代藩主の松平治郷が大変な蕎麦好きで普及に一役買ったとされています。

「不昧公(ふまいこう)」の蕎麦好き伝説

出雲地方の産業・文化を振興した名藩主として「不昧公(ふまいこう)」と呼ばれ親しまれている松江藩・7代藩主の松平治郷の蕎麦伝説がいくつか残っています。
・当時「高貴な人は蕎麦を食べない」とされていたが、お忍びで夜に屋台の蕎麦を食べに行くほどの蕎麦好きだった。
・不味流を起こした茶人としても有名だが、茶懐石にも蕎麦を取り入れた。
・武士の割合弁当箱である重箱にも蕎麦を入れて持ち運んだことで割子そばができた。
 ちなみに当時の割子そばは四角形の重箱だったが、明治になって清潔に洗えることから容器が丸型に変わった。

栄養価が豊富な出雲そば

出雲そばで使われる挽きぐるみのそば粉はビタミンB1・B2などの高い栄養価が含まれていて、疲労回復に役立ち、代謝を促してくれます。特に三番粉に多く含まれているルチンによって、毛細血管が丈夫になり、血液がスムーズに流れ、生活習慣病の予防にも高い効果が期待できるそうです。
同じ出雲そばといっても、その店その店それぞれに違いやこだわりがあります。
郷土色が豊かで栄養価も高い出雲そばを食しに、ぜひ出雲へ訪れてみては?

ザ・ご当地検定の問題

Q.ソバの実をまるごと製粉するのが特徴の、島根名物のそばは?

A.出雲そば