ほとんどが地元で消費されて全国に出回らない、石川県特産のエビとは?

石川県特産のエビを紹介します。 殻が茶色っぽいのが特徴で、見た目は悪いが味は甘エビ以上といわれています。いったいどんなエビなんでしょうか。

「幻のエビ」とも呼ばれる

ガスエビは石川県の特産品に関わらず、知名度が低いエビです。まず東京や大阪などの大消費地では見掛ける事がないため当然です。ガスエビは産地の石川県では割と簡単に手に入れることが出来ますが、全国に出回らないので、ある意味「幻のエビ」なのです。金沢を中心に人気があるガスエビ、「甘エビより甘い」とか「甘エビより美味いエビ」と地元の方々に愛されています。しかしここまで人気なら、もっと流通しても不思議ではないはずです。

全国に出回らないのは足が早い事が理由です。つまり鮮度が落ちるのが、甘エビやボタンエビに比べて格段に速いので、長時間の輸送が難しく、漁獲される石川県や富山県の漁港から離れた地方では出回る事がないのです。そのため、探せば東京や大阪でも食べることができるお店もあるかもしれませんが、輸送に費用が掛かるため、途轍もなく高価なエビになってしまいます。

実はガスエビと呼ばれるエビは日本海側では割と馴染みがあるエビなのです。石川のお隣の富山や福井でも獲れます。山陰でも獲れます。やはり流通の関係で地元で細々と消費されていたため、全国区にはなっていませんでした。金沢は観光客が多く、百万石が育んだ文化を背景に、色々な料理に利用されたことから口コミで金沢名物のエビとして広がったのかもしれません。

真夏以外は食べることができるが、旬は初夏

石川県を中心に人気のガスエビは、茶色い殻のエビの事で、その種類は様々です。金沢など石川県では主にクロザコエビとトゲザコエビの2種類エビを指します。クロザコエビは底引き網で漁獲されるため、日本海で底曳網漁が禁漁となる7月から9月以外はほぼ食べることが出来ますが、9月から翌6月まで旬とされています。一方トゲザコエビは、4月から6月までの3カ月が旬とされています。食通の中には「鮮度のいいものならトゲザコエビのほうがクロザコエビのほうより美味い」という方もいます。トゲザコエビはクロザコエビより深海に生息するため、鮮度の落ち方がより速いのです。ですから、鮮度の良いトゲザコエビは地元でもなかなかお目に掛れないという事でしょう。

見た目がパッとせず、茶色の殻で見栄えの悪いエビ。さらに足が早く出荷できないという事で使い勝手が悪いことから、漁師の間で「カスエビ」と呼ばれていたのが語源で、「カスエビ」がいつのまにか「ガスエビ」になったと言われています。「カス」エビが保存技術の向上や流通網の発展で、高価になりつつあり、「カス」エビとは呼べなくなってきています。

ガスエビを味わいつくす料理の数々

石川県へ行くとガスエビは割とどこでも食べられます。金沢では海鮮を扱う居酒屋や高級なお寿司屋さんだけでなく、回転ずしでも普通に回っています。地元の人には当然の食材なのです。
そんな石川県のガスエビ事情ですが、一番美味いのは、鮮度がいいものを「お造り」で食べること。特に春以降、エメラルドグリーンの卵を抱えた時期のガスエビは絶品です。プリプリとした歯応えがあり、甘エビよりも甘い味は刺身でこそです。

ガスエビは火を通しても非常に美味しいエビです。火を通したガスエビはエビではなくカニに近い味ともいわれています。塩焼きにして食べると、その甘さが引き立ちカニに近い味わいになるんだとか。酒の肴ではご飯のおかずにもなるので地元では割に食べられているようです。

ガスエビは小ぶりの刺身や塩焼きには物足りないサイズが多く、地元では小ぶりのものを唐揚げや天ぷらなどの揚げ物にして食べます。唐揚げや天ぷらの場合は、殻ごと揚げるため、殻は香ばしくなり、身の甘みも凝縮される感じになります。ガスエビを丸ごと味わうことが出来ます。

ガスエビは殻からもいい出汁が出るので、お味噌汁にしても大変おいしく食べることが出来ます。殻ごと鍋に入れて作るお味噌汁は、カニ汁や伊勢海老の味噌汁に一歩も引けを取らない美味だそうです。

ガスエビを食べに金沢へ行こう

流通が発達してもいいものはやはり地元で食したいものです。ましてガスエビは足が早く、ほとんどが地元で消費されています。旬の4月から6月は金沢の街も青葉眩しい季節です。兼六園やひがし茶屋街を散策し、ガスエビに舌鼓を打ってみませんか。

ザ・ご当地検定の問題

Q. ほとんどが地元で消費されて全国に出回らない、石川県特産のエビといえば?

A.ガスエビ