山形県酒田市で「幻の野菜」といわれている「ねぎ」とは?

鍋物や薬味として欠かせないねぎ。一般的にねぎといえば、下の根元部分が白色で上の葉の部分が緑色ですよね。しかし山形県酒田市で栽培されているねぎは、変わった色をした珍しいねぎなんです。

全国的に珍しい在来野菜が豊富な地域である山形県

山形県は、全国的にも珍しい在来野菜が豊富な地域です。有名なものとしては、ビールのおつまみとして最適な枝豆の中でもうまみや甘味があり、表面の産毛が茶色でやや小ぶりなのが特徴の「だだちゃ豆」。他にも卵型で皮が固く、果肉がしっかりしているため、からし漬けなどの漬物として用いられる「民田なす」、全国的にもキュウリの中では小型で、長さ5cm、重さ15g程度で収穫される「鵜渡川原きゅうり」など、他の地域は馴染みの薄い幻の野菜が栽培されています。

色の鮮やかさ、栽培時間の短縮などの課題を克服し、首都圏への出荷も可能になった平田赤ねぎ

山形県酒田市で主に栽培されている平田赤ねぎは、そんな山形県の幻の野菜の1つです。この平田赤ねぎは、江戸時代末期に北前船で現在の山形県酒田市地域を訪れた上方の商人から種を譲り受けたといったルーツを持っています。栽培期間が1年以上もかかるといった手間の多さから、市販できるほどの収穫量が見込めず、一般的に農家の自家用に作られてきた野菜です。主に農家の冬の保存食でした。また、当時の平田赤ねぎは赤の鮮やかさもなく、色がくすんでいて見た目の魅力に欠けるところもありました。

初めはそんな野菜だった平田赤ねぎですが、平田赤ねぎのおいしさを広めたいと生産者や県、町が一体となって平成15年に「平田赤ねぎ生産組合(現・JA庄内みどり 平田赤ねぎ部会)」を結成。色の鮮やかさや、栽培時間の短縮など、様々な課題に取り組みながら、栽培方法のマニュアルや専用の農作業機械を導入し、徐々に増産を実現していきました。

平田赤ねぎの一番の特徴は根元部分の赤い鮮やかな色。生のまま刻んで薬味にすればその赤の鮮やかさが映えて見た目に美しく、白ネギよりもきりっとした辛さが際立ちます。また、火を通すと生のような辛さが消え、トロっとして甘味が強くなるのも魅力。一本のネギで辛さも甘さも両方楽しめ、また栄養面でもポリフェノールやケルセチンなどの成分が含まれています。

平田赤ねぎは、10月下旬頃から出荷が始まり、山形県内の大手スーパーや酒田市の悠々の杜温泉施設「アイアイひらた」農産物直売所で購入可能。JA庄内みどりの通販サイト「あんべみれ」ではお取り寄せもできます。また山形県内だけでなく、首都圏などへ向けても出荷されており、季節のものとして料亭などでも味わうことができるようです。

山形県酒田市はこんな地域

平田赤ねぎの産地である山形県酒田市は、市内のほとんどの地域が庄内平野の平坦地となっている、人口約11万人の山形県内人口3位の都市です。日本海側の東北地域であるため、冬は豪雪地域に指定されていますが、季節風の影響のため平野部の積雪量は比較的少ないのが特徴。市内には庄内空港や酒田港があり、鉄道などの陸路以外にも空路や海路といった交通手段もあります。酒田港からは、日本海に浮かぶ離島である飛島への唯一の交通機関である定期船「とびしま」が運航しています。

酒田市には、酒田市初の名誉市民の称号を授与された、写真家の土門拳の写真作品を所蔵した土門拳記念館があります。この土門拳記念館は、日本最初の写真専門の美術館です。7万点に及ぶ土門拳の作品の全てを所蔵しており、日本の観光地を案内する観光ガイドブックである2009年ミシュラン・グリーン・ガイド・ジャポンに二つ星で紹介されています。

幻の野菜が豊富な魅力ある山形県酒田市

山形県は、平田赤ねぎだけでなく幻の野菜が豊富な地域。他の県では普段中々お目にかかれない、珍しい野菜を食べに行くのも楽しいのではないでしょうか。山形県酒田市へ、是非一度幻の野菜を求めて訪れてみてはいかがでしょうか。

ザ・ご当地検定の問題

Q. 山形県酒田市の「幻の野菜」といえば、「平田○○ねぎ」。○○に入るのは?

A.赤