徳島県那賀町の郷土料理「はんごろし」はどんな食べ物?

出典:農林水産省Webサイト(https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/44_8_tokushima.html)

徳島県那賀町は徳島県の南部に位置する、町の約9割が森林という自然豊かな町です。そんなのどかな町に「はんごろし」という何とも物騒な名前の名物があるのです。

おいしい郷土菓子

「はんごろし」は、もち米にうるち米を混ぜたものを半分ほどつぶし、中にあんこを入れて作るおはぎのこと。もち米が完全に潰されていない状態のことを「はんごろし」と昔から呼ばれており、そんな恐ろしげな名前とは裏腹に、手土産やおもてなしとして親しまれている素朴な郷土菓子なのです。きな粉とよもぎの香りに、マイルドな甘さのあんこがとてもよく合って、2、3個はぺろりと食べられそうです。那賀町の「農産物直売所あいおい」で販売されていますが、まとめて買っていくお客さんもいて、昼過ぎには売り切れるほどの人気ぶりです。

「半殺し」だけでなく「全殺し」も

もち米の状態を「半殺し」と呼ぶのは、この地域に限ったことではなく、他の地方でもあります。また「半殺し」だけでなく「全殺し」もあり、もち米のつぶつぶを残さず、滑らかになるまでついたものをこう呼びます。こうした滑らかなお餅をあんこでくるんだものが「あんころ餅」です。ちなみに「全殺し」だけでなく「皆殺し」「本殺し」と呼ぶこともあるのだそう。

「ぼたもち」と「おはぎ」の違い

ぼたもちとおはぎってどちらも同じように見えますよね。ぼたもちは春のお彼岸、おはぎは秋のお彼岸に供える和菓子。春と秋のお彼岸、それぞれの季節に咲く花の名前が元になっているのです。春のお彼岸では、牡丹の花に見立てた「牡丹餅(ぼたもち)」、秋は萩の花を模した「お萩(おはぎ)」をお供えします。

また、ぼたもちはこしあんを使って作られることが多いのですが、それは昔、秋から保存して、春になる頃には皮が固くなってしまった小豆をおいしく食べるために、皮を取り除いてこしあんを作っていた名残からなのです。

魅力的な特産物がいっぱいの那賀町

那賀町の名物は「はんごろし」だけではありません。昼夜の寒暖の差が大きく、豊かな自然と澄んだ水に恵まれた那賀町は、ゆずの一大産地です。作られている「木頭(きとう)ゆず」は、市場で高い評価を受けているブランドゆず。豊かな香りとほのかな甘み、鮮やかな色合いをしており、皮、果汁、余すところなく味わうことができます。皮はきざんでお吸い物や浅漬け、お菓子作りに使えます。搾った果汁は焼き魚や冷奴にかけたり、また酢の物にも。いつもの料理に加えるだけで料亭のような高級感漂う風味が加わります。寒い冬にはちみつを合わせたホットドリンク、そしてお風呂に浮かべてゆず湯にすれば、体の中から温まります。また、木頭ゆずをふんだんに使い、地元の人々の手によって作られるジャムやジュース、ゆず酢、ゆず味噌、調味料などはお土産としても人気です。

「阿波晩茶」は那賀町の相生地区を中心に生産されている昔ながらのお茶です。茶摘みは一般的には春ですが、阿波晩茶は盛夏まで待って葉を摘みます。そして、大きな桶で発酵させた後、天日に干して仕上げるというこの地域独特の製法で作られているお茶です。阿波晩茶は一般的なお茶の成分であるカフェインやカテキンの量が少ないため苦味や渋みも少なく、口当たりの良いまろやかな甘味と、さわやかな甘酸っぱい香りが楽しめるのです。

西日本最長のロープウェイでお参りをしよう

那賀町の東北にそびえる海抜600メートルの太龍寺山の山頂近くにある「太龍寺」は、桓武天皇の勅命によって弘法大師が開いた「西の高野」と呼ばれているお寺です。弘法大師ゆかりの四国八十八ヶ所霊場を巡るお遍路の21番札所でもあります。山深い境内へ行くには全長2775mにもなる西日本最長を誇る「太龍寺ロープウェイ」でお参りしましょう。約10分かけてゆっくりと川や山を越えていくので、途中、眼下には那賀川や田園風景、紀伊水道などの雄大な景色を眺めることができます。

ザ・ご当地検定の問題

Q. 徳島県那賀町の郷土料理「はんごろし」はどんな食べ物?

A. おはぎ