岩手県名産の「ママス」。一般的に言う、何の魚のこと?

マスには色々な種類がありますが、年中販売されるわけではないのでサケよりも身近な魚ではないかもしれませんね。岩手県ではママスと呼ばれるマスがあります。これはどういう魚なのかを解説していきます。

混乱するほど様々な呼び名がある

ママスはサクラマスの地方名です。サクラマスという名称は、全国に共通している傾向にあります。しかし、三陸で働く漁師の間ではカラフトマスと呼ばれ、スーパーなどでは青マスとして販売されていることが多いです。また、岩手県ではママス(真鱒)以外にもホンマス(本鱒)と呼ばれることもあり、山形県の庄内地方においてはユキシロマス(雪代鱒)と呼ばれるなど、地方によって様々です。

サケ科サケ属には沢山の種類があり、昔は単にマスと総称されていました。しかし、近年のDNA解析など科学技術の発展により、種類分けがなされています。
サクラマス(桜鱒)の由来は、身が桜色だからというのではなく、桜の咲く頃に川を遡上し、漁獲できるところから来ています。遡上は早くて2月に始まり6月頃まで続きますが、北海道はひと月くらい遅いです。

サケと同様に淡水で生まれて海水で育ち、再び淡水に帰って産卵する、という一生を送ります。8月下旬から10月上旬に産み落とされた卵は11月から12月に孵化し、1年経つと海に旅立ちます。その1年後に川に戻って産卵後に死んでしまうので、寿命は短いですね。
ただ、中には海に戻らずに川で一生を終える陸封型のサクラマスもおり、全国的にはヤマメ、岩手県ではママスと呼ばれます。出荷されるママスは主に、沿岸で定置網などを用いて漁獲されています。

岩手は川釣り・渓流釣りの人気スポット!

ママス、いわゆるイワナが生きられるのは、綺麗な水がある環境です。岩手県にはママスが遡上できる清流が沢山残されているゆえに、名産となっています。この地で育つママスは大きく、釣りがいがあると、釣り人に評判です。
日本最大級の自治体河川である閉伊川では、期間限定で遊漁を許可しています。ママスだけでなく、ヤマメやアユなど、清流でしか生きられない淡水魚の宝庫です。
閉伊川を始めとする川で釣りをするときは、内水面漁業協同組合が発行する遊漁券を購入してくださいね。この券を携行せずに釣りをすると、密漁になってしまいます。大抵はコンビニや個人商店などでも販売されています。

せっかくなら見ておきたい史跡や遺跡

例年、岩手県で渓流釣りが解禁されるのは3月です。盛岡市でも最高気温は4~5度、最低気温はマイナス3~4度くらいなので、まだまだ寒いです。雪が降る日もあるので、特に関東以南から出かける人は真冬並みの格好をしていくのがおすすめです。
釣りばかりでなく、せっかくなら県内観光も楽しみたいですよね。岩泉町には国の天然記念物指定され、日本三大鍾乳洞の一つに数えられる龍泉洞があります。鍾乳洞の奥から湧き出る水が深い地底湖を造り、その深さは約98mにもなります。また、未公開部分の地底湖は120mと、日本一の深さです。水の透明度が非常に高く、間接照明の効果により、実に幻想的な世界が味わえます。

これまで岩手県を訪れたことのある人は世界遺産の平泉には足を運んでいるかもしれませんが、橋野鉄鉱山はまだないのではないでしょうか。こちらは明治日本の産業革命遺産として、平成27年に登録されました。現存する洋式高炉跡としては日本最古のものであり、それ以外に鉄鉱石の採掘場跡や運搬路跡、御日払所跡など、数多くの史跡が残されています。
洋式高炉が造られたのは、欧米から開国を迫られていた幕末のことでした。軍備を増強し、対抗できるだけのパワーを持つ鉄製の大砲を作るために、鉄鉱石を溶かせる高炉が必要だったのです。
伝統的な施工技術に倣って建設し、それまで全国各地で行った実験を活かして製鉄業が開始されました。ここはその後、産業革命の完成段階となる八幡につながる製鉄業発祥の地と言われています。

釣り旅のススメ

釣りが趣味の人は、ぜひ春には岩手県の川にお出かけください。元気なママスは釣りがいがありますよ。釜石市や陸前高田市の一部の居酒屋やすし屋では、釣った魚を調理してくれます。釣りの後は、よかったら他の観光地も巡ってみてくださいね。

ザ・ご当地検定の問題

Q. 岩手県名産の「ママス」。一般的に言う、どんな魚のこと?

A.サクラマス