「色の静岡、香りの宇治」に対し「味の」と称される埼玉県名産のお茶とは?

鎌倉時代に遡るといわれる歴史を持ち、日本の三大茶の1つに数えられるお茶をご紹介します。緑茶の主要生産地では最北端に位置し、独特の深いコクを出すそのお茶の秘密を覗いてみましょう。

埼玉県名産のお茶

狭山茶はその昔、川越藩領だった狭山丘陵一帯の村々で作られていたことから「河越茶」と呼ばれていました。江戸時代に地域の特産物として栽培が盛んになりました。生産量でいうと入間市が一番多く、次いで所沢市、狭山市の順になっています。茶の木はもともと寒い気候は少し苦手な為、埼玉県の気候でも南の地域に比べ厚みのある茶葉になります。

値段や種類がいろいろありますが、一番多く飲まれているのは煎茶です。新芽を蒸して揉み、乾燥させて作ります。「深むし茶」というのは、煎茶の一種で蒸しを強くしたものです。基本的に高級になるほど非常に良く風味が膨らむので、普段は軽めの緑茶に慣れていて初めて狭山茶を飲む方は、いつもより茶葉の分量を少なめに入れるくらいから始めるとちょうど良いでしょう。

お茶に含まれている成分は様々な面で健康に良いとされています。例えばカテキンは血中コレステロールの低下や抗酸化作用等々、テアニンはリラックス作用が、各種ビタミンは肌の健康に良い、クロロフィルは消臭作用があるといったものが一部の例です。

狭山茶の深いコクの秘密「狭山火入れ」

狭山茶を作る工程で特筆する点は火入れという作業です。お茶の仕上げ段階で熱を加えて十分に茶葉を乾燥させるのです。これにより貯蔵性が高まるだけでなく加熱香気が生成され、狭山茶独特の甘くてコクのある濃厚な味わいが生まれるのです。そんな狭山茶をおいしく入れるコツを煎茶の場合でいくつか確認してみましょう。まずポットのお湯は一旦湯飲みにいれます。これでお湯の温度がお茶の適温の70~80度くらいになると同時に湯飲みを温めることができます。お湯の量の目安にもなります。次に茶葉を急須に入れます。1人分はティースプーンで軽く1-2杯です。そして湯飲みのお湯を急須に注ぎます。30~90秒待った後最後の一滴まで注ぎ切ります。

ほっと一息つきたい時にお茶だけいただいてもいいですが、お茶請けと一緒にいただくのもすてきなティータイムになります。狭山茶は県内の大抵のスーパーで手に入りますが、県内に複数ある狭山茶の専門店に行くと、ようかんやせんべいなどお茶請けにお勧めのお菓子も置いてあります。狭山茶を使ったスイーツなどは少し贅沢な気分を味わえるでしょう。ようかんは勿論、ラングドシャやクッキー、お茶パイ、ロールケーキなど各種のスイーツが見つかります。変わり種ではチョコレートや葛餅まであります。

地域をあげてアピール

埼玉県内には狭山茶の直売所が複数あります。多くは「狭山茶」ののぼりと「○○園」という名前で直売所だと分かります。お土産に買うならこういった専門店でアドバイスを聞きながら選ぶといいでしょう。中には何代も続いている作り手も複数あり、コンクールに受賞したクオリティーを極めた狭山茶にも出会えます。

入間市には国内でも珍しいお茶の博物館、「入間市博物館ALIT」があります。英国のティー文化と緑茶との繋がりなどお茶の意外な歴史が様々な展示品と共に学べるだけでなく、お茶関係のおしゃれなショップやお茶を使った様々な料理がいただけるレストランもあります。所沢市では毎年新茶が始まる4月下旬に「ところざわ新茶まつり」を開催しています。狭山市には小売店舗が約60、そして茶工場が約40あり、道を歩いていれば必ず「狭山茶」と書いたのぼりを見つけることができます。そして春には新茶祭り、秋には大茶会なども開催しています。「色の静岡、香りの宇治、味は狭山を」謳い継ぎながら狭山茶は三代茶の1つとしてますます人々の日常生活に深く根付いていきます。

ほっと一息に狭山茶を飲んで健康作り

独特の深い味わいを醸し出す狭山茶。地元の人々にとって一目で分かる丸い尾根を作って並ぶ茶畑の風景にノスタルジックな気分になる人もいると共に、安心感を与えてくれます。とりわけ地元の人々にとってお茶の味は狭山茶のそれといっていいでしょう。

ザ・ご当地検定の問題

Q. 「色の静岡、香りの宇治」に対し「味の」と称される埼玉県名産のお茶は?

A.狭山茶