愛媛県松山市の名物である、カステラで餡を巻いて作るお菓子の名前は?

愛媛県松山市のご当地お菓子。ロールケーキのようにふわふわの生地で餡子を巻いた和菓子を見たことがありませんか。ポルトガルから伝わったというこのお菓子。名前自体は馴染みのあるものですが、ちょっと不思議な呼び名なんです。

ふわふわなのにタルト?

みなさんは「タルト」と聞くと、どんなお菓子を思い浮かべるでしょうか?多くの人にとって「タルト」といえば、サクッとしたお皿状の生地を土台にして、その上に果物やクリームをのせた洋菓子のことですよね。でも愛媛県民にとっての「タルト」というのは、見た目はロールケーキ、でも中身には餡子が入っているという「和菓子」なんです。タルトなのに和菓子?と思いますよね。今回は愛媛のタルトを紹介します。

愛媛を代表する郷土菓子のひとつである「タルト」は、一見ロールケーキのようなのに洋菓子と同じ名前の「タルト」と呼ばれる和菓子。形も似てませんし、生地がサクサクというわけでもないお菓子が、なぜロールケーキでもなく、「タルト」と呼ばれているのでしょうか。

見た目はロールケーキ。でも和菓子

スポンジ生地ではなく、カステラ生地を使い、ロールケーキのように餡子を巻いた、愛媛の伝統的な和菓子「タルト」は、見た目はロールケーキとよく似ていますが、その一方で大きく異なる点があります。もちろん生地もスポンジ生地ではなくカステラ生地。生クリームではなく餡子と違いは沢山あるのですが、一番の違いとして、 愛媛のタルトはケーキ屋さんなどで売られているロールケーキとは違い、あらかじめ食べやすい大きさにカットされています。
これはやわらかなスポンジと餡子を包丁ではなかなか上手に切る事が難しいから。という思いやりからだそうです。また、愛媛のタルトは一般的なロールケーキよりも一回り小さく、サイズ的にも食べやすくなっています。

ポルトガルのお菓子をアレンジ!

愛媛の「タルト」は松山藩主・松平定行によって長崎から伝えられました。

幕府より長崎探題職兼務の名をうけていた定行公は、正保4年(1647年)ポルトガル船二隻が長崎に入港したとの知らせをうけ、急遽長崎に向かい、海上警備にあたりました。

日本へ来航した目的は、イスパニアの権勢から離れることになったポルトガルが、ブラガンザ家のジョン四世の統治になったことを知らせるためでした。港内では争いもなく、そのまま引き上げていきました。

この時、定行公はカステラの中にジャムが巻かれた南蛮菓子に出合い、その味の虜になったそうです。そしてその味に感動した定行公は製法を松山に持ち帰ったといわれています。後に、製法は久松家の家伝となり、明治以降に松山の菓子司に技術が広められたのだそうです。もともとの南蛮菓子にはジャムが巻かれていたものを、現在のように餡を巻くようにアレンジしたのは定行公だったと思われます。

なんとポルトガルの郷土菓子にジャムやカスタードクリームを巻いたロールケーキ状の「torta(トルタ)」というお菓子があります。サイズもロールケーキよりは小ぶりで、愛媛の「タルト」のルーツがまさにこの「トルタ」ではないかという説もあります。ポルトガルの郷土菓子「トルタ」と愛媛の「タルト」名前も似てますよね。

様々なバリエーションやコラボにも注目!

愛媛のタルトは基本はこし餡を巻いたものなのですが、現在は多くのバリエーション展開もされています。

生地だけでなく餡にも香り高い抹茶が練りこまれた「抹茶」は色の美しさにもこだわった逸品です。タルトの中では珍しい洋風味の「しょこら」は生地にもあんにもチョコレートを練り込んでいます。和風と洋風の絶妙な味わいが女性に人気です。

また季節ごとのタルトがあるのも楽しみのひとつで、季節ごとの限定商品として販売されています。カステラ生地をきれいな淡いピンク色に染めた見た目で春に発売される「桜」や、生地にも餡にも栗をふんだんに使った秋の人気商品「栗」、また、黒ゴマが沢山入ったこおばしい香りの「黒胡麻」。「甘夏みかん」や「レモン紅茶」など訪れる季節に応じた楽しいタルトと出合えるので、是非お土産に買って帰りたいですね。

ザ・ご当地検定の問題

Q. 愛媛県松山市の名物である、カステラで餡を巻いて作るお菓子の名前は?

A. タルト