長崎県島原市で「寒ざらし」と呼ばれている食べ物は?

「寒ざらし」というスイーツをご存知でしょうか? 涼しげな見た目と上品でやさしい甘味が特徴の長崎・島原で愛されている伝統的なスイーツです。今回はこの「寒ざらし」をご紹介しましょう。

「寒ざらし」って?

「寒ざらし」とは、小さく丸められた白玉を島原の湧き水で冷やし、三温糖、蜂蜜やザラメ、黒砂糖をベースにして作った特製の蜜をかけた、ご当地スイーツです。雲仙普賢岳の麓に広がる島原市は、市内のいたるところに湧水が湧く水の都。「寒ざらし」はその豊富な湧き水を使い、茹で上げた白玉を冷やすことができたため名物になったと言われています。

口の中でとろけるやさしい甘さと、湧水で冷やした白玉は独特のもちもち食感があり、つるんとした喉越しが人気で、島原では多くの飲食店で提供されています。お店ごとに白玉の大きさやシロップの味で、それぞれのこだわりや違いがあります。自家製のあずきなどのトッピングも楽しめるものもありますよ。

「寒ざらし」の由来

中国にも「元子(ユアンツ)」とという寒ざらしに似たものがあります。他に「湯団(ユーディアン)」と呼ばれる、団子の中に様々な種類の具が入っているものもあって、中国浙江省の寧波(ニンポー)、温州で食べられているといいます。大寒の日に原料であるもち米を水にさらすことから「かん(寒)ざらし」と呼ばれることになったと言われています。昔は寒ざらしにかける蜜を作る材料の砂糖やハチミツは、贅沢品だったためお客様をもてなすものとして出されていました。

「寒ざらし」を食べに行こう

「かんざらしの元祖」と言われているのが、大正4年に入江ギンさんが始めた「銀水」というお店です。昭和30年に田中ハツヨシさんがお店を引き継ぎ、名物おばあちゃんと親しまれて1人で切り盛りしていました。地域の人々や観光客はもちろん、全国から大勢の著名人が訪れる人気店でしたが、ハツヨシさんの死去により、惜しまれつつ閉店しました。しかし、20年近く空き家のままだった「銀水」の建物を平成28年に島原市が買い取って再生させ、今では島原の新たな観光スポットとして再び注目されています。その「銀水」の寒ざらしは、柔らかめのぷるぷるした食感の白玉に、数種類の砂糖をブレンドして作られているという、はちみつの風味のする濃いめの蜜がよく合います。

明治時代に建てられた情緒ある建物の「しまばら水屋敷」を訪れると、たくさんの招き猫が出迎えてくれます。庭に湧く湧水を眺めながらいただける寒ざらしは、もちもちと弾力のある白玉と、サラっとしたあっさりめの蜜が特徴です。抹茶とセットになったものや、自家製あずきをのせたあずき白玉もあります。

国の登録有形文化財に認定され、九州で二番目に古いという金物店に併設された「速魚川(はやめがわ)」では、レトロな器で提供される、べっこう飴のようなやさしい味わいの寒ざらしがいただけます。また、こちらのお店の名物「食べる島原ミルクセーキ」は、北海道のコンデンスミルクや卵黄を使い、一口食べると絶妙なくちどけを感じられ、まろやかな甘みとコクが口いっぱいに広がります。

島原城の城下町にある「青い理髪舘 工房モモ」は、こちらも国の登録有形文化財に登録された大正12年(1923)築の木造2階建ての洋館です。店名の「理髪店」として営業していたことに由来しています。風情溢れるおしゃれでレトロな店内でいただける寒ざらしの白玉の中には、かわいいハート型のものが1つだけ入っているので、探すのも楽しいですね。

「しまばら湧水館」は島原の湧水スポット「鯉の泳ぐまち」の中心にある休憩所です。ここでは、300円でかんざらしの手作り体験ができます。自分で作ったかんざらしはまた格別の味がするに違いありません。

ザ・ご当地検定の問題

Q. 長崎県島原市で「寒ざらし」と呼ばれている食べ物は?

A. 白玉