岐阜県の中津川市や恵那市では「からすみ」というと、ボラの卵巣ではなく、どんな食べ物を指す?

からすみと言えば、長崎県や香川県の特産物として知られるボラの卵巣の塩漬けを思い起こす人が多いでしょう。しかし、海に接していない岐阜県にもからすみという名産品があります。岐阜県のからすみは、いったいどのようなものなのでしょうか。

岐阜県のからすみの特徴やレシピ

岐阜県の中津川市・恵那市・瑞浪市など東濃地区と呼ばれる地域には「からすみ」と言う伝統的なご当地の名品があります。からすみといっても海産物の珍味として知られるボラの卵巣の塩漬けではなく、蒸した米粉で作る和菓子のことです。一説によればこの2つは無関係ではありません。江戸時代から珍味とされるボラの卵巣は、子宝を授かる縁起物として重宝されていました。岐阜の人たちも桃の節句のお供えにボラの卵巣のからすみが欲しかったのですが、あいにく岐阜は海と接しておらず、入手することは困難でした。

そこで、ボラの卵巣のからすみに似たお供え物を作って代替品にしようとする試みが成されたのです。ボラの卵巣のからすみに似せて作った和菓子が、岐阜県ではからすみと呼ばれるようになりました。岐阜県中津川市周辺でからすみと言えば、ボラの卵巣ではなく和菓子のからすみを指すのが通常となっており、桃の節句のお供え物として食べるほか自宅で和菓子のからすみを作って近所にお裾分けする慣習が続いています。他にも、中国産の墨に富士山の形状のものがあり岐阜県のからすみがその形に似ていることから「唐墨」と名付けたという別の説もありますが、真偽のほどは定かではありません。

からすみは細長い棒状の菓子で、羊羹や名古屋名物「ういろう」のように包丁で1センチくらいの食べやすい幅に切ると、断面が富士山の形に似せた山型になっています。食感は和菓子の「すあま」のような弾力性が特徴的でべとつきがありません。口当たりも「ういろう」よりしっかりとしており、少量でもずっしりと重量感があり食べ応えが十分です。味もプレーンだけでなく黒砂糖・酒粕・珈琲味のものも人気で、抹茶・ヨモギ・ゴマを練りこんだものや、粉々に砕いたレーズン・クルミ・栗をまぶしたものもあります。季節によっては桜味やゆず味などのからすみもあり、バラエティに富んでいます。

お餅と同じように日が経つとデンプンが劣化して硬くなってしまいます。でも、蒸し直したり電子レンジで加熱したりすれば、また元のように弾力性のある柔らかさを取り戻すことができます。からすみは水分の含有量が多く日持ちが良くありませんが、真空パックで10日間くらいまで消費できるものも販売されています。からすみは、岐阜県内の恵那市・中津川市などの道の駅でお土産物として売られていますし、真空パックの製品なら通販でも取り寄せることが可能です。中津川など地元の和菓子店やスーパーマーケットの和菓子コーナーには、からすみが大福やどら焼きと並んで販売されています。

からすみを作るには、まず鍋に水・白砂糖・塩を入れて加熱し、米粉を振りかけながら混ぜていきます。加熱している間は、焦げ付かないようにヘラで混ぜ続けなければなりません。米粉の生地が耳たぶと同じくらいの感触になるまで練りこみ、米粉の打ち粉の上に広げて生地がべとつかないよう十分な量をまぶしましょう。この際に粉々に砕いたレーズン・クルミ・栗を混ぜて均等に練りこみます。棒状に伸ばしてラップに包み、断面が富士山の形になるよう整えます。ラップを外して蒸し器に入れ強火で30分ほど蒸せば、後は冷ますだけで出来上がりです。

岐阜県の銘菓「からすみ」をお茶のお供として食べてみましょう。

岐阜県に行けば地元の小売店で和菓子のからすみを入手することは簡単です。様々な味のからすみを食べ比べてみるのも楽しいでしょう。真空パックの商品をお土産用に購入しても良いし、自宅でからすみを作ってお茶のお供にしても良いかもしれません。

ザ・ご当地検定の問題

Q. 岐阜県の中津川市や恵那市では「からすみ」というと、ボラの卵巣ではなく、どんな食べ物を指す?

A. 和菓子