富山県入善町のブランドである「あわび」とは?

日本各地では、その土地に沿い、その土地の特徴を踏まえた名産品・名物を生み出すための様々な活動が行われています。様々な団体や職員、住民たちが協力して生み出したブランドのひとつであるあわびもそのひとつなので紹介します。

海洋深層水を利用して育てたあわび

「深層水あわび」とは、海洋深層水を利用して育てたあわびのことであり、富山県入善町の名物のひとつです。「深層水あわび」に対する取り組みが富山県入善町で始まったのは、平成13年(2001年)のこととされています。海洋深層水とは、太陽光が届くことのない水深200メートルより深くからくみ上げた水です。富山県入善町では、入善沖の海底384メートルからくみ上げます。海洋深層水には、表層の海水と混ざり合わないことから清浄性や栄養価の高さ、低温安定性があり、それが健全な魚介類の育成に適している夢の水ではないかという期待が寄せられていました。

海洋深層水の取水施設を建設したうえで養殖事業を展開するうえで、富山県入善町はあわびに着目したことが始まりです。当時、あわびの陸上養殖の取り組み事例はあまりありません。深層水を活用した陸上養殖は入善町魚協同組合にとっても初めての取り組みであるため、様々な試行錯誤のもと育成は進められました。水槽の清掃などといった様々な育成方法を工夫し、およそ10年の研究を積み重ね、日本全国で初ともいえる養殖技術を編み出すことに成功しました。陸上養殖で数多くの幼貝を効率的に成長させる技術を作りあげています。

入善漁港では、3センチメートルほどのエゾあわびを深層水の水槽でおよそ1年かけて成長させて出荷させています。海洋深層水を利用してのあわび養殖は日本でも全国初であるため、その技術は広く認められています。入善ブランドとして「安心・安全・良質」の水産物であると大きな期待が寄せられているとともに、「明日の富山ブランド」にも認定されているほどです。2010年には期間限定の浜焼き屋が開かれ、大いににぎわいました。

「深層水あわび」は、富山県内の観光施設や飲食店で提供されるほか、特産品として一般の人に向けての通販も行われています。

深層水あわびの魅力

「深層水あわび」には、栄養面のほかにそのおいしさにも魅力があります。海洋深層水という安定した環境で丁寧に育てられたという特徴があることから、安心・安全へのこだわりを満たしているうえに、うまみ成分であるグルタミン酸は天然のあわびの約3倍という豊かさが魅力です。また、甘み成分の天然のあわびに比べて「深層水あわび」は多い時にはおよそ21倍含まれ、コラーゲンも豊富です。豊かな栄養と美容にもよいということから、非常に人気があります。栄養豊かな海洋深層水で育てられたからこそ天然のミネラルも豊富に含まれています。

「深層水あわび」は、大ぶりのあわびとは言えません。おおよそ7センチほどに成長したら出荷されるため、小ぶりなあわびではありますが、その肉質は天然あわびに引けを取りません。肉厚でやわらかな歯ごたえが特徴的で、天然物に匹敵するほどです。自然で程よい甘みも感じられるため、おいしさも抜群です。コリコリとして肉厚の食感をそのまま楽しむことができる刺身をはじめ、煮ても焼いても身がほくほくと柔らかくなっておいしいので、様々な料理を楽しむことができます。このようなおいしさと栄養が備わっているにもかかわらず、手ごろな価格という点も魅力です。

天然あわびよりもはるかにリーズナブルに手に入れることができるため、贈答用として気軽に送ることも人気があります。

天然あわびに引けを取らない深層水あわび

深層水あわびは、富山県入善町が長年技術研究で生み出されたおいしいあわびです。栄養面でもおいしさでも天然あわびに引けを取らない魅力が特徴のブランドで、富山県各地のレストランや旅館で提供されているので、観光旅行で味わってみてください。

ザ・ご当地検定の問題

Q. 富山県入善町のブランドである「あわび」といえば?

A.深層水あわび