岐阜県の「島ごぼう」。この「島」とはどこのこと?

ごぼうと言えば秋や冬が旬になるイメージが強いかもしれませんが、岐阜県岐阜市の特産である島ごぼうは春から初夏にかけてが旬です。この時期に採れる島ごぼうは、秋や冬のごぼうとは少し違います。その違いや地元での活用方法、レシピなどを紹介します。

岐阜が後世に残したい飛騨・美濃伝統野菜

岐阜県岐阜市には江口や北島、西中島などの地区を合わせて島地区と呼ばれるエリアがあります。主にこの地区で作られるごぼうは「島ごぼう」と呼ばれており、平成20年に「飛騨・美濃伝統野菜」の認証を岐阜県から受けました。島ごぼうという名前になる以前は「二才」という名称でしたが、市場への出荷開始をきっかけにして改称されました。これは昭和初期くらいのことです。島ごぼうの長さは約60cm、これは一般的なごぼうより短いかもしれません。側根が多く付いているのが特徴です。

地元では昔から薬としても活用されてきました。島ごぼうをすりおろして絞った汁を飲むと、咳止めやたんを出す効果があるそうです。1日に数回飲むのが効果的ということです。さらに絞り汁でのうがいは、口内炎の痛み止めとしての効果が得られます。虫刺されや湿疹に絞り汁を塗っても良く、さらに刻んだ島ごぼうを袋に入れて入浴剤にすると、あせもの治療になると言われています。

島ごぼうが収穫されるのは4~6月上旬頃です。ごぼうは大きく分けてごぼうと新ごぼう、別名夏ごぼうの2種類があり、島ごぼうは新ごぼうに分類できます。新ごぼうの特徴は柔らかくて香りが良いところですが、島ごぼうは香りが良い点は同じでも、シャキシャキした歯ごたえを楽しめる点は異なります。相性の良い牛肉や鶏肉と合わせて調理すれば、肉の旨味と島ごぼうの豊かな風味が味わえますよ。

地元の人がおすすめする料理は、混ぜ込みご飯の鶏ごぼう飯です。島ごぼうと鶏肉を甘辛く煮ておいて、硬めに炊いたご飯に煮汁ごと混ぜるという作り方を紹介します。まず白米2合を研ぎ、2合分の水から60ml(大さじ4)減らしてから炊飯してください。その間に島ごぼうを洗って、斜め薄切りにしてから水にさらしてアク抜きし、鶏もも肉は1cm角くらいの大きさに切ります。醤油大さじ2半とみりん大さじ2、酒大さじ1、そして砂糖大さじ1半を合わせた煮汁に島ごぼうを入れて火を点けます。中火にしてフツフツ沸いてきたら鶏肉を入れてほぐし、火を弱めて数分煮てください。

その後しっかりと冷まして、島ごぼうと鶏肉に味を滲み込ませるのがポイントです。もしご飯が早く炊けてしまいそうなときは、鍋ごと氷水などにつけて冷ますといいでしょう。ご飯に具材を混ぜ込むときは、まず煮汁を1~2割残して混ぜ、味が足りないようであれば適宜加えるという方法がおすすめです。ベストの味になったら、最後に三つ葉の小口切りなどの香味野菜を散らして完成です。

8割が水分となる島ごぼうは、カリウムやマグネシウム、カルシウムなどのミネラルが豊富です。ミネラウォーターと同じ栄養素が取れます。カリウムの利尿作用により、むくみを改善したり腎臓の働きを良くしたりといった効果が期待できます。そして、ごぼうと言えば食物繊維。島ごぼうには約1.8%の食物繊維が含まれ、水溶性、不溶性どちらも入っています。水溶性食物繊維の特徴は、栄養を吸収するスピードを抑えて食後血糖値の上昇を緩やかにしてくれるという働きです。一方、不溶性食物繊維は胃や腸で膨らむことで食べ過ぎを防いだり、お通じを促したりしてくれます。水溶性と不溶性の食物繊維をバランス良く取れる野菜は多くありません。便秘予防はもとより、生活習慣病の予防にも最適なので、積極的に食べたいところです。

薬としても使ってみたい伝統野菜

島ごぼうは新ごぼうの一種で、シャキシャキした食感と豊かな風味が特徴です。飛騨・美濃伝統野菜に指定されるほど昔から栽培されてきました。地元では薬としても活用されてきたので、食べるのはもちろん、薬効も期待して購入してみてはいかがでしょうか。

ザ・ご当地検定の問題

Q. 岐阜県の「島ごぼう」。この「島」とはどこのこと?

A. 岐阜市の島地区